家族が亡くなった後の手続き一覧|死亡届から相続完了までのチェックリスト

大切な家族を亡くされた後、悲しみの中でも数多くの手続きが次々と押し寄せてきます。死亡届の提出、葬儀の手配、年金の停止、健康保険の返納、相続の手続き……それぞれに期限があり、窓口も異なります。何から手をつければよいかわからず、途方に暮れてしまうのは当然のことです。

この記事では、家族が亡くなった後に必要な手続きを、時系列に沿って一覧でご案内します。亡くなった当日〜数日以内に行うこと、2週間以内・3か月以内・10か月以内にすべきこと、それぞれの期限と窓口をわかりやすくまとめました。

  • 死亡届・火葬許可証の取得手順
  • 年金・健康保険・各種給付の停止と返納
  • 遺族年金・埋葬料などの「受け取れる給付」の申請
  • 相続手続き(放棄・遺産分割・登記・税申告)の流れ
  • 手続き一覧チェックリスト

※本記事は2024年4月時点の法令・制度に基づいています。制度は変更されることがありますので、最新情報は各窓口または専門家にご確認ください。

目次

亡くなった当日〜2日以内にすること

ご家族が亡くなった直後は、医師への連絡・死亡診断書の受け取り・遺体の搬送など、葬儀に向けた準備が最優先となります。精神的に辛い時期ですが、順を追って進めることで少しずつ整理できます。

医師への連絡と死亡診断書の受け取り

病院や施設で亡くなった場合は、担当医が「死亡診断書」を発行します。自宅で亡くなった場合(在宅医療・看取り)も、かかりつけ医が診断書を作成するのが一般的です。突然の死亡や事故の場合は警察が介入し、「死体検案書」が発行されます。

死亡診断書(または死体検案書)は、死亡届の提出・火葬許可証の取得・各種手続きのすべての起点となる書類です。 原本は1枚しか発行されないため、死亡届提出前にコピーを数枚(10枚以上推奨)とっておくことを強くお勧めします。各機関への提出で必要になることがあります。

葬儀社への連絡も同日中に行いましょう。遺体の安置場所・搬送方法・葬儀の規模などを確認し、打ち合わせを進めます。

葬儀社の選定と打ち合わせ

葬儀社はできれば複数比較してから選ぶのが理想ですが、時間的な制約がある場合はすでに付き合いのある業者か、病院・施設の紹介業者に依頼するケースが多いです。

葬儀の形式(一般葬・家族葬・直葬など)や規模、費用の内訳を事前に書面で確認することが大切です。「総額いくらか」を最初に確認し、追加費用が発生しやすい項目(祭壇グレード・返礼品・料理等)についても明確にしておくと、後からのトラブルを防ぎやすくなります。

死亡届・火葬許可証の手続き(7日以内)

死亡届の提出は法律で定められた義務であり、これを行わないと火葬が行えません。葬儀の前に必ず完了させる必要があります。

死亡届の提出方法

死亡届は、「戸籍法第86条」に基づき、死亡の事実を知った日から7日以内に提出する義務があります。提出先は以下のいずれかの市区町村役場です。

  • 死亡地の市区町村役場
  • 故人の本籍地の市区町村役場
  • 届出人の居住地の市区町村役場

届出義務者は、同居の親族・その他の同居者・家主・地主・後見人等とされています(戸籍法第87条)。 実務上は葬儀社が代行してくれることが多く、必要書類(死亡診断書と死亡届用紙、届出人の印鑑)を渡せば窓口提出までお願いできます。

死亡届は戸籍謄本への記録、年金・保険の手続き、各種名義変更の際にも参照されます。提出後は戸籍の記録が更新されるため、後続の手続きで戸籍謄本を取得する際に「除籍」の記録が入ります。

火葬許可証の取得

死亡届を提出すると、同じ窓口で「火葬許可証」が発行されます。火葬許可証がなければ火葬を行うことができません。火葬後は「埋葬許可証」に切り替わり、お墓への納骨の際に必要となります。埋葬許可証は大切に保管してください。

火葬許可証を紛失すると再発行に手間がかかります。火葬後の埋葬許可証は封筒などに入れ、仏壇や重要書類と一緒に保管しておくことをお勧めします。

葬儀後〜2週間以内にすること

葬儀が終わったら、次は行政・保険・年金関係の停止手続きを速やかに行います。多くの手続きに期限が設けられており、遅れると給付の返還を求められることがあります。

年金受給の停止手続き

故人が年金を受給していた場合、受給停止の手続きが必要です。停止しないまま年金が振り込まれ続けると、後から全額返還を求められます。

  • 国民年金:死亡日から14日以内に市区町村役場または年金事務所へ届け出(国民年金法第105条)
  • 厚生年金:死亡日から10日以内に年金事務所へ届け出(厚生年金保険法第98条)

必要書類は一般的に、年金証書・死亡診断書(死亡の事実が確認できる書類)・届出人の本人確認書類などです。年金事務所によって異なる場合があるため、事前に電話確認するとよいでしょう。

年金受給停止と同時に「未支給年金」の請求手続きも行えます。死亡月まで受給権があった年金が未払いの場合、遺族が請求できます(国民年金法第19条)。

健康保険証の返納と資格喪失届

故人が加入していた健康保険の種類によって、手続き先が異なります。

  • 国民健康保険:死亡日から14日以内に市区町村役場で喪失届を提出し、保険証を返納
  • 協会けんぽ・健保組合:勤務先の人事担当を通じて資格喪失届を提出(故人が現役社員だった場合)
  • 後期高齢者医療保険:市区町村窓口または都道府県後期高齢者医療広域連合に返納

扶養家族として被保険者に入っていた方は、新たに健康保険に加入する必要があります。国民健康保険への加入、または就職先・家族の被扶養者として加入する手続きを早急に行いましょう。

介護保険証の返納

65歳以上(または40〜64歳で特定疾病の認定を受けていた方)が持っていた介護保険被保険者証も、死亡日から14日以内に市区町村の介護保険担当窓口に返納します。

運転免許証・パスポートの返納

運転免許証は最寄りの警察署・運転免許センターに返納します(法的義務ではありませんが、個人情報保護の観点から処理するのが一般的です)。パスポートは外務省または旅券事務所に返納または廃棄を申請します。

遺族が受け取れる各種給付の申請

手続きの中には「払う・止める」だけでなく、遺族が受け取れる給付もあります。請求しなければ自動的に支給されないものがほとんどですので、忘れずに確認しましょう。

遺族年金の申請

遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類があります。

遺族基礎年金は、国民年金加入者(または老齢基礎年金受給者)が亡くなった場合に、子のある配偶者または子が受け取れます(国民年金法第37条)。子の年齢要件は18歳になる年度末(障害がある場合は20歳)までとされています。

遺族厚生年金は、厚生年金加入者が亡くなった場合に、配偶者・子・父母・孫・祖父母が一定の要件を満たすと受け取れます(厚生年金保険法第58条)。特に配偶者(妻)が受け取るケースが多く、受給できる期間・金額は生年月日や子の有無によって異なります。

申請先は年金事務所または市区町村の年金窓口で、死亡後5年以内に請求できます(時効に注意)。必要書類が多いため、年金事務所に事前に電話で確認することをお勧めします。

埋葬料・葬祭費の申請

健康保険の加入状況によって、葬儀費用の一部を補助する給付が受けられます。

  • 協会けんぽ・健保組合(被用者保険):埋葬料として5万円が支給されます(被保険者が業務外で死亡した場合)。申請は死亡後2年以内に
  • 国民健康保険:葬祭費として1〜7万円程度(市区町村によって異なる)が支給されます。申請期限は死亡後2年以内が目安
  • 後期高齢者医療保険:葬祭費として各都道府県が定める金額(5万円程度)が支給されます

埋葬料・葬祭費は「申請しなければもらえない」給付です。期限内に忘れずに申請することをお勧めします。

高額療養費の還付申請

故人が入院や治療で医療費の自己負担が月額上限を超えていた場合、高額療養費として還付が受けられます(健康保険法第115条・国民健康保険法第57条の2)。まだ申請していない診療分は遺族が代わりに請求できます。加入していた健康保険の窓口に確認してみましょう。

生命保険の請求

故人が生命保険に加入していた場合、受取人として指定されている方が保険会社に死亡保険金を請求します。一般的に死亡後3年以内(保険会社によって異なる)が時効とされています。

保険証券が見当たらない場合は、生命保険協会の「生命保険契約照会制度」(一括照会サービス、費用3,000円)を利用することで加入状況を確認できます。

3か月以内にすること——相続放棄の判断

相続に関する最初の重要な期限が、死亡を知った日から3か月以内です。この期間内に「相続をどうするか」を決断する必要があります。

相続の3つの選択肢

相続人には3つの選択肢があります(民法第915条・第922条・第938条)。

選択肢 内容 期限
単純承認 財産も負債もすべて引き継ぐ(期限内に何もしなければ自動的にこの扱いになる) (特になし)
相続放棄 財産も負債も一切引き継がない(家庭裁判所への申述が必要) 3か月以内
限定承認 財産の範囲内でのみ負債を引き継ぐ(相続人全員で申述が必要・手続き複雑) 3か月以内

借金が多い・連帯保証がある・財産の全体像がまだわからないという場合は、3か月以内に家庭裁判所へ「熟慮期間の延長」を申請することもできます(民法第915条第2項)。

3か月の期限を何も意識せずに過ごしてしまうと、自動的に「単純承認」として扱われ、後から借金が発覚しても放棄が認められなくなる可能性があります。財産調査と並行してこの期限を常に意識してください。

相続放棄の手続き方法

相続放棄は、故人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出することで行います。申述書には故人の戸籍謄本・相続人の戸籍謄本・申述人の本人確認書類などが必要です。申述費用は1人につき800円の収入印紙と、郵送費実費程度です。

4か月以内にすること——準確定申告

故人が自営業者・不動産オーナー・複数の年金受給者など、確定申告が必要だった場合、死亡した年の所得税について「準確定申告」を行う義務があります(所得税法第124条)。

期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。相続人全員が連署して管轄の税務署に提出します。医療費控除・社会保険料控除なども適用できますので、税理士に相談しながら進めることをお勧めします。

10か月以内にすること——相続税の申告

相続財産が一定額を超える場合は相続税の申告と納付が必要です。期限は被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内(相続税法第27条)。

相続税が必要かどうかの判断

相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。例えば相続人が配偶者と子2人の計3人の場合、基礎控除は3,000万円+600万円×3人=4,800万円となります。

財産総額(不動産・預金・株式・生命保険のみなし財産等を合計したもの)が基礎控除以下であれば申告は不要です。ただし「小規模宅地等の特例」などの特例を使う場合は申告が必要になることがあります。

申告が必要かどうかわからない場合は、税理士または税務署に相談することをお勧めします。

遺産分割協議と遺産分割協議書の作成

相続人が複数いる場合、誰がどの財産を受け取るかを全員で話し合う「遺産分割協議」が必要です。協議がまとまったら「遺産分割協議書」(相続人全員が署名・実印を押印した書面)を作成します。

遺産分割協議書は、不動産の相続登記・銀行の名義変更・証券口座の移管など、各種名義変更手続きで必要となります。 相続人の間で合意が得られない場合は家庭裁判所の遺産分割調停(民法第907条第2項)を利用する方法もあります。

不動産の相続登記(2024年4月から義務化)

2024年4月1日から、相続による不動産の名義変更(相続登記)が義務化されました(不動産登記法第76条の2)。これにより、相続で不動産を取得した相続人は、相続を知った日から3年以内に登記申請を行う義務があります。

2024年4月以前に発生した相続についても経過措置があり、2027年3月31日までに登記申請が必要です。長年放置していた不動産がある場合も対象となるため、早めの確認をお勧めします。

相続登記の申請は法務局に対して行います。必要書類は故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本・相続人の戸籍謄本・遺産分割協議書(分割協議がある場合)・固定資産評価証明書などです。登録免許税は固定資産税評価額の0.4%がかかります。手続きが複雑な場合は司法書士への依頼も選択肢のひとつです。

その他の名義変更・解約手続き

財産の名義変更以外にも、日常的なサービスの解約・変更手続きが必要です。後回しにすると費用が発生し続ける可能性があるため、なるべく早めに対処しましょう。

金融機関・証券口座の名義変更

預金口座は相続手続き完了後に名義変更または解約・払い戻しの手続きを行います。各金融機関の相続窓口に遺産分割協議書・戸籍謄本・相続人の本人確認書類などを提出します。

電気・ガス・水道・電話の解約・名義変更

故人のみが使用していた自宅の各種公共料金は解約、同居家族が引き続き利用する場合は名義変更の手続きを行います。各事業者のコールセンターまたはウェブフォームから手続きできます。

携帯電話・インターネットの解約

携帯電話は各キャリアショップで解約手続きが必要です。解約しないと毎月料金が発生し続けます。インターネットプロバイダも同様です。

クレジットカードの解約・精算

故人名義のクレジットカードは原則解約します。未払い残高がある場合は相続財産から支払うか、相続人が引き継ぐ形になります。カード会社ごとに手続き方法が異なります。

NHK受信料・各種会員サービスの解約

NHK受信料は、故人のみが世帯主だった場合に解約手続きが必要です。各種サブスクリプションサービス(音楽・動画・スポーツクラブ等)も、引き続き使用しないなら解約しておくと無駄な出費を防げます。

手続き一覧チェックリスト

以下のチェックリストを参考に、状況に応じて必要な手続きを漏れなく進めてください。

期限の目安 手続き内容 窓口 完了
当日〜翌日 医師へ連絡・死亡診断書受け取り かかりつけ医・病院
当日〜翌日 葬儀社への連絡・手配 葬儀社
7日以内 死亡届の提出・火葬許可証の取得 市区町村役場
葬儀後 死亡診断書のコピーを多数保管 自宅
10〜14日以内 年金受給停止の届け出 年金事務所・市区町村
14日以内 国民健康保険の喪失届・保険証返納 市区町村役場
14日以内 介護保険証の返納 市区町村役場
速やかに 遺族年金の申請(該当する場合) 年金事務所
速やかに 埋葬料・葬祭費の申請 健保組合・市区町村
速やかに 生命保険の死亡保険金請求 各保険会社
速やかに 相続財産の調査開始 自宅・各金融機関
3か月以内 相続放棄の申述(必要な場合) 家庭裁判所
4か月以内 準確定申告(必要な場合) 税務署
速やかに 遺産分割協議・協議書作成 相続人間・専門家
3年以内 不動産の相続登記(義務) 法務局
10か月以内 相続税の申告・納付(必要な場合) 税務署
速やかに 銀行口座・証券口座の名義変更・解約 各金融機関
速やかに 電気・ガス・水道・電話の解約・変更 各事業者
速やかに 携帯電話・インターネットの解約 各キャリア・プロバイダ
速やかに クレジットカードの解約・精算 各カード会社
速やかに 運転免許証・パスポートの返納・廃棄 警察署・旅券事務所

専門家への相談が必要なケース

手続きは多岐にわたりますが、すべてを自分で行う必要はありません。次のような場合は専門家への相談をお勧めします。

こんなときは弁護士へ

  • 相続人間で遺産分割の意見が合わない・揉めている
  • 借金が多く相続放棄を検討している
  • 遺言書の内容に疑問がある・遺言書が複数ある
  • 連帯保証債務の可能性がある
  • 相続人が不明・認知した子など複雑な関係がある

こんなときは司法書士へ

  • 不動産の相続登記を依頼したい
  • 遺産分割協議書の作成を依頼したい
  • 相続放棄の書類作成をサポートしてほしい

こんなときは税理士へ

  • 相続税の申告が必要かどうか判断してほしい
  • 不動産・株式など多種類の財産がある
  • 相続税の節税対策(小規模宅地の特例・配偶者控除等)を相談したい
  • 準確定申告の作成を依頼したい

手続きを進める際に直面しやすい困りごとと対処法

死亡後の手続きは「どこに行けばよいかわからない」「必要書類が多すぎる」「窓口ごとに対応が違う」など、さまざまな壁にぶつかりやすいものです。よくある困りごとと具体的な対処法を紹介します。

戸籍謄本が何枚も必要になる問題

年金・保険・銀行・不動産など、あらゆる手続きで戸籍謄本の提出を求められます。役所での取得のたびに費用と手間がかかるため、最初にまとめて10〜15枚程度取得しておくことをお勧めします。

法務局の「法定相続情報証明制度」を活用すると、戸籍謄本一式の代わりに「法定相続情報一覧図の写し」(無料)を各機関に提出できます。何枚でも無料で交付を受けられるため、手続きが大幅に効率化します。

法定相続情報一覧図は、相続人が作成して法務局に申請します。登録後5年間は法務局で保管され、必要に応じて写しを取得できます。銀行・証券会社・法務局・年金事務所など多くの機関がこの書類を受け付けています。

複数の市区町村に戸籍が分散している場合

故人の出生から死亡まで、本籍地を複数回変更している方も少なくありません。この場合、それぞれの本籍地の市区町村役場から戸籍謄本・改製原戸籍(戸籍の様式変更前に存在した古い戸籍)を取得する必要があります。

遠方の市区町村への請求は郵送でも可能です。定額小為替(ゆうちょ銀行で購入)と申請書・本人確認書類のコピーを郵送することで、証明書の郵便取り寄せができます。戸籍謄本の取得には時間がかかることもあるため、余裕をもって手配しましょう。

故人の住んでいた地域から遠い場合の手続き

相続人が遠方に住んでいると、故人の住所地・本籍地の役所に何度も足を運ぶのは難しいことがあります。こうした場合は、郵送での申請・電子申請・専門家への委任状による代理対応などを組み合わせるのが現実的です。

弁護士・司法書士は代理人として各種手続きを行えますので、遠方からの相続手続きには専門家への依頼が特に有効です。

期限が重なって対処しきれない場合

年金停止(2週間以内)・相続放棄の検討(3か月以内)・準確定申告(4か月以内)・相続税申告(10か月以内)と、手続きの期限が複数重なることがあります。特に仕事をしながら手続きを進める場合は、どこかで手が回らなくなることも珍しくありません。

期限が守れない可能性がある場合は、事前に窓口や専門家に相談することが重要です。相続放棄の3か月の期限は、家庭裁判所への「熟慮期間の延長申請」(民法第915条第2項)により延長が認められることがあります。

「何もしなかったために不利な状態になる」という最悪の事態を避けるため、期限を逃しそうな場合は早急に専門家に相談してください。

手続きを効率化するためのポイント

死亡後の手続きは件数が多いため、効率よく進めるための工夫が助けになります。

「役所での手続きをまとめて行う」ワンストップ活用

市区町村役場での手続き(死亡届・年金停止・国民健康保険喪失・介護保険証返納・国民年金停止・住民票の取得など)は、できる限り同じ日にまとめて行うと、複数回の往復を減らせます。

最近は「おくやみコーナー」や「相続ワンストップサービス」を設けている自治体も増えており、担当職員が必要な手続きを一括でナビゲートしてくれるサービスを提供している場合があります。お住まいの市区町村のウェブサイトで事前に確認してみましょう。

手続きの優先順位を決める

すべての手続きを同時進行するのは難しいため、優先順位をつけることが重要です。以下の順序で進めると、ミスや期限超過のリスクを軽減しやすいとされています。

  1. 死亡届・火葬許可証(最優先・葬儀前に必須)
  2. 年金・健康保険の停止(2週間以内)
  3. 遺族年金・埋葬料などの受取申請(早めに)
  4. 相続財産の調査と相続放棄の検討(3か月以内)
  5. 遺産分割協議・各種名義変更(期限内に余裕を持って)
  6. 相続登記・相続税申告(それぞれの期限まで)

手続きリストを紙や手帳に書き出し、完了した項目にチェックを入れながら進めると抜け漏れを防ぎやすくなります。また、手続きが複雑になりそうだと感じた時点で、後回しにせず専門家に連絡することが結果的に時間と費用の節約につながることが多いです。

デジタルツールの活用

スマートフォンのカレンダーアプリに各手続きの期限を入力しておくと、「3か月以内」「10か月以内」といった締め切りを見逃しにくくなります。スキャナアプリを使って取得した証明書類をPDF化・クラウド保存しておくと、必要なときにすぐに取り出せて便利です。手続き中は多数の書類が発生するため、フォルダ分けして整理する習慣をつけておくと後の作業がスムーズになります。

専門家に「窓口になってもらう」という発想

弁護士・司法書士・税理士はそれぞれ専門領域が異なりますが、「まず一人の専門家に相談して全体像を把握してもらい、各分野の専門家を紹介してもらう」という進め方が効率的です。特に複数の専門家が必要なケースでは、弁護士事務所や相続専門の士業事務所が「ワンストップ対応」(一つの窓口で複数の手続きを引き受ける)を提供している場合があります。費用の目安を最初に確認したうえで依頼を検討することをお勧めします。

よくある質問(FAQ)

Q1. 死亡届はいつまでに提出しなければなりませんか?

死亡届は、死亡の事実を知った日から7日以内(国外で死亡した場合は3か月以内)に提出する必要があります(戸籍法第86条・第87条)。死亡届を提出しないと火葬許可証が発行されないため、葬儀を行う前に提出するのが一般的です。

Q2. 年金の停止手続きはいつまでに行えばよいですか?

国民年金は14日以内、厚生年金は10日以内に停止手続きを行う必要があります。手続きが遅れると年金が過払いとなり、後日返還を求められることがあります。年金事務所または市区町村の年金窓口で手続きができます。

Q3. 相続放棄の期限はいつですか?

相続放棄は、相続の開始を知った日から原則3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります(民法第915条)。期限を過ぎると自動的に「単純承認」(すべての財産と債務を引き継ぐ)となる場合があります。

Q4. 相続税の申告期限はいつですか?

相続税の申告・納付の期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です(相続税法第27条)。基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。

Q5. 遺族年金はどのような場合に受け取れますか?

遺族基礎年金は子のある配偶者または子が受け取れます。遺族厚生年金は厚生年金加入者が亡くなった場合に配偶者・子等が受け取れる可能性があります。受給要件は年金事務所にご確認ください。

Q6. 健康保険証の返納はどこで行いますか?

国民健康保険は市区町村役場、協会けんぽ・健保組合は勤務先経由、後期高齢者医療保険は市区町村窓口または都道府県後期高齢者医療広域連合で手続きを行います。

まとめ

家族が亡くなった後の手続きは、死亡届から相続登記まで長い道のりが続きます。しかし、それぞれに期限があり、期限を過ぎてしまうと余計な手間や費用が生じることもあります。

大切なポイントをまとめます。

  • 死亡届は7日以内・火葬許可証はその場で取得。死亡診断書のコピーは多めに保管する
  • 年金停止は10〜14日以内に。遅れると返還請求が来ることがある
  • 遺族年金・埋葬料・葬祭費は「申請しないともらえない」ため忘れずに
  • 相続放棄の判断期限は3か月。借金の有無が不明な段階では熟慮期間の延長申請も検討する
  • 準確定申告は4か月以内、相続税申告は10か月以内
  • 2024年4月以降、不動産の相続登記は義務化(3年以内)
  • 電気・ガス・携帯・クレジットなどの日常サービスも速やかに解約・変更を
  • 迷ったり複雑だと感じたりしたら、早めに弁護士・司法書士・税理士に相談する

手続きの多さに圧倒されてしまうこともあるかもしれませんが、一つひとつ着実に進めることが大切です。専門家のサポートをうまく活用しながら、大切な方の遺産を適切に引き継いでいただけることを願っています。


※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的・税務的アドバイスではありません。具体的なご状況については、弁護士・税理士・司法書士等の専門家にご相談ください。本記事は2024年4月時点の法令に基づいています。

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