相続が発生した際、相続税がいくらかかるのか不安に感じる方は多いでしょう。相続税の計算方法は一見複雑に見えますが、ステップを追って理解すれば自分でシミュレーションすることも可能です。
本記事では、相続税の計算手順を初心者にもわかりやすく解説します。基礎控除額の算出から税率の適用、各種控除の活用方法まで、具体的な計算例を交えながら丁寧に説明していきます。
父が亡くなって相続が発生したんですが、相続税っていくらかかるのか全く想像がつかなくて…
ご安心ください。相続税の計算は手順さえわかれば、ご自身でも概算を出すことができます。順を追って解説していきますね。
相続税の計算方法の全体像
相続税の計算は、以下の5つのステップで進めていきます。各ステップを正確に理解することが、正しい相続税額を算出するための鍵となります。
相続税計算の5ステップ
- 相続財産の総額を把握する
- 課税遺産総額を計算する(基礎控除を差し引く)
- 法定相続分で按分して相続税の総額を算出する
- 実際の相続割合で各相続人の税額を計算する
- 各種税額控除を適用して最終的な納税額を確定する
この流れを理解しておくだけでも、相続税がどのように決まるのかイメージしやすくなります。それでは、各ステップを詳しく見ていきましょう。
【ステップ1】相続財産の総額を把握する
相続税計算の第一歩は、被相続人(亡くなった方)が遺した財産をすべて洗い出すことです。相続税の対象となる財産は、現金や預貯金だけではありません。
相続税の対象となる財産
相続税の課税対象となる財産は多岐にわたります。主なものを以下にまとめました。
- 現金・預貯金:普通預金、定期預金、現金など
- 不動産:土地、建物、マンション、農地など
- 有価証券:株式、投資信託、国債、社債など
- 保険金・退職金:生命保険金、死亡退職金(非課税枠あり)
- その他の財産:自動車、貴金属、骨董品、ゴルフ会員権など
- みなし相続財産:生前贈与加算、名義預金など
特に見落としがちなのが、名義預金やタンス預金です。被相続人が家族名義で管理していた預金も、実質的に被相続人の財産と判断されれば相続税の対象となります。
財産総額から差し引けるもの
一方で、被相続人が残した債務や葬儀費用は、相続財産から差し引くことができます。これにより課税対象となる財産額を減らすことができます。
- 債務:借入金、未払いの税金、医療費、クレジットカードの未決済分など
- 葬儀費用:通夜・告別式の費用、火葬費用、納骨費用、お布施など
注意ポイント
香典返しや法事の費用は葬儀費用には含まれません。また、墓石や仏壇の購入費用も葬儀費用としては認められないケースが多いため、注意が必要です。
財産の評価方法
相続財産は、相続開始時点(亡くなった日)の時価で評価します。預貯金や現金は額面通りですが、不動産や株式は専門的な評価方法が必要です。
- 土地:路線価方式または倍率方式で評価
- 建物:固定資産税評価額を基準に評価
- 上場株式:相続開始日の終値、月平均額などから最も低い額を選択
- 非上場株式:類似業種比準方式または純資産価額方式で評価
不動産の評価は特に複雑であり、評価額によって相続税額が大きく変わる可能性があります。正確な評価が必要な場合は、税理士など専門家への相談を検討しましょう。
【ステップ2】課税遺産総額を計算する
財産総額が把握できたら、次は基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を算出します。この基礎控除額を超えた部分にのみ、相続税が課税されます。
基礎控除額の計算方法
基礎控除額は、以下の計算式で求められます。
基礎控除額の計算式
基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)
たとえば、法定相続人が配偶者と子ども2人の計3人であれば、基礎控除額は次のようになります。
3,000万円 + (600万円 × 3人)= 4,800万円
この場合、遺産総額が4,800万円以下であれば、相続税はかかりません。基礎控除額を超える部分にのみ相続税が課税される仕組みです。
そうなんですね。うちは相続人が3人だから、4,800万円までは税金がかからないということですか?
その通りです。ただし、法定相続人の数には注意が必要です。養子がいる場合は、実子がいれば1人まで、実子がいなければ2人まで基礎控除の計算に含められます。
法定相続人の数え方
基礎控除額の計算には、法定相続人の数が重要です。法定相続人とは、民法で定められた相続権を持つ人のことです。
- 常に相続人になる:配偶者
- 第1順位:子(直系卑属)。子が既に死亡している場合は孫が代襲相続
- 第2順位:親(直系尊属)。子がいない場合
- 第3順位:兄弟姉妹。子も親もいない場合
相続放棄した人の扱い
相続放棄をした人も、基礎控除額の計算では法定相続人の数に含めます。これにより、相続放棄があっても基礎控除額が減ることはありません。
課税遺産総額の計算例
具体例で見てみましょう。
【ケース】
- 遺産総額:1億円
- 債務・葬儀費用:200万円
- 法定相続人:配偶者、子ども2人(計3人)
【計算】
- 財産総額から債務等を差し引く:1億円 – 200万円 = 9,800万円
- 基礎控除額を計算:3,000万円 + (600万円 × 3人)= 4,800万円
- 課税遺産総額を算出:9,800万円 – 4,800万円 = 5,000万円
このケースでは、5,000万円が相続税の課税対象となります。
【ステップ3】相続税の総額を計算する
課税遺産総額が算出できたら、次は相続税の総額を計算します。ここでは、実際の遺産分割割合ではなく、法定相続分で按分して計算する点がポイントです。
法定相続分とは
法定相続分とは、民法で定められた各相続人の相続割合の目安です。
主な法定相続分
- 配偶者と子:配偶者1/2、子1/2(子が複数いる場合は均等に分配)
- 配偶者と親:配偶者2/3、親1/3
- 配偶者と兄弟姉妹:配偶者3/4、兄弟姉妹1/4
- 配偶者のみ:配偶者が全額
- 子のみ:子が均等に分配
相続税の税率と速算表
各相続人が法定相続分で相続したと仮定した金額に、相続税の税率を適用します。相続税は累進課税であり、金額が大きくなるほど税率も高くなります。
相続税の税率(速算表)
| 法定相続分に応じた取得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | ― |
| 1,000万円超~3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 3,000万円超~5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 5,000万円超~1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 1億円超~2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 2億円超~3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 3億円超~6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
相続税総額の計算例
先ほどの例を使って、実際に相続税の総額を計算してみましょう。
【前提条件】
- 課税遺産総額:5,000万円
- 相続人:配偶者、子ども2人(計3人)
【ステップ1:法定相続分で按分】
- 配偶者:5,000万円 × 1/2 = 2,500万円
- 子A:5,000万円 × 1/4 = 1,250万円
- 子B:5,000万円 × 1/4 = 1,250万円
【ステップ2:各人の税額を計算】
- 配偶者:2,500万円 × 15% – 50万円 = 325万円
- 子A:1,250万円 × 15% – 50万円 = 137.5万円
- 子B:1,250万円 × 15% – 50万円 = 137.5万円
【ステップ3:相続税の総額を算出】
325万円 + 137.5万円 + 137.5万円 = 600万円
この600万円が、この相続における相続税の総額となります。
【ステップ4】各相続人の税額を計算する
相続税の総額が算出できたら、次は実際の相続割合に応じて、各相続人の税額を計算します。
実際の遺産分割割合で按分
ステップ3で計算した相続税の総額を、実際に各相続人が相続する財産の割合で按分します。遺産分割協議で合意した内容や、遺言書で指定された割合が適用されます。
【計算例】
相続税の総額600万円を、以下の割合で相続する場合を考えてみます。
- 配偶者:60%(6,000万円相当)
- 子A:20%(2,000万円相当)
- 子B:20%(2,000万円相当)
各人の税額は次のようになります。
- 配偶者:600万円 × 60% = 360万円
- 子A:600万円 × 20% = 120万円
- 子B:600万円 × 20% = 120万円
ただし、この金額はまだ暫定的な税額です。この後、各種税額控除を適用して最終的な納税額を確定します。
配偶者は360万円も税金がかかるんですか?かなり高額ですね…
ご安心ください。配偶者には大きな税額軽減措置があります。次のステップで詳しく説明しますね。
【ステップ5】税額控除を適用して最終納税額を決定
各相続人の暫定税額が計算できたら、最後に各種税額控除を適用します。この控除によって、実際の納税額は大幅に減額されるケースが多いです。
配偶者の税額軽減
配偶者には、非常に大きな税額軽減措置が用意されています。配偶者が相続した財産のうち、1億6,000万円または法定相続分相当額のいずれか多い方までは相続税がかかりません。
配偶者の税額軽減の条件
- 法律上の配偶者であること(事実婚は対象外)
- 相続税の申告期限までに遺産分割が完了していること
- 相続税の申告書を提出すること
先ほどの例では、配偶者の相続額は6,000万円でした。これは1億6,000万円以下なので、配偶者の税額360万円は全額軽減され、納税額は0円となります。
未成年者控除
相続人が18歳未満(令和4年4月1日以降)の場合、未成年者控除が適用されます。控除額は以下の計算式で求められます。
未成年者控除額 = 10万円 × (18歳 – 相続時の年齢)
たとえば、相続時に15歳だった場合、10万円 × 3年 = 30万円が控除されます。
障害者控除
相続人が障害者の場合、以下の控除が適用されます。
- 一般障害者:10万円 × (85歳 – 相続時の年齢)
- 特別障害者:20万円 × (85歳 – 相続時の年齢)
たとえば、特別障害者で相続時に60歳だった場合、20万円 × 25年 = 500万円の控除を受けられます。
相次相続控除
10年以内に2回以上の相続があった場合、前回の相続で納めた相続税の一部を控除できます。これは、短期間に相続税を二重に課税されることを防ぐための制度です。
相次相続控除の例
父が亡くなり相続税を納めた後、5年以内に母も亡くなった場合、父の相続時に納めた相続税の一部を母の相続税から控除できます。
外国税額控除
海外にある財産を相続し、その国で相続税に相当する税金を納めた場合、日本の相続税から一定額を控除できます。二重課税を回避するための制度です。
相続税の計算シミュレーション【具体例3パターン】
ここでは、具体的な3つのパターンで相続税の計算をシミュレーションしてみます。
パターン1:配偶者と子ども1人の場合
【前提条件】
- 遺産総額:8,000万円
- 債務・葬儀費用:300万円
- 相続人:配偶者、子ども1人(計2人)
- 遺産分割:配偶者50%、子50%
【計算プロセス】
①正味の遺産額:8,000万円 – 300万円 = 7,700万円
②基礎控除額:3,000万円 + (600万円 × 2人)= 4,200万円
③課税遺産総額:7,700万円 – 4,200万円 = 3,500万円
④法定相続分で按分
・配偶者:3,500万円 × 1/2 = 1,750万円
・子:3,500万円 × 1/2 = 1,750万円
⑤各人の税額
・配偶者:1,750万円 × 15% – 50万円 = 212.5万円
・子:1,750万円 × 15% – 50万円 = 212.5万円
・相続税の総額:425万円
⑥実際の相続割合で按分
・配偶者:425万円 × 50% = 212.5万円 → 配偶者控除で0円
・子:425万円 × 50% = 212.5万円 → 212.5万円
納税額合計:212.5万円
パターン2:配偶者と子ども3人の場合
【前提条件】
- 遺産総額:1億5,000万円
- 債務・葬儀費用:500万円
- 相続人:配偶者、子ども3人(計4人)
- 遺産分割:配偶者50%、子それぞれ約16.7%
【計算プロセス】
①正味の遺産額:1億5,000万円 – 500万円 = 1億4,500万円
②基礎控除額:3,000万円 + (600万円 × 4人)= 5,400万円
③課税遺産総額:1億4,500万円 – 5,400万円 = 9,100万円
④法定相続分で按分
・配偶者:9,100万円 × 1/2 = 4,550万円
・子1人あたり:9,100万円 × 1/6 = 1,516.7万円
⑤各人の税額
・配偶者:4,550万円 × 20% – 200万円 = 710万円
・子(1人):1,516.7万円 × 15% – 50万円 = 177.5万円
・子3人分:177.5万円 × 3人 = 532.5万円
・相続税の総額:1,242.5万円
⑥実際の相続割合で按分
・配偶者:1,242.5万円 × 50% = 621.25万円 → 配偶者控除で0円
・子(1人あたり):1,242.5万円 × 16.7% = 207.5万円 → 207.5万円 × 3人
納税額合計:622.5万円
パターン3:子どものみ(配偶者なし)の場合
【前提条件】
- 遺産総額:6,000万円
- 債務・葬儀費用:200万円
- 相続人:子ども2人のみ(配偶者は既に死亡)
- 遺産分割:子それぞれ50%
【計算プロセス】
①正味の遺産額:6,000万円 – 200万円 = 5,800万円
②基礎控除額:3,000万円 + (600万円 × 2人)= 4,200万円
③課税遺産総額:5,800万円 – 4,200万円 = 1,600万円
④法定相続分で按分
・子(1人あたり):1,600万円 × 1/2 = 800万円
⑤各人の税額
・子(1人):800万円 × 10% = 80万円
・相続税の総額:160万円
⑥実際の相続割合で按分
・子(1人あたり):160万円 × 50% = 80万円
納税額合計:160万円
※配偶者控除が使えないため、配偶者がいるケースより納税額が増える傾向があります
相続税計算で知っておきたい特例・特則
相続税の計算では、適用できる特例を活用することで大幅な節税が可能になるケースがあります。ここでは、特に重要な特例をご紹介します。
小規模宅地等の特例
小規模宅地等の特例は、自宅や事業用の土地の評価額を最大80%減額できる非常に強力な制度です。
主な適用パターン
- 特定居住用宅地:自宅の土地、330㎡まで80%減額
- 特定事業用宅地:事業用の土地、400㎡まで80%減額
- 貸付事業用宅地:賃貸アパート等の土地、200㎡まで50%減額
たとえば、評価額5,000万円の自宅の土地(300㎡)に特例を適用すると、5,000万円 × 20% = 1,000万円の評価額になります。4,000万円もの減額効果があるため、相続税額に大きな影響を与えます。
適用条件の例(特定居住用宅地の場合)
- 配偶者が相続する場合:無条件で適用可能
- 同居親族が相続する場合:相続税の申告期限まで居住継続・所有継続
- 別居親族が相続する場合:一定の要件を満たす必要あり(家なき子特例)
注意点
小規模宅地等の特例は、申告期限までに遺産分割が完了している必要があります。分割が未了の場合は適用できないため、早めの手続きが重要です。
生命保険金・死亡退職金の非課税枠
生命保険金と死亡退職金には、それぞれ非課税枠が設けられています。
非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数
法定相続人が3人の場合、500万円 × 3人 = 1,500万円まで非課税となります。
この非課税枠は、生命保険金と死亡退職金でそれぞれ別枠で適用できます。つまり、3人の相続人がいる場合、合計で3,000万円まで非課税にできる可能性があります。
農地の納税猶予特例
農業を営んでいた被相続人から農地を相続し、相続人が農業を継続する場合、相続税の納税が猶予され、一定の要件を満たせば免除される制度です。
農業後継者にとっては非常に有利な制度ですが、適用要件が厳格なため、専門家への相談をおすすめします。
非上場株式の事業承継税制
中小企業の事業承継を円滑にするため、非上場株式の相続税が猶予・免除される制度です。後継者が事業を継続する限り、相続税の納税が猶予されます。
平成30年の税制改正で大幅に要件が緩和され、利用しやすくなりました。事業承継を考えている経営者の方は、ぜひ検討してみてください。
相続税の申告と納税の手続き
相続税の計算ができたら、次は申告と納税の手続きが必要です。期限や方法を正しく理解しておきましょう。
申告期限と納付期限
相続税の申告期限と納付期限は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内です。たとえば、令和6年4月1日に死亡した場合、申告・納付期限は令和7年2月1日(土日の場合は翌営業日)となります。
期限を過ぎると…
- 延滞税:法定納期限の翌日から納付日まで、年利最大14.6%
- 無申告加算税:本税の15%~20%(自主申告の場合は5%)
- 重加算税:悪質な場合は本税の40%
- 特例の不適用:小規模宅地等の特例や配偶者控除が使えなくなる可能性
期限内に申告できない場合でも、申告期限後3年以内に分割が完了すれば特例が適用できるケースもあります。ただし、「申告期限後3年以内の分割見込書」の提出が必要です。
10か月って意外と短いですね。遺産分割協議でもめてしまったら間に合わないかも…
その通りです。協議が難航しそうな場合は、早めにベンナビ相続で相続に詳しい専門家に相談することをおすすめします。
申告先と提出書類
相続税の申告書は、被相続人の住所地を管轄する税務署に提出します。相続人の住所地ではないので注意してください。
主な提出書類
- 相続税の申告書(第1表~第15表のうち必要なもの)
- 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)
- 相続人全員の戸籍謄本
- 遺産分割協議書の写し(相続人全員の印鑑証明書付き)
- 財産の評価明細書(土地、建物、有価証券など)
- 預貯金の残高証明書
- 生命保険金の支払通知書
- 小規模宅地等の特例を使う場合の添付書類
申告書は税務署で入手できるほか、国税庁のウェブサイトからダウンロードすることも可能です。e-Taxによる電子申告にも対応しています。
納付方法
相続税の納付は、原則として現金一括納付です。主な納付方法は以下の通りです。
- 金融機関・税務署の窓口:納付書を使って現金で納付
- コンビニ納付:30万円以下の場合のみ
- クレジットカード納付:国税クレジットカードお支払サイトから手続き(決済手数料がかかる)
- ダイレクト納付:e-Taxを利用して預貯金口座から振替
- インターネットバンキング:Pay-easy(ペイジー)で納付
現金一括納付が困難な場合は、延納や物納の制度を利用できる可能性があります。
延納と物納
延納は、相続税を分割払いする制度です。最長20年(不動産の割合が高い場合)まで延長できますが、利子税がかかります。
物納は、現金の代わりに財産(土地、建物、株式など)で納付する制度です。延納でも納付が困難な場合に限り認められます。物納できる財産には優先順位があり、不動産が第1順位、株式が第2順位となっています。
延納・物納の注意点
延納や物納を希望する場合は、申告期限内に申請書を提出する必要があります。事前に税務署や専門家に相談し、必要書類を準備しておきましょう。
相続税の計算に関するよくある質問
A. 財産構成がシンプルで特例を使わない場合は、ご自身で計算することも可能です。ただし、不動産の評価や特例の適用判断は専門的な知識が必要になるケースが多いため、不安な場合は税理士に相談することをおすすめします。特に、遺産総額が1億円を超える場合や、不動産が複数ある場合は専門家のサポートが望ましいでしょう。
A. 基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)以下であれば相続税はかかりません。たとえば、相続人が配偶者と子ども2人の計3人なら、4,800万円まで非課税です。また、配偶者の税額軽減を使えば、配偶者が相続する財産のうち1億6,000万円または法定相続分相当額までは税金がかかりません。
A. はい、影響します。相続開始前7年以内(令和6年1月1日以降の贈与)に受けた贈与は、相続財産に加算されます。ただし、年110万円以内の贈与については、一定期間を超えた分は加算されません。また、贈与税を既に支払っている場合は、相続税から控除できます。
A. 遺産分割が未了でも、申告期限(10か月以内)までに相続税の申告と納税は必要です。この場合、法定相続分で相続したものとして計算し、各相続人が申告・納税します。ただし、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減は原則として適用できません。後日分割が完了したら、「更正の請求」により税金の還付を受けることができます。
A. 税理士報酬は、遺産総額や相続人の数、財産の複雑さによって異なります。一般的には、遺産総額の0.5%~1%程度が目安とされています。たとえば、遺産総額が1億円なら50万円~100万円程度です。小規模宅地等の特例を使う場合や、税務調査対応が必要な場合は追加料金がかかることもあります。複数の事務所に見積もりを依頼して比較検討するとよいでしょう。
A. 国税庁のデータによると、相続税の実地調査率は約10%程度です。ただし、遺産総額が大きい場合や、申告内容に不明瞭な点がある場合は調査対象になりやすい傾向があります。特に、名義預金や生前贈与の扱い、不動産の評価額などはチェックされやすいポイントです。適正な申告をしていれば過度に心配する必要はありませんが、不安な場合は税理士に申告書の作成を依頼することで調査リスクを減らせます。
相続税の計算で困ったら専門家に相談を
相続税の計算は、基本的な流れを理解すればご自身でシミュレーションすることも可能です。しかし、実際には不動産の評価、特例の適用判断、複雑な家族関係など、専門的な知識が必要になる場面も多くあります。
専門家に相談すべきケース
- 遺産総額が1億円を超える場合
- 不動産が複数ある、または評価が複雑な場合
- 非上場株式や海外資産がある場合
- 小規模宅地等の特例を適用したい場合
- 遺産分割協議でもめている場合
- 過去に多額の生前贈与があった場合
- 申告期限が迫っている場合
相続税の計算ミスや申告漏れは、後々大きなペナルティにつながる可能性があります。また、適切な特例を活用すれば数百万円単位で節税できるケースも少なくありません。
ベンナビ相続では、相続税に詳しい税理士や弁護士を全国から検索できます。初回相談無料の事務所も多数掲載されているため、まずは気軽に相談してみることをおすすめします。
特に、相続開始から時間が経過している場合は、申告期限までのスケジュールを逆算しながら迅速に進める必要があります。早めに専門家のサポートを受けることで、安心して相続手続きを進められるでしょう。
まとめ:相続税の計算は早めの準備が大切
相続税の計算方法について、5つのステップに分けて詳しく解説してきました。改めて要点を整理しましょう。
相続税計算の5ステップ(再掲)
- 財産総額の把握:現金・不動産・有価証券など全ての相続財産を洗い出す
- 課税遺産総額の算出:財産総額から基礎控除額を差し引く
- 相続税の総額計算:法定相続分で按分し、税率を適用する
- 各相続人の税額計算:実際の相続割合で按分する
- 税額控除の適用:配偶者控除など各種控除を適用して最終納税額を確定
相続税の計算では、基礎控除額や配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例など、さまざまな優遇制度を活用できます。これらを適切に使うことで、納税額を大きく抑えられる可能性があります。
また、相続税の申告期限は相続開始から10か月以内と決まっています。遺産分割協議や財産調査に時間がかかることも多いため、早めに動き出すことが重要です。
計算方法に不安がある場合や、特例の適用について判断に迷う場合は、相続税に詳しい税理士や弁護士に相談することをおすすめします。専門家のサポートを受けることで、適正な申告と節税対策を両立できるでしょう。
相続は誰にでも起こりうることです。本記事を参考に、相続税の基本的な計算方法を理解し、万が一の時に備えてください。








