相続が発生したとき、まず必要になるのが「誰が相続人なのか」を正確に確定することです。遺産分割協議や相続登記、銀行口座の解約など、あらゆる相続手続きは法定相続人全員の関与が必要になります。
しかし、相続人調査を怠ったまま手続きを進めてしまうと、後から知らなかった相続人が現れて遺産分割協議がやり直しになったり、相続登記が無効になったりする可能性があります。
本記事では、相続人調査の具体的な方法、法定相続人の範囲と順位、戸籍収集の手順、特殊なケースへの対応まで、相続人確定に必要な知識を網羅的に解説します。
父が亡くなったのですが、誰が相続人になるのかよく分かりません。調べる方法を教えてください。
相続人調査は戸籍を使って行います。法定相続人の範囲と調査手順を順番に見ていきましょう。
相続人調査とは|なぜ必要なのか
相続人調査とは、被相続人(亡くなった方)の戸籍を出生から死亡まで遡って取得し、法定相続人を漏れなく確定する作業のことです。
民法では相続人になれる人の範囲と順位が厳格に定められており、この法定相続人全員が参加しなければ、遺産分割協議は無効となります。また、不動産の相続登記や銀行口座の解約、株式の名義変更など、ほぼすべての相続手続きで相続人全員の関与または同意が求められます。
相続人調査を正確に行わないと、以下のようなリスクが生じます。
相続人調査を怠った場合のリスク
- 後から別の相続人が判明し、遺産分割協議をやり直す必要が生じる
- 相続登記が無効となり、再度手続きが必要になる
- 相続税の申告期限(10ヶ月)に間に合わなくなる
- 相続人同士のトラブルや訴訟に発展する可能性がある
- 遺産分割が確定しないため、財産が長期間凍結される
特に、被相続人が過去に離婚していたり、養子縁組をしていたり、認知した子がいたりする場合は、想定外の相続人が存在することもあります。戸籍を丁寧に確認し、相続人を一人も漏らさず確定することが相続手続きの第一歩となります。
法定相続人の範囲と順位
民法では、相続人になれる人の範囲と優先順位が明確に定められています。配偶者は常に相続人となり、それ以外の親族には第1順位から第3順位までの順位があります。
上位の順位の人が一人でもいれば、下位の順位の人は相続人になりません。法定相続人の基本的な構造を理解することが、相続人調査の出発点となります。
配偶者は常に相続人
被相続人の配偶者(夫または妻)は、他の相続人の有無や順位にかかわらず、常に相続人となります。これは民法第890条で明確に定められています。
ただし、ここでいう「配偶者」とは、法律上の婚姻関係にある者に限られます。婚姻届を提出していない事実婚のパートナーや、内縁関係にある者は、どれだけ長く一緒に暮らしていても法定相続人にはなりません。
配偶者に関する重要ポイント
- 法律上の配偶者のみが相続人(事実婚・内縁は対象外)
- 離婚した元配偶者は相続人にならない
- 別居中でも離婚していなければ相続人となる
- 配偶者は他の順位の相続人と同時に相続する
- 配偶者の法定相続分は他の相続人の順位によって変動する
配偶者は血族相続人(子、親、兄弟姉妹)と並んで相続しますが、その法定相続分は同時に相続する血族の順位によって異なります。子と同時相続なら2分の1、親と同時相続なら3分の2、兄弟姉妹と同時相続なら4分の3が配偶者の法定相続分となります。
第1順位:子(直系卑属)
被相続人の子は、第1順位の相続人として、配偶者とともに相続します。子が複数いる場合は、その人数で均等に分割します。
ここでいう「子」には、実子だけでなく養子も含まれます。また、嫡出子(婚姻関係にある両親から生まれた子)と非嫡出子(婚姻関係にない両親から生まれた子)の相続分は同等であり、差別はありません(民法改正により平等化されました)。
第1順位に含まれる子
- 実子:嫡出子・非嫡出子ともに含む
- 養子:普通養子・特別養子ともに含む
- 認知された子:非嫡出子でも認知されていれば相続人
- 胎児:生きて生まれることを条件に相続人となる
- 孫(代襲相続):子が先に死亡している場合
子が被相続人より先に死亡している場合や、相続欠格・廃除によって相続権を失っている場合は、その子の子(被相続人の孫)が代襲相続人として相続します。代襲相続については後ほど詳しく解説します。
父には前妻との間に子がいるようなのですが、その子も相続人になるのでしょうか?
はい、前妻との子も法定相続人です。離婚しても親子関係は継続するため、必ず相続人調査に含める必要があります。
第2順位:直系尊属(父母・祖父母)
被相続人に子や孫などの直系卑属がいない場合、第2順位として直系尊属(父母、祖父母など)が相続人となります。
直系尊属の中では、親等が近い者が優先されます。つまり、父母が健在であれば祖父母は相続人になりません。父母の両方またはいずれかが死亡していて、祖父母が健在の場合に初めて祖父母が相続人となります。
養子の場合、養親と実親の両方が直系尊属として相続人になり得ます。特別養子縁組では実親との法的関係が切れますが、普通養子縁組では実親との関係も継続するため、養親・実親の両方が相続人になる可能性があります。
第2順位の優先順位
親等の近い者が優先される
- 父母が健在 → 父母のみが相続人
- 父母が両方死亡、祖父母が健在 → 祖父母が相続人
- 父のみ死亡、母と祖父母が健在 → 母のみが相続人(祖父母は対象外)
なお、直系尊属には代襲相続の制度はありません。たとえば父が先に死亡していても、その父(被相続人の祖父)が代わりに相続することはなく、母のみが相続人となります。
第3順位:兄弟姉妹
被相続人に子や孫などの直系卑属がおらず、かつ父母・祖父母などの直系尊属もいない場合、第3順位として兄弟姉妹が相続人となります。
兄弟姉妹の中には、被相続人と父母の両方を同じくする「全血兄弟姉妹」と、父母のいずれか一方のみを同じくする「半血兄弟姉妹」がいます。民法では、半血兄弟姉妹の法定相続分は全血兄弟姉妹の2分の1とされています。
兄弟姉妹の相続分の計算例
【例】配偶者と兄弟姉妹3人(全血2人、半血1人)が相続する場合
- 配偶者:4分の3
- 兄弟姉妹全体:4分の1
- 全血兄弟姉妹1人あたり:4分の1 × 2/5 = 10分の1
- 半血兄弟姉妹:4分の1 × 1/5 = 20分の1
※ 全血:全血:半血 = 2:2:1の比率で配分
兄弟姉妹が被相続人より先に死亡している場合、その子(被相続人の甥・姪)が代襲相続しますが、兄弟姉妹の代襲相続は一代限りです。甥・姪も死亡している場合、その子(被相続人の大甥・大姪)は代襲相続できません。
また、兄弟姉妹には遺留分がありません。そのため、被相続人が遺言で「兄弟姉妹には相続させない」と明記していた場合、兄弟姉妹は一切遺産を受け取ることができません。
代襲相続とは|相続人が先に亡くなっている場合
代襲相続とは、本来相続人となるべき人が被相続人より先に死亡していたり、相続欠格や廃除によって相続権を失っている場合に、その人の子が代わりに相続する制度です。
たとえば、被相続人Aの子Bが既に死亡していて、Bに子C(Aの孫)がいる場合、CがBの代わりに相続人となります。これが代襲相続です。
代襲相続が発生する要件
代襲相続が発生するのは、以下の3つのケースです。
代襲相続が発生する3つのケース
- 死亡:相続人が被相続人より先に死亡していた
- 相続欠格:相続人が民法891条の欠格事由に該当し相続権を失った
- 相続人の廃除:被相続人の意思により相続権を剥奪された
※ 相続放棄の場合は代襲相続は発生しません
重要なのは、相続放棄の場合は代襲相続が発生しないという点です。相続人が自らの意思で相続放棄をした場合、その子が代わりに相続することはありません。相続放棄をした者は「初めから相続人ではなかった」ものとして扱われるためです。
代襲相続の範囲と制限
代襲相続ができる範囲は、相続人の順位によって異なります。
順位別の代襲相続ルール
- 第1順位(子):子→孫→曾孫と無制限に代襲相続が続く
- 第2順位(直系尊属):代襲相続なし(親等の近い者が優先されるのみ)
- 第3順位(兄弟姉妹):兄弟姉妹→甥・姪で一代限り(甥・姪の子は代襲不可)
第1順位の子の場合、代襲相続に制限はありません。子が死亡していれば孫が、孫も死亡していれば曾孫が、と無制限に続きます。一方、第3順位の兄弟姉妹の場合は一代限りで、甥・姪までしか代襲できません。
第2順位の直系尊属には代襲相続の概念がありません。父が死亡していても祖父が代襲するのではなく、単に親等の近い母のみが相続人となるという仕組みです。
父より先に兄が亡くなっていて、兄の子(甥)がいます。甥も相続人になりますか?
はい、兄が第1順位の相続人(子)であれば、甥が代襲相続人として相続します。戸籍調査で甥の存在も確認する必要があります。
相続人調査の具体的な手順
相続人を正確に確定するには、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍を取得し、法定相続人を確認する必要があります。戸籍には婚姻・離婚・養子縁組・認知などの情報が記載されており、これを追跡することで相続人の全容が明らかになります。
Step1:被相続人の戸籍を出生まで遡って取得
まず、被相続人の死亡の記載がある戸籍(除籍謄本)を取得します。これは被相続人の最後の本籍地の市区町村役場で取得できます。
しかし、この戸籍だけでは不十分です。戸籍は婚姻や転籍によって新しく作られるため、被相続人の一生の間に複数の戸籍が存在します。そのため、死亡時の戸籍から順番に遡り、出生時の戸籍まですべて取得する必要があります。
戸籍を遡る際の流れ
- 死亡時の本籍地で「除籍謄本」を取得
- その戸籍の冒頭にある「従前戸籍」の情報を確認
- 従前戸籍のあった市区町村に「改製原戸籍」や「除籍謄本」を請求
- さらに古い戸籍の情報があれば、同様に請求を繰り返す
- 出生の記載がある戸籍に到達したら完了
戸籍の様式は過去に何度か改製されており、「平成改製原戸籍」「昭和改製原戸籍」「明治・大正の戸籍」など、複数の種類があります。古い戸籍は手書きで読みにくいこともありますが、相続人の漏れを防ぐためにはすべて確認する必要があります。
戸籍の取得方法や読み方については、「相続人の戸籍の集め方」の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
Step2:戸籍から相続人を特定する
被相続人の出生から死亡までの戸籍がすべて揃ったら、戸籍に記載されている情報をもとに法定相続人を確定します。
戸籍から確認すべき主なポイントは以下の通りです。
戸籍で確認すべき事項
- 配偶者の有無:死亡時に婚姻関係が継続しているか
- 子の人数:実子・養子・認知した子を含む
- 離婚歴と前婚の子:過去の婚姻と前配偶者との子の有無
- 養子縁組:養子縁組や離縁の記録
- 認知:婚外子を認知した記録
- 子の死亡:子が先に死亡している場合は代襲相続の確認
- 直系尊属の生死:子がいない場合は父母・祖父母の確認
- 兄弟姉妹:子も直系尊属もいない場合は兄弟姉妹の確認
特に注意が必要なのは、離婚した前配偶者との間の子や、認知された非嫡出子です。これらの子も法定相続人となるため、戸籍に記載があれば必ず相続人調査に含める必要があります。
子が被相続人より先に死亡している場合は、その子の戸籍も取得し、代襲相続人となる孫の有無を確認します。兄弟姉妹が相続人となる場合も、既に死亡している兄弟姉妹がいれば、その子(甥・姪)の確認が必要です。
Step3:相続人全員の戸籍謄本を取得
法定相続人が確定したら、相続人全員の現在の戸籍謄本を取得します。これは、相続手続きにおいて相続人が現在生存していることを証明するために必要となります。
相続人の戸籍謄本は、それぞれの本籍地の市区町村役場で取得します。本籍地が遠方の場合は、郵送で請求することも可能です。
相続手続きで必要な戸籍書類
- 被相続人:出生から死亡までの連続した戸籍(除籍謄本・改製原戸籍)
- 相続人全員:現在の戸籍謄本(発行から3〜6ヶ月以内)
- 代襲相続人:被代襲者(死亡した相続人)の死亡の記載がある戸籍
※ 手続きによって有効期限が異なる場合があります
これらの戸籍書類は、不動産の相続登記、銀行口座の解約、証券口座の名義変更、相続税の申告など、ほぼすべての相続手続きで提出を求められます。
Step4:相続関係説明図の作成
戸籍調査が完了したら、相続関係説明図を作成します。これは、被相続人と相続人の関係を一目で分かるようにした図表です。
相続関係説明図は法定の書式ではありませんが、相続登記や銀行手続きの際に提出すると、戸籍の原本を還付してもらえるため、作成しておくことをおすすめします。また、相続人同士で相続関係を共有する際にも役立ちます。
相続関係説明図の記載内容
- 被相続人の氏名・生年月日・死亡日・最後の住所・本籍
- 相続人全員の氏名・生年月日・住所・続柄
- 代襲相続人がいる場合は被代襲者の情報
- 相続放棄した者がいる場合はその旨
- 家系図のような図式で関係性を示す
※ 法務局のウェブサイトに記載例があります
相続関係説明図は、法務局や弁護士・司法書士に依頼して作成することもできますが、自分で作成することも可能です。法務局のウェブサイトには記載例が掲載されていますので、参考にするとよいでしょう。
特殊なケースの相続人調査
相続人調査では、通常のケースだけでなく、養子や非嫡出子、行方不明者など、特殊なケースへの対応も必要になることがあります。それぞれのケースで確認すべき事項や手続きが異なるため、注意が必要です。
養子がいる場合
養子は実子と同じく法定相続人となります。日本の養子縁組には「普通養子縁組」と「特別養子縁組」の2種類があり、それぞれ相続関係が異なります。
養子の種類と相続関係
【普通養子縁組】
- 養親との親子関係が成立し、養親の相続人となる
- 実親との親子関係も継続し、実親の相続人でもある
- 養親・実親の両方から相続できる
【特別養子縁組】
- 養親との親子関係が成立し、養親の相続人となる
- 実親との親子関係は法的に終了する
- 養親のみから相続し、実親からは相続しない
養子縁組の有無や種類は戸籍に記載されています。普通養子の場合、「養子となった日」や「養親氏名」が記載され、特別養子の場合は「特別養子縁組」と明記されます。
また、養子縁組を解消する「離縁」が行われている場合、その後は相続人とはなりません。離縁の記載も戸籍で確認できます。
非嫡出子(婚外子)がいる場合
非嫡出子とは、婚姻関係にない男女の間に生まれた子のことです。非嫡出子も認知されていれば法定相続人となり、嫡出子と同等の相続権を持ちます。
認知には「任意認知」と「強制認知(裁判認知)」があり、いずれの場合も戸籍に記載されます。父親の戸籍には「認知」の事項欄に認知した子の情報が、子の戸籍には「父」の欄に父親の名前が記載されます。
非嫡出子の相続調査の注意点
- 認知されていない非嫡出子は相続人にならない
- 認知は父親の死後でも可能(死後認知)
- 死後認知が成立すると、既に終了した遺産分割も再度協議が必要になる場合がある
- 平成25年の民法改正により、非嫡出子と嫡出子の相続分は同等
認知された非嫡出子がいる場合、他の相続人が存在を知らないこともあります。戸籍調査で初めて判明するケースも多いため、戸籍の確認は慎重に行う必要があります。
父の戸籍に「認知」という記載があったのですが、これはどういう意味ですか?
お父様が認知した子がいるということです。その子も法定相続人になりますので、相続手続きに参加してもらう必要があります。
行方不明の相続人がいる場合
相続人の中に行方不明者がいる場合、その人を除いて遺産分割協議を進めることはできません。行方不明者も法定相続人であり、その同意なしに遺産分割は無効となるためです。
行方不明者がいる場合の対応方法は、行方不明の期間や状況によって異なります。
行方不明者がいる場合の対応
【生死が不明で7年以上経過している場合】
- 家庭裁判所に「失踪宣告」を申し立てる
- 認められれば、7年経過時点で死亡したものとみなされる
- その相続人(代襲相続人)が相続することになる
【生死は分かるが連絡が取れない場合】
- 家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申し立てる
- 選任された管理人が行方不明者に代わって遺産分割協議に参加
- ただし管理人は法定相続分を下回る内容には同意できない
失踪宣告や不在者財産管理人の選任には、家庭裁判所への申立てが必要であり、手続きには数ヶ月かかることもあります。行方不明者がいる場合は、早めにベンナビ相続などで専門家に相談することをおすすめします。
外国籍の相続人がいる場合
相続人の中に外国籍の者がいる場合でも、日本に住所があれば通常通り相続手続きを進めることができます。ただし、印鑑証明書の代わりに「サイン証明書」を使用するなど、一部手続きが異なります。
外国籍の相続人が海外に居住している場合は、以下の書類が必要になることがあります。
海外在住の相続人に必要な書類
- 在留証明書:現地の日本大使館・領事館で取得
- サイン証明書:印鑑証明書の代わり
- 戸籍謄本:日本国籍であれば日本の戸籍を取得
- 翻訳文:外国語の書類には日本語訳が必要
また、相続税の申告や不動産の相続登記など、手続きによっては追加の書類が必要になることもあります。海外在住の相続人がいる場合は、手続きに時間がかかることを想定して早めに準備を始めることが重要です。
相続欠格と廃除|相続権を失うケース
法定相続人であっても、一定の事由により相続権を失うことがあります。それが「相続欠格」と「相続人の廃除」です。これらの制度は、相続人としてふさわしくない者から相続権を剥奪するためのものです。
相続欠格とは
相続欠格とは、民法891条に定められた一定の非行がある場合に、法律上当然に相続権を失う制度です。家庭裁判所の手続きは不要で、欠格事由に該当すれば自動的に相続権を失います。
相続欠格の5つの事由(民法891条)
- 故意の殺害:被相続人または先順位・同順位の相続人を故意に殺害し、刑に処せられた
- 殺害の認識:被相続人が殺害されたことを知りながら告発・告訴しなかった(ただし、是非弁別能力がない者や殺害者が配偶者・直系血族の場合を除く)
- 詐欺・強迫:詐欺または強迫によって、被相続人の遺言の作成・撤回・取消し・変更を妨げた
- 遺言への干渉:詐欺または強迫によって、被相続人に遺言をさせたり、撤回・取消し・変更させた
- 遺言の偽造等:遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した
相続欠格に該当する場合、その者は初めから相続人ではなかったものとして扱われますが、その子は代襲相続することができます。
相続人の廃除とは
相続人の廃除とは、被相続人の意思により、著しい非行のある相続人の相続権を剥奪する制度です。相続欠格とは異なり、被相続人が生前に家庭裁判所に申し立てるか、遺言で廃除の意思表示をする必要があります。
相続人の廃除が認められる事由
- 虐待:被相続人に対する虐待
- 重大な侮辱:被相続人に対する重大な侮辱
- 著しい非行:その他の著しい非行
※ 単なる親子喧嘩や性格の不一致では認められない
廃除が認められるのは、遺留分を有する推定相続人(配偶者、子、直系尊属)のみです。兄弟姉妹には遺留分がないため、廃除の対象とはなりません(遺言で相続させないと記載すれば足ります)。
廃除された者も代襲相続の原因となるため、その子が代襲相続人として相続します。また、被相続人は生前または遺言でいつでも廃除を取り消すことができます。
相続人調査を専門家に依頼するメリット
相続人調査は自分で行うこともできますが、戸籍の読み取りや複雑な相続関係の整理には専門知識が必要です。特に以下のようなケースでは、専門家に依頼することをおすすめします。
専門家への依頼を検討すべきケース
- 被相続人が何度も転籍していて、戸籍の収集が複雑
- 古い戸籍が手書きで読み取りが困難
- 離婚歴があり、前婚の子の存在が疑われる
- 認知された非嫡出子がいる可能性がある
- 相続人に行方不明者がいる
- 海外在住の相続人がいる
- 相続税の申告期限が迫っている
- 相続人同士の関係が良好でなく、トラブルが予想される
相続人調査を依頼できる専門家には、主に以下の3つがあります。
司法書士に依頼する場合
司法書士は、相続登記の専門家として、戸籍収集から相続関係説明図の作成、相続登記までをワンストップで依頼できます。不動産の相続がある場合は司法書士への依頼が一般的です。
費用の目安は、戸籍収集と相続関係説明図の作成で3万円〜5万円程度、相続登記まで含めると8万円〜15万円程度が相場です。
行政書士に依頼する場合
行政書士は、戸籍収集や相続関係説明図の作成、遺産分割協議書の作成などを依頼できます。相続登記や裁判手続きは行えませんが、比較的費用を抑えて依頼できるのがメリットです。
費用の目安は、戸籍収集と相続関係説明図の作成で2万円〜4万円程度です。
弁護士に依頼する場合
弁護士は、相続全般の法律相談から、トラブル対応、裁判手続きまですべてを依頼できます。相続人間でトラブルが予想される場合や、既にトラブルが発生している場合は弁護士への依頼が必要です。
費用は依頼内容によって異なりますが、戸籍収集のみであれば5万円〜10万円程度、遺産分割協議の代理まで含めると数十万円以上となることもあります。
ベンナビ相続では、相続に詳しい弁護士を全国から検索でき、初回相談無料の事務所も多数登録されています。まずは気軽に相談してみることをおすすめします。
相続人調査は自分でもできそうですが、不安な場合は専門家に相談したほうが安心ですね。
そうですね。特に複雑なケースでは、専門家に依頼することで確実に相続人を確定でき、後々のトラブルを防ぐことができます。
よくある質問(FAQ)
- 相続人調査はいつまでに行う必要がありますか?
- 相続人調査自体に法的な期限はありませんが、相続税の申告期限(被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内)や、相続放棄の期限(相続の開始を知った日から3ヶ月以内)に間に合わせる必要があります。また、不動産の相続登記は令和6年4月から義務化されており、相続の開始を知った日から3年以内に登記しないと過料の対象となります。そのため、相続が発生したら早めに相続人調査を開始することをおすすめします。
- 戸籍を取得できるのは誰ですか?
- 被相続人の戸籍は、配偶者や直系血族(子、孫、父母、祖父母)であれば請求できます。兄弟姉妹や甥・姪などが請求する場合は、相続人であることを証明する資料(被相続人の死亡の記載がある戸籍など)が必要になることがあります。また、司法書士や弁護士などの専門家に委任すれば、代理で取得してもらうことも可能です。本人以外が請求する場合は、本人確認書類や委任状が必要となります。
- 相続人が一人も見つからない場合はどうなりますか?
- 法定相続人が一人も存在しない場合、遺産は最終的に国庫に帰属します。ただし、その前に利害関係人や検察官の請求により、家庭裁判所が「相続財産清算人」(旧:相続財産管理人)を選任します。相続財産清算人は、被相続人の債務を弁済し、相続人を捜索し、それでも相続人が現れなければ特別縁故者への財産分与を行い、残った財産を国庫に帰属させます。特別縁故者とは、被相続人と生計を同じくしていた者や、被相続人の療養看護に努めた者などです。
- 相続人調査の結果、知らない相続人が見つかった場合はどうすればよいですか?
- 知らなかった相続人が見つかった場合でも、その人も含めて遺産分割協議を行う必要があります。まずは連絡先を調べ、相続が発生したことを通知し、遺産分割協議への参加を求めます。連絡先が分からない場合は、戸籍の附票を取得すれば現在の住所が分かります。相続人同士の関係が希薄な場合や、トラブルが予想される場合は、弁護士に間に入ってもらうことをおすすめします。ベンナビ相続では、このような複雑なケースに対応できる弁護士を探すことができます。
- 相続人調査で戸籍以外に必要な書類はありますか?
- 相続人調査では主に戸籍を使用しますが、手続きによっては以下の書類も必要になることがあります。住民票(相続人全員分)、戸籍の附票(住所の履歴を確認する場合)、印鑑証明書(遺産分割協議書に添付)、固定資産評価証明書(不動産の相続登記)、残高証明書(銀行口座の相続)などです。どの書類が必要かは、相続財産の種類や手続きの内容によって異なりますので、専門家に確認することをおすすめします。
- 相続人調査の費用はどのくらいかかりますか?
- 自分で行う場合は、戸籍の取得費用(1通450円〜750円)と郵送費のみで、数千円程度で済みます。専門家に依頼する場合は、行政書士で2万円〜4万円程度、司法書士で3万円〜5万円程度、弁護士で5万円〜10万円程度が相場です。ただし、相続関係が複雑な場合や、取得する戸籍の数が多い場合は、追加費用がかかることもあります。また、相続登記や遺産分割協議の代理まで依頼する場合は、別途費用が発生します。
まとめ|相続人調査は相続手続きの第一歩
相続人調査は、すべての相続手続きの基礎となる重要なプロセスです。被相続人の出生から死亡までの戸籍を丁寧に確認し、法定相続人を一人も漏らさず確定することが、スムーズな相続手続きの鍵となります。
相続人調査のポイント
- 配偶者は常に相続人、それ以外は第1〜3順位の順で相続
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍をすべて取得する
- 離婚歴や認知、養子縁組などの記載を見逃さない
- 代襲相続が発生する場合は、孫や甥・姪の確認も必要
- 相続関係説明図を作成しておくと便利
- 複雑なケースでは専門家に依頼することも検討する
相続人調査を怠ると、後から別の相続人が判明して遺産分割協議がやり直しになったり、相続登記が無効になったりするリスクがあります。また、相続税の申告期限や相続登記の義務化期限もあるため、相続が発生したら早めに相続人調査に着手することが重要です。
自分で戸籍を収集することも可能ですが、戸籍の読み取りが困難な場合や、相続関係が複雑な場合は、司法書士・行政書士・弁護士などの専門家に依頼することをおすすめします。特に、相続人間でトラブルが予想される場合は、早めに弁護士に相談することで、円滑な相続手続きを進めることができます。
ベンナビ相続では、相続人調査や遺産分割協議に詳しい弁護士を全国から検索できます。初回相談無料の事務所も多数登録されていますので、まずは気軽に相談してみてはいかがでしょうか。








