相続税の節税対策【生前にできる7つの方法】2024年改正対応版

「自分が死んだとき、家族に多額の相続税がかかるのでは」と心配している方は少なくありません。

実際、2015年の基礎控除引き下げ以降、相続税の課税対象者は大幅に増加しました。東京都では2021年時点で亡くなった方の約15%が相続税の申告対象とされており、相続税はもはや富裕層だけの問題ではなくなっています。

ただし、生前から適切な対策を講じることで、相続税の負担を合法的に大きく減らせる可能性があります。この記事では、相続税の節税対策として生前にできる具体的な方法を、令和5年(2023年)の税制改正を踏まえてわかりやすく解説します。

この記事でわかること:

  • 相続税の基礎控除の仕組みと活用方法
  • 生前贈与(年110万円・各種特例)による節税の具体的な効果
  • 生命保険の非課税枠・小規模宅地等の特例・配偶者控除の使い方
  • 養子縁組・不動産活用による節税の考え方
  • 令和5年改正・贈与加算7年ルールへの対応策
目次

相続税の基礎控除とは?まず最低限ここを理解する

節税対策を考える前に、相続税がかかる仕組みを確認しておきましょう。

相続税は、亡くなった方(被相続人)の財産の総額から「基礎控除額」を差し引いた金額に対して課税されます。基礎控除額以下の財産であれば、相続税はかかりません。

基礎控除の計算式

相続税の基礎控除額は、以下の計算式で求めます。

基礎控除額 = 3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)

たとえば、法定相続人が配偶者と子ども2人の合計3人の場合、基礎控除額は次のようになります。

3,000万円 +(600万円 × 3人)= 4,800万円

つまり、遺産総額が4,800万円以下であれば相続税はかかりません。

法定相続人の数が多いほど基礎控除額が増えるため、相続人の数は節税において重要な要素の一つです。

基礎控除を超えると相続税が発生する

遺産総額が基礎控除額を超えた部分(課税遺産総額)に対して、相続税が課税されます。

税率は10%〜55%の累進課税で、課税遺産総額が多いほど税率が高くなります。

課税遺産総額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

(出典:国税庁「相続税の税率」)

遺産が多いほど税負担が重くなるため、早めに対策を講じることが重要です。

誰が法定相続人になるか

基礎控除の計算に使う「法定相続人の数」は、民法の規定に基づきます。

法定相続人の範囲は、配偶者(常に相続人)と血族相続人(子→親→兄弟姉妹の順)です。養子縁組をした場合、養子も法定相続人に含まれますが、相続税計算上カウントできる養子の人数には制限があります(後述)。

生前贈与による節税対策|年110万円の基本から各種特例まで

相続税の節税対策として最もよく知られているのが「生前贈与」です。生きているうちに財産を少しずつ移転させることで、相続時の課税対象財産を減らす効果があります。

暦年贈与(年110万円の基礎控除)の活用

贈与税には「年間110万円の基礎控除」があります。1月1日から12月31日の1年間に受け取った贈与額の合計が110万円以下であれば、贈与税はかかりません。

この仕組みを使い、毎年コツコツと財産を移転させる方法を「暦年贈与」といいます。

たとえば、子ども2人と孫2人の合計4人に毎年110万円ずつ贈与すると、年間440万円を非課税で移転できます。これを10年続ければ4,400万円の財産を相続財産から切り離せます。

子・孫・配偶者など複数人への贈与を組み合わせることで、年間の非課税移転額を大きく増やせるのが暦年贈与の強みです。

ただし、毎年同じ金額・同じ時期に贈与を繰り返すと「定期贈与(あらかじめ一定の金額を定期的に贈与する合意)」とみなされ、合計額が一括贈与として課税されるリスクがあります。金額や時期に意図的にバラツキをもたせることをお勧めします。

令和5年(2023年)税制改正により、相続開始前の生前贈与加算期間が「3年」から「7年」に延長されました(2024年1月1日以降の贈与から適用)。早期に贈与を開始することが今まで以上に重要です。

相続時精算課税制度の活用と改正ポイント

相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与について、累計2,500万円まで贈与税を非課税にする制度です(2,500万円超の部分は一律20%課税)。ただし、受け取った贈与財産は将来の相続時に相続財産に加算されます。

令和5年改正で年110万円の「基礎控除」が新設されました。2024年1月1日以降の贈与については、相続時精算課税制度を選択した場合でも、年間110万円以下の贈与は贈与税が非課税となり、かつ相続財産への加算も不要になりました。

この改正により、相続時精算課税制度の使い勝手が大幅に向上しています。特に値上がりが見込まれる財産(株式・不動産など)を早期に移転させたい場合に有効な選択肢となっています。

住宅取得等資金の贈与特例

父母・祖父母から子・孫が住宅を取得するための資金を贈与された場合、一定額まで非課税となる特例があります。省エネ等住宅の場合は最大1,000万円、その他の住宅は最大500万円まで非課税で贈与できます(令和5年12月31日まで。延長・改正の可能性あり)。

住宅を購入予定の子どもや孫に対して、この特例を活用して資金援助することで、相続財産の圧縮と子世代の住宅取得支援を同時に実現できます。

教育資金・結婚・子育て資金の一括贈与特例

祖父母・父母から子・孫への教育資金(1,500万円まで非課税)や結婚・子育て資金(1,000万円まで非課税)の一括贈与に関する特例制度もあります。

ただし、適用要件が細かく、金融機関での専用口座の設定・管理が必要です。また、贈与者が亡くなった時点で管理残高がある場合、相続財産に加算されるルールがあります。活用する際は税理士への相談をお勧めします。

生命保険の非課税枠を活用した節税

生命保険は、相続税の節税において非常に効果的な手段の一つです。

生命保険の非課税枠の仕組み

被相続人が契約者・被保険者となり、相続人が受取人となる生命保険金には、相続税の非課税枠が設けられています。

非課税枠 = 500万円 × 法定相続人の数

たとえば、法定相続人が3人の場合、1,500万円までの生命保険金は相続税が非課税となります。

現金で財産を持っていると全額が相続税の課税対象となりますが、生命保険に変換することで最大500万円×相続人数分を非課税にできます。これは相続税対策の中でも費用対効果が高い方法の一つです。

生命保険の節税効果を最大化するポイント

生命保険による節税を有効に活用するためのポイントを整理します。

まず、契約形態が重要です。「契約者=被相続人、被保険者=被相続人、受取人=相続人」という形態でなければ、非課税枠が適用されません。たとえば受取人が相続人以外(内縁のパートナーや孫など)の場合、非課税枠の適用外となる場合があります。

次に、受取人の指定に注意が必要です。受取人を「法定相続人全員」ではなく特定の人物に指定することで、遺産分割の対象外として確実に承継させることもできます。

また、保険料の支払い能力がある年齢・健康状態のうちに契約しておく必要があります。高齢になると加入できる保険の種類が限られてくるため、早めの検討をお勧めします。

一時払い終身保険の活用

まとまった現金を一時払い終身保険に変換する方法もよく使われます。保険料を一括で払い込み、死亡保険金を相続人が受け取る形にすることで、非課税枠を利用しながら確実に財産を移転できます。

一時払いのため運用リスクはありますが、銀行預金よりも死亡保険金として受け取れる金額が多い商品が多く、節税と資産保全を兼ねた方法として活用されています。

小規模宅地等の特例|土地評価額を最大80%減額

自宅や事業用の土地を相続する場合、「小規模宅地等の特例」を活用することで、土地の評価額を大幅に下げられます。

小規模宅地等の特例の概要

小規模宅地等の特例とは、被相続人が居住または事業に使用していた土地について、一定の要件を満たす場合に相続税の計算上の評価額を減額できる制度です。

区分 限度面積 減額割合
特定居住用宅地等(自宅) 330㎡ 80%減
特定事業用宅地等(事業用) 400㎡ 80%減
貸付事業用宅地等(賃貸) 200㎡ 50%減

たとえば路線価評価で6,000万円の自宅土地がある場合、小規模宅地等の特例を適用すると評価額が1,200万円(80%減)まで下がります。差額の4,800万円が課税遺産総額から除外されるため、節税効果は非常に大きいといえます。

都市部に自宅をお持ちの方にとって、小規模宅地等の特例は相続税対策の中核となる制度です。適用要件を事前に確認しておくことが重要です。

特定居住用宅地の適用要件

自宅の土地に80%減額を適用するには、相続人が以下の要件のいずれかを満たす必要があります。

配偶者が相続する場合は要件なしで適用できます。同居親族が相続する場合は、相続税の申告期限(死亡から10ヶ月)まで引き続き居住・保有することが条件です。

いわゆる「家なき子特例」として、別居の子どもが相続する場合も、相続開始前3年以内に自己所有の家に住んでいなかった等の一定要件を満たせば適用が受けられます(2018年改正でこの要件が厳格化されています)。

注意点として、相続人が申告期限前に土地・建物を売却してしまうと特例が適用されなくなります。相続後の財産管理は慎重に行う必要があります。

貸付事業用宅地の活用(アパート・マンション経営)

被相続人が賃貸経営していた土地(アパート・駐車場等)は、貸付事業用宅地として200㎡まで50%減額が適用されます。

賃貸不動産の相続税評価額はもともと「貸家建付地」として自用地評価より低く計算されるため、不動産投資を通じた相続税対策に関心を持つ方は多くいます。ただし、投資リスクや維持管理コストも発生するため、純粋な節税目的だけでなく総合的な判断が必要です。

配偶者の税額軽減(配偶者控除)を最大活用する

配偶者が相続する場合には、非常に大きな税額軽減措置があります。

配偶者控除の内容

配偶者が取得した財産のうち、以下のいずれか多い金額まで相続税が非課税となります。

  • 1億6,000万円
  • 配偶者の法定相続分

つまり、配偶者の法定相続分(通常は1/2)に相当する財産を相続した場合、あるいは遺産総額が1億6,000万円以下であれば、配偶者には相続税がかかりません。

「1億6,000万円まで非課税」という大きな優遇措置は、二次相続(配偶者が亡くなったときの相続)を見据えた財産配分の設計に活用できます。

二次相続を見据えた財産配分の重要性

配偶者控除を最大限使うと、一次相続での相続税は大幅に減らせます。しかし、配偶者に財産を集中させすぎると、配偶者が亡くなった際の二次相続で子どもたちに多額の相続税が発生する場合があります。

一次相続と二次相続を合算したトータルの相続税負担を試算してから、遺産分割の方針を決めることをお勧めします。配偶者控除の使い過ぎが二次相続の重税を招くケースは少なくありません。

特に、配偶者が比較的若く長生きする可能性がある場合や、配偶者自身もすでに多くの財産を持っている場合は注意が必要です。税理士に一次・二次相続のシミュレーションを依頼することを強くお勧めします。

養子縁組による節税対策|相続人数を増やして基礎控除を拡大

法定相続人の数を増やすことで基礎控除額を拡大し、相続税を軽減する方法として「養子縁組」があります。

養子縁組の節税効果

法定相続人を1人増やすと、基礎控除が600万円増加します。また、生命保険・退職金の非課税枠も500万円増えます。合計で最大1,100万円分の節税効果が期待できます。

孫を養子にする方法は特によく使われます。孫は通常、子どもの代わりに代襲相続人にならない限り法定相続人にはなれませんが、養子にすることで相続人の地位を得られます。子ども→孫という二段階の相続を一段スキップできるため「相続飛ばし」とも呼ばれ、将来の相続税を減らす効果があります。

養子縁組の制限と注意点

相続税の計算上、養子の人数には上限があります。実子がいる場合は養子1人まで、実子がいない場合は養子2人まで法定相続人の数に含めることができます。

これを超える養子は基礎控除の計算に含められませんが、遺産分割の当事者にはなれます。

税務署は「専ら相続税を減少させることを目的とした養子縁組」については否認できるとされています(最高裁2017年1月31日判決)。節税目的だけでなく、実態を伴う家族関係の形成を前提とした養子縁組であることが重要です。

また、養子縁組は戸籍に記載され、法的な親子関係が生じます。相続時に思わぬトラブルを招かないよう、家族への十分な説明と合意形成が欠かせません。

不動産活用による相続税対策

現金や預金を不動産に変換することで、相続税評価額を下げる方法があります。

現金から不動産への変換で評価額が下がる理由

現金・預金は額面通りの評価ですが、不動産は「路線価」または「固定資産税評価額」で評価されます。一般的に、不動産の相続税評価額は時価(市場価格)の60〜80%程度とされるケースが多く、現金より評価額を圧縮できます。

さらに賃貸物件の場合、「貸家建付地」「借地権」「賃借権」等の評価減が加わり、時価比で50〜60%程度の評価額になる場合もあります。

ただし、2023年の国税庁通達改正により、著しく低い評価額の不動産(いわゆるタワマン節税等)については時価評価に近い形で見直しが行われています。不動産を使った節税は専門家への相談が不可欠です。

アパート・マンション経営による節税の仕組み

更地は自用地として路線価で評価されますが、建物を建てて賃貸に供すると「貸家建付地」として評価減が適用されます。評価減の割合は次の通りです。

自用地評価額 × (1 − 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)

東京都内の場合、借地権割合が60〜80%、借家権割合が30%のため、更地評価から18〜24%程度の評価減になる計算です。さらに小規模宅地等の特例(貸付事業用、50%減)を組み合わせることで、大幅な節税効果が期待できます。

ただし、空室リスク・修繕費用・管理コスト・金利リスクなどの投資リスクを十分に検討したうえで判断してください。節税メリットのみを強調した不動産販売には注意が必要です。

不動産の活用と「タワマン節税」規制への対応

かつては高層マンション(タワマン)の上層階を購入することで、時価と相続税評価額の乖離を意図的に作り出す節税スキームが使われていました。しかし、国税庁は2023年1月にマンションの相続税評価額の計算方法を見直す方針を打ち出し、同年10月から新たな評価ルールが適用されています。

新ルールでは、相続税評価額が時価の60%を下回る場合に評価額を補正する仕組みが導入されました。これにより、タワマンを利用した大幅な節税は難しくなっています。

令和5年改正・7年ルールへの対応|生前贈与戦略の見直しが急務

2023年(令和5年)の税制改正は、相続税の節税戦略に大きな影響を与えます。改正内容を正確に理解したうえで、計画の見直しを検討してください。

生前贈与加算期間が3年から7年に延長

従来は、相続開始前3年以内の生前贈与は相続財産に加算(持ち戻し)されていましたが、2024年1月1日以降の贈与からは、加算期間が7年に延長されます。

経過措置として、2024年〜2030年にかけて段階的に延長されます。7年分の加算といっても、延長された4年間(相続開始前4〜7年)に受け取った贈与については、総額100万円まで相続財産への加算が免除されます。

相続開始年 加算対象期間
〜2026年12月31日 相続開始前3年以内
2027年1月1日〜 段階的に延長
2031年1月1日〜 相続開始前7年以内(完全施行)

このルール変更により、亡くなる直前の数年間だけ贈与を集中させる節税手法の効果が薄れます。できるだけ早い段階から、長期にわたる贈与計画を立てることが重要です。

相続時精算課税の基礎控除新設を活用する

前述の通り、2024年1月以降、相続時精算課税制度に年110万円の基礎控除が新設されました。この改正により、相続時精算課税と暦年贈与の使い分けが変わっています。

暦年贈与の場合、7年以内の贈与は相続財産に加算されます。一方、相続時精算課税の基礎控除(年110万円以下)は加算対象外です。つまり、長年の節税目的での活用においては、相続時精算課税の方が有利になるケースが増えています。

どちらが有利かは個々の財産規模・家族構成・想定相続時期によって異なるため、専門家に相談しながら選択することをお勧めします。

贈与計画を長期化・分散化することが最重要

7年ルールへの最善の対応策は、「早期から・多人数に・継続的に」贈与を行うことです。

相続発生の見通しが立ちにくいため難しい面もありますが、少なくとも10年以上の計画を立てて実行することが、将来の節税効果を高めます。被相続人が70歳を過ぎたら、積極的に生前対策を始めることを検討してください。

専門家(税理士)に相談すべきケースと選び方

ここまで紹介した節税対策は、それぞれ適用要件が複雑で、組み合わせによって効果が変わります。独力での実施にはリスクがあるため、専門家のサポートを受けることを強くお勧めします。

税理士への相談が特に重要なケース

  • 遺産総額が5,000万円を超える場合
  • 不動産・事業用資産が含まれる場合
  • 法定相続人が多い・複雑な家族構成の場合
  • 養子縁組・不動産購入などを検討している場合
  • 相続時精算課税制度と暦年贈与のどちらが有利か判断できない場合
  • 二次相続まで含めたトータルの税負担を試算したい場合

相続専門の税理士に相談することで、自分では気づかなかった節税手法を発見できることが多くあります。初回相談を無料で受け付けている事務所も多いため、まずは相談だけでもしてみることをお勧めします。

税理士選びのポイント

相続税に強い税理士を選ぶうえでのポイントをまとめます。

まず、相続税申告の実績が豊富かどうかを確認しましょう。税理士全体の中でも、相続税を専門・得意とする税理士は一部です。相続専門サイトを持っている・年間申告件数が明示されている事務所を選ぶと安心です。

次に、報酬体系が明確かどうかです。相続税申告の報酬は「遺産総額の0.5〜1.0%程度」が目安とされることが多いですが、事務所によって異なります。事前に見積もりを取り、追加費用の条件も確認しておきましょう。

また、節税対策は申告だけでなく事前の生前対策が重要です。生前相談に対応している税理士に依頼することで、長期的な節税プランを一緒に設計してもらえます。

相続税の節税対策を実行する際のよくある失敗と注意点

節税対策を進める中で、多くの方がいくつかの典型的な失敗をしています。事前に知っておくことで回避できるポイントを整理します。

贈与の証拠を残さない

暦年贈与は「実際に贈与が行われた」という事実を証明できることが前提です。口頭だけでのやり取りや、贈与した側の口座から引き出してそのまま管理している場合、税務署から「名義預金(本人の財産を子どもや孫の名義にしただけ)」と判断されるリスクがあります。

贈与の証拠として有効なのは、贈与契約書の作成・受贈者名義の口座への振込・受贈者が実際に資金を管理・使用していることの3点です。毎年の贈与ごとに書面を残し、受贈者が自ら口座を管理するようにしましょう。

特に孫への贈与では、孫が未成年の場合に祖父母や親が代わりに管理していることが多く、名義預金とみなされやすい傾向があります。通帳・印鑑を孫自身が管理するよう成人後に切り替えることをお勧めします。

相続税の申告を「必要ない」と思い込む

「基礎控除を超えていないから申告は不要」と判断してしまうケースがあります。しかし、小規模宅地等の特例・配偶者控除など、特例を使うことで税額がゼロになる場合でも、これらの特例の適用には相続税の申告が必要です。

特例を適用して税額ゼロになる場合でも、申告しなければ特例が認められません。「税額がゼロ=申告不要」という誤解は、結果的に高額の税負担を招くことがあります。

節税対策を「急いで」やろうとする

健康状態が悪化してから慌てて対策を始めても、生前贈与の効果が出るまでには時間が必要です。また、相続開始直前の多額の贈与・財産移動は税務署から特に厳しく確認される場合があります。

健康なうちに、余裕を持って計画を立て、長期的に実行することが節税の鉄則です。70代になったら意識的に対策を始めることを検討してください。

节税対策の実行コストを見落とす

アパート経営・生命保険・不動産購入などには、節税効果だけでなく実際の運用コスト(管理費・修繕費・保険料等)が発生します。節税効果のみで判断すると、実質的な手残りが期待を下回ることがあります。節税額と実際のコスト・リスクをセットで検討することが大切です。

よくある質問(FAQ)

相続税の節税は違法になりませんか?

法律の規定に基づいた節税対策は合法です。贈与・生命保険・小規模宅地等の特例などはすべて税法が認める制度を活用するものです。ただし、実態のない取引や制度の趣旨を逸脱した利用は税務署から否認されるリスクがあります。専門家に相談しながら適法に進めることが重要です。

生前贈与は何年前から始めるべきですか?

令和5年改正により、相続開始前7年以内の贈与は相続財産に加算されます。この影響を受けない節税効果を最大限に得るには、最低でも8年以上前から贈与を開始することが望ましいといえます。また、贈与は長期間にわたって継続することで効果が積み上がるため、できるだけ早期に始めることをお勧めします。

不動産の相続税評価額はどう計算しますか?

土地は国税庁が公表する「路線価」(路線価地域の場合)または固定資産税評価額×倍率(倍率地域)で評価します。建物は固定資産税評価額がそのまま相続税評価額になります。賃貸物件は「貸家建付地」「貸家」として評価減が適用され、さらに小規模宅地等の特例が使えるケースもあります。詳細な計算は税理士に依頼することをお勧めします。

配偶者に全財産を相続させれば相続税はかかりませんか?

配偶者控除の範囲(法定相続分または1億6,000万円のいずれか多い方)内であれば、一次相続での相続税はかかりません。ただし、配偶者が亡くなった際の二次相続では子どもたちに多額の税負担が生じる場合があります。一次・二次相続を合わせたトータルコストで判断することが重要です。

養子縁組で節税できる人数に制限はありますか?

相続税計算上、法定相続人の数に含められる養子は、実子がいる場合は1人、実子がいない場合は2人が上限です。ただし民法上の養子縁組そのものに人数制限はなく、3人以上の養子縁組も可能です。税務上の節税効果は限定的になりますが、遺産分割の相手方となる権利は得られます。

相続税の申告はいつまでに行う必要がありますか?

相続税の申告・納付期限は、相続の開始があったことを知った日(通常は被相続人の死亡日)の翌日から10ヶ月以内です。期限を過ぎると延滞税・無申告加算税が課される場合があります。申告が必要かどうか判断に迷う場合も含め、早めに税理士へ相談することをお勧めします。

相続財産を把握するにはどうすればよいですか?

節税対策を始める前提として、現在の財産総額を把握することが必要です。主な財産の種類(不動産・預金・株式・保険・借入金等)をリストアップし、それぞれの概算評価額を整理します。不動産は固定資産税課税明細書や路線価から概算できます。エンディングノートに財産目録をまとめておくと、家族も確認しやすくなります。

まとめ|生前対策は早いほど節税効果が高い

相続税の節税対策として生前にできる主な方法を振り返ります。

  • 基礎控除の理解:3,000万円+600万円×相続人数。まずここを起点に計算する
  • 暦年贈与:年110万円の非課税枠を複数人に使い、長期にわたり計画的に実行する
  • 相続時精算課税制度の新基礎控除:2024年以降は年110万円が相続財産への加算不要となり、使い勝手が向上
  • 生命保険の非課税枠:500万円×相続人数。現金を保険に変換することで簡単に適用できる
  • 小規模宅地等の特例:自宅土地の評価額を最大80%減額。都市部の不動産オーナーには特に有効
  • 配偶者控除:1億6,000万円まで非課税。二次相続とのバランスを考慮して活用する
  • 養子縁組:基礎控除・非課税枠の拡大に有効。ただし実態を伴う縁組が前提
  • 7年ルールへの対応:贈与の長期化・早期化が急務。2024年以降の新ルールを踏まえた計画修正を

どの対策も、単独で使うより複数を組み合わせることで相乗効果が生まれます。一方で、組み合わせ方を誤ると本来得られたはずの節税効果を損なったり、思わぬ税務リスクを招いたりすることもあります。

生前対策は、時間がある今から始めることが最大の節税につながります。「まだ早い」と思っている方も、まずは相続専門の税理士に現状の財産規模と家族構成を伝えて相談だけでもしてみることをお勧めします。

この記事は2024年1月時点の法令・税制に基づいて作成しています。税制は改正される場合があるため、最新情報は国税庁(https://www.nta.go.jp/)または専門家にご確認ください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務・法的アドバイスではありません。具体的な相続税対策については、税理士・弁護士などの専門家にご相談ください。

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