任意後見・法定後見の違いと費用|認知症に備える成年後見制度の完全ガイド【2026年最新】

親が高齢になり、「もし認知症になったら、財産や生活はどうなるのだろう」と不安を感じる方は少なくありません。成年後見制度は、判断能力が低下した方の財産や権利を守るために設けられた法的な仕組みです。しかし、「法定後見」と「任意後見」の違いや、実際にどのくらいの費用がかかるのかが分からず、なかなか手続きに踏み出せないという声も多く聞かれます。本記事では、成年後見制度の基本から費用・手続きの詳細、利用する際の注意点まで、できるだけ分かりやすく解説します。制度の選択や具体的な手続きについては、弁護士・司法書士など専門家への相談を強くおすすめします。

目次

成年後見制度とは?

制度の概要と目的

成年後見制度とは、認知症・知的障害・精神障害などにより判断能力が不十分になった方(以下「本人」)の財産管理や日常生活上の法律行為を、後見人等が代理・補助する制度です。2000年(平成12年)に民法が改正されて現在の形になり、介護保険制度と同時にスタートしました。

制度の目的は大きく二つあります。一つ目は「財産保護」です。認知症になった方が悪質な訪問販売や詐欺被害に遭うリスクを減らし、本人の財産を適切に守ることです。二つ目は「意思決定支援」です。本人が自ら意思決定できる場面では本人の意思を最大限尊重しながら、判断が難しい場面では後見人が代わりに契約等を行うことで、本人が安心して生活できるよう支援します。

成年後見制度には大きく分けて「法定後見制度」と「任意後見制度」の2種類があります。法定後見は、すでに判断能力が低下している場合に家庭裁判所が後見人を選任する制度です。任意後見は、判断能力が十分なうちに本人が自ら後見人を選んで契約しておく制度です。どちらを選ぶかによって、手続きの内容や費用、後見人の権限が異なります。

利用が増えている背景

最高裁判所の統計によると、成年後見関係事件(後見・保佐・補助・任意後見監督人選任)の申立件数は年々増加傾向にあります。2023年には全国で約4万件を超える申立てが行われており、超高齢社会の進展とともに今後もさらに増加することが見込まれています。

利用が増えている背景としては、まず「認知症高齢者の増加」が挙げられます。厚生労働省の推計では、2025年には認知症の方が約700万人を超えると見込まれており、老後の財産管理を巡る問題がより身近になっています。次に「核家族化・高齢者の一人暮らしの増加」があります。近くに頼れる家族がいない場合、財産管理や医療・介護サービスの契約を本人だけで行うことが難しくなります。さらに「相続・不動産取引での必要性」も増えています。認知症の方が共有する不動産の売却や、遺産分割協議を進めるには成年後見人が必要となるケースが多く、司法書士や金融機関からの紹介で制度を知るケースも増えています。

また、終活意識の高まりから、元気なうちに「任意後見契約」を締結しておく方も増えています。自分の意思を反映させた形で老後の備えをしたいというニーズが、制度の認知度向上とともに広がっています。

法定後見制度(後見・保佐・補助)

3類型の違いと使い分け

法定後見制度には「後見」「保佐」「補助」の3つの類型があり、本人の判断能力の程度によって適用される類型が異なります。

類型 対象者(判断能力の程度) 支援する人の名称 主な権限
後見 判断能力が欠けているのが通常の状態 成年後見人 財産に関するすべての法律行為の代理権・取消権
保佐 判断能力が著しく不十分な状態 保佐人 民法13条1項に定める重要行為への同意権・取消権、申立てにより代理権付与可能
補助 判断能力が不十分な状態 補助人 申立てにより特定の行為への同意権・取消権・代理権付与可能

「後見」は最も支援の度合いが強い類型で、重度の認知症などで日常的な意思決定が困難な方が対象です。成年後見人は本人の財産全般を管理し、必要な法律行為を代理します。ただし、本人の意思を尊重することが法律上求められており、後見人が独断で財産処分を行うことは許されません。

「保佐」は、一人での判断は難しいものの、日常的な買い物程度は自分でできるような方が対象です。不動産の売買や多額の借金など民法13条1項に列挙された重要な法律行為には保佐人の同意が必要となり、本人が単独で行った場合は取消しが可能です。

「補助」は判断能力の低下が比較的軽度な方が対象です。本人が自分の補助人に与える権限を選択できる点が特徴で、本人の自主性が最も尊重される類型といえます。

法定後見人の選任方法・手続き

法定後見を利用するには、家庭裁判所に申立てを行う必要があります。申立てができる人は、本人・配偶者・4親等内の親族・検察官・市区町村長などです(類型によって多少異なります)。

申立てに必要な主な書類は以下のとおりです。

  • 申立書(裁判所書式)
  • 本人の戸籍謄本・住民票
  • 本人の診断書(家庭裁判所指定の書式)
  • 本人の財産目録・収支状況報告書
  • 後見人候補者の住民票・身分証明書など

申立て後、家庭裁判所は必要に応じて本人の意思確認や精神鑑定を行い、後見人を選任します。申立てから選任まで通常2〜4か月程度かかるとされています。裁判所は申立人が推薦した候補者を選任することが多いですが、事案の内容によっては弁護士・司法書士・社会福祉士などの専門職が選任されることもあります。

後見が開始されると、後見人は定期的に家庭裁判所に財産状況や支出の報告を行う義務があります。この監督により、後見人による不正防止が図られています。

法定後見の費用(申立て費用・後見人報酬)

法定後見の費用は大きく「申立て費用」と「後見人報酬」に分けられます。

申立て費用の目安

  • 申立手数料:800円(収入印紙)
  • 登記手数料:2,600円(収入印紙)
  • 郵便切手:3,000〜5,000円程度(裁判所により異なる)
  • 診断書作成費用:5,000〜2万円程度(医療機関による)
  • 鑑定費用:5万〜20万円程度(鑑定が必要な場合のみ)
  • 司法書士・弁護士への依頼費用:10万〜30万円程度(自分で申立てる場合は不要)

申立て費用は専門家に依頼するかどうかで大きく変わりますが、自分で申立てる場合でも書類収集や診断書取得で2〜3万円程度の実費が発生するのが一般的です。

後見人報酬(月額)の目安

後見人の報酬は家庭裁判所が決定しますが、東京家庭裁判所の運用を参考にすると次のような目安となっています。

  • 管理財産額が1,000万円以下の場合:月額2万円程度
  • 管理財産額が1,000万〜5,000万円の場合:月額3〜4万円程度
  • 管理財産額が5,000万円超の場合:月額5〜6万円程度

後見人報酬は本人の財産から支払われます。後見が数年にわたることも多いため、長期的な費用負担を念頭に置いておく必要があります。なお、親族が後見人に選任された場合は報酬を請求しないケースもあります。

任意後見制度

任意後見契約の内容と特徴

任意後見制度とは、本人が判断能力のあるうちに、将来判断能力が低下した際に後見事務を行ってもらう人(任意後見人)と、その権限の内容を自ら決めて公正証書で契約する制度です。根拠法は「任意後見契約に関する法律」(1999年施行)です。

任意後見の最大の特徴は「本人が自分で後見人を選べる」点です。信頼できる家族や友人、または弁護士・司法書士などの専門家を任意後見人に指定できます。また、後見人に委任する権限の範囲も自分で設定できるため、「不動産の管理は任せるが売却の判断は家族で話し合う」といった柔軟な設計が可能です。

ただし、任意後見は本人の判断能力が実際に低下するまでは効力が発生しません。効力を発生させるには、家庭裁判所に「任意後見監督人」の選任を申し立てる必要があります。任意後見監督人は、任意後見人が適切に職務を遂行しているかを監督する役割を持ちます。この監督人の存在により、任意後見人による不正が抑制されています。

また、任意後見人には「取消権」がない点も重要です。法定後見の後見人・保佐人は本人が行った不利益な契約を取消すことができますが、任意後見人にはその権限がありません。そのため、判断能力が低下した後も本人が単独で不利益な契約を結ぶリスクが残る可能性があります。

任意後見人を選ぶポイント

任意後見人には特別な資格は不要ですが、本人にとって信頼できる人物を選ぶことが何より重要です。選ぶ際のポイントを整理します。

1. 信頼関係があるか
長年の付き合いがある家族・友人など、本人の生活や価値観を理解している人が望ましいとされています。本人の意思を尊重した対応ができるかどうかが重要です。

2. 財産管理の能力・意欲があるか
任意後見人は本人の財産を管理し、医療・介護サービスの契約を行うなど、実務的な業務を担います。複雑な財産構造がある場合は、弁護士・司法書士などの専門職の方が適切なケースもあります。

3. 健康状態・年齢
任意後見契約は将来にわたって効力を持つため、任意後見人候補者が長期的に職務を遂行できる状態にあるかも考慮が必要です。高齢の配偶者を候補者にする場合は、補助的な体制も検討してください。

4. 複数人・法人への委任
任意後見人は複数人または法人(社会福祉法人・NPO法人など)に委任することもできます。財産管理は専門家に、身上監護(医療・介護の手続き)は家族にというように役割分担することも可能です。

任意後見契約の費用・手続き

任意後見契約は必ず公正証書で締結する必要があります(任意後見契約に関する法律第3条)。手続きの流れと費用の目安は次のとおりです。

手続きの流れ

  1. 任意後見人候補者と契約内容を協議する
  2. 公証役場に連絡し、公正証書の原案を作成する
  3. 本人と任意後見人候補者が公証役場に出頭して公正証書に署名・捺印する
  4. 公証人が法務局に後見登記の嘱託を行う(登記完了まで2〜3週間程度)

費用の目安

  • 公証人手数料:1〜2万円程度(契約内容により異なる)
  • 登記嘱託手数料:1,400円(収入印紙)
  • 正本・謄本の作成費:数千円程度
  • 司法書士・弁護士への依頼費用:5万〜15万円程度(自分で準備する場合は不要)

任意後見監督人が選任された後は、監督人への報酬も月額1〜3万円程度発生します。任意後見人が家族の場合でも、監督人報酬は本人の財産から支払われます。

法定後見 vs 任意後見の比較

違い一覧表

法定後見と任意後見の主な違いを以下の表にまとめました。

比較項目 法定後見 任意後見
利用できる時期 判断能力が低下してから 判断能力があるうちに契約
後見人の選任 家庭裁判所が選任 本人が自分で選ぶ
権限の設定 法律で定められた範囲 契約で自由に設定可能
取消権 あり(後見・保佐) なし
監督 家庭裁判所が直接監督 任意後見監督人が監督
効力発生 審判確定時から 任意後見監督人選任後
申立費用(目安) 2〜30万円程度 5〜15万円程度
月額費用(目安) 後見人報酬2〜6万円 後見人報酬+監督人報酬2〜5万円程度

どちらを選ぶべきかの判断基準

すでに認知症が進行して判断能力が低下している場合は、任意後見契約を締結する意思能力がないため、法定後見しか選択できません。この点が最も大きな分岐点です。

一方、現在は判断能力が十分にある場合は、任意後見制度を検討する余地があります。自分で信頼できる人を後見人に指定したい場合、または後見人に委任する権限の範囲を細かく設定したい場合は、任意後見が適しています。終活の一環として「元気なうちに将来の備えをしたい」と考える方にとっても任意後見は選択肢になります。

ただし、任意後見には「取消権がない」というデメリットがあるため、本人が判断能力低下後も契約行為を行うリスクを懸念する場合は、法定後見の方が適している場合もあります。また、財産の複雑さや家族関係の事情によっては、専門家後見人が選任される法定後見の方が安定した管理が期待できるケースもあります。どちらが適しているかは個々の状況によって異なるため、司法書士や弁護士に相談のうえ判断することが重要です。

後見制度の利用手続き

家庭裁判所への申立て方法

法定後見を利用する場合、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てを行います。申立ての流れは以下のとおりです。

  1. 必要書類の収集:戸籍謄本・住民票・診断書・財産目録などを準備します。書類の種類は家庭裁判所のウェブサイトで確認できます。
  2. 申立書の作成:裁判所の書式に従って申立書を記載します。後見人候補者の情報や申立ての動機なども記載が必要です。
  3. 申立て:必要書類一式を家庭裁判所の窓口に提出します(郵送可の場合もあります)。
  4. 審判手続き:家庭裁判所の調査官が本人や申立人に面接することがあります。必要と判断された場合は精神鑑定が行われます。
  5. 審判・後見開始:審判が確定すると後見が開始し、法務局に後見登記がされます。

申立て手続きは書類の多さや専門的な記載が必要なため、司法書士や弁護士に代理を依頼するケースが多くみられます。費用はかかりますが、書類不備による手続きの遅れを防ぐメリットがあります。

任意後見の公証役場での契約方法

任意後見契約は公正証書で締結する必要があり、手続きは公証役場で行います。

  1. 事前準備:任意後見人候補者と委任する権限の範囲について話し合います。必要に応じて司法書士・弁護士に相談しながら契約書の原案を作成します。
  2. 公証役場への予約:最寄りの公証役場に連絡し、必要書類と予約日時を確認します。
  3. 必要書類の準備:本人・候補者の印鑑証明書、実印、住民票などが必要です。詳細は公証役場に確認してください。
  4. 公証役場での手続き:本人と任意後見人候補者が公証役場に出頭し、公証人の面前で公正証書に署名・押印します。本人の意思確認も行われます。
  5. 後見登記:公証人が法務局に嘱託し、任意後見契約の登記が行われます。

将来、本人の判断能力が低下した際には、任意後見人または四親等内の親族等が家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申立て、監督人が選任されてから任意後見契約の効力が発生します。

専門家(弁護士・司法書士)への依頼

法定後見・任意後見いずれの手続きも、専門家に依頼することで手続きをスムーズに進めることができます。それぞれの専門家の特徴を整理します。

司法書士
法定後見の申立て書類作成の代理(一部)や、任意後見契約書の原案作成を得意とします。費用は弁護士と比較して低めのケースが多く、地域の司法書士会が無料相談窓口を設けていることもあります。また、司法書士自身が後見人・任意後見人に就任することも多く、専門職後見人として信頼されています。

弁護士
法的紛争が絡む場合(遺産分割・不動産売却など)や、複雑な財産管理が必要な場合に強みを発揮します。申立て代理から後見人就任まで幅広く対応可能です。費用は司法書士より高めになる傾向があります。

社会福祉士・成年後見センター等
特に身上監護(医療・介護の手続き)に強みがあり、福祉的サポートを組み合わせた支援が期待できます。各都道府県の社会福祉協議会が相談窓口を設けているケースもあります。

どの専門家に相談するかは、本人の状況や悩みの内容によって変わります。まずは地域の弁護士会・司法書士会の無料相談や、市区町村の地域包括支援センターに問い合わせてみることをおすすめします。

後見制度の注意点・デメリット

後見人が家族以外になる可能性

法定後見制度において、申立人が家族を後見人候補者として推薦しても、家庭裁判所が別の人物(専門職後見人)を選任することがあります。最高裁判所の統計では、法定後見人の約7割が弁護士・司法書士・社会福祉士などの専門職であるとされており(2022年データ)、家族が後見人に選任される割合は必ずしも高くありません。

家庭裁判所が専門職後見人を選任しやすいのは、次のような場合です。

  • 申立人と本人の間に利益相反の可能性がある(不動産売却・相続など)
  • 管理すべき財産の額が多い・複雑である
  • 親族間に意見の対立がある
  • 過去に財産を流用するなどの問題があった

専門職後見人が選任された場合、毎月の報酬が本人の財産から支払われます。「自分たちで親の財産を管理したかったのに、見知らぬ弁護士が関与することになった」という声も聞かれます。こうした状況を避けたい場合は、判断能力のあるうちに任意後見契約を締結し、信頼できる家族を任意後見人に指定しておくことが一つの方法となります。

財産管理の自由度が制限される

成年後見制度を利用すると、本人および後見人の財産管理における自由度が制限される場面が生じます。

まず、後見人は本人の財産を「本人のために」のみ使用することが求められます。たとえ家族のためであっても、後見人が本人の財産を家族への贈与や子育て支援に使うことは原則として認められません。老後の財産を孫へのお小遣いや子への生前贈与に使いたいと考えていた場合、後見が開始されると難しくなります。

次に、不動産の売却には家庭裁判所の許可が必要になるケースがあります。本人が住んでいた自宅(居住用不動産)を売却するには家庭裁判所の許可が必須です(民法859条の3)。許可を得るまでに時間がかかるため、急ぎの売却には対応しにくい場合があります。

さらに、後見人は定期的に家庭裁判所へ財産状況を報告する義務があります。報告書の作成には一定の手間と時間が必要です。専門職後見人が選任されている場合は、この報告業務も後見人報酬の対象となります。

後見制度の利用には、このような制約が伴うことを十分理解したうえで、本当に必要かどうかを家族や専門家と相談して判断することが大切です。

よくある質問

Q1. 任意後見契約を結んだあとに取消しはできますか?

任意後見契約は、任意後見監督人が選任される前であれば、本人はいつでも公証人の認証を受けた書面による意思表示で契約を解除することができます。また、任意後見人の側からも正当な理由がある場合に家庭裁判所の許可を得て辞任することができます。一方、任意後見監督人が選任された後(後見が開始された後)は、家庭裁判所の許可がなければ解除できません。任意後見人の不正や健康上の理由で変更が必要な場合は、家庭裁判所への申立てが必要です。

Q2. 成年後見人は誰でもなれますか?

未成年者、家庭裁判所から後見人等を解任された人、破産者、本人に対して訴訟をしている人などは後見人になれません(民法847条)。それ以外の方は原則として後見人になることができますが、法定後見の場合は家庭裁判所が適任かどうかを判断します。任意後見の場合は本人が自由に候補者を選べますが、上記の欠格者は候補者にできません。

Q3. 後見制度を利用すると、本人はすべての契約を自分でできなくなりますか?

類型によって異なります。「後見」の場合、成年後見人が包括的な代理権を持ちますが、日用品の購入など日常生活に関する行為は本人が自分で行えます(民法9条ただし書き)。「保佐」「補助」では、本人が単独でできる行為の範囲がより広く、一定の行為にのみ同意権・取消権が設定されます。後見制度は本人の自主性を奪うものではなく、本人が安心して生活できるよう支援することを目的としています。

Q4. 費用が払えない場合、成年後見制度は利用できますか?

資力が乏しく後見人報酬の支払いが困難な場合のために、「成年後見制度利用支援事業」が多くの市区町村で実施されています。この事業では、申立て費用や後見人報酬の一部を公費で助成する制度です。利用要件や助成額は市区町村によって異なるため、お住まいの市区町村の福祉窓口や地域包括支援センターに問い合わせることをおすすめします。

Q5. 認知症の親の銀行口座が凍結されました。成年後見なしに引き出しはできますか?

金融機関は、口座名義人の判断能力低下を確認した場合、本人保護の観点から口座を凍結(取引停止)することがあります。この場合、たとえ家族であっても勝手に引き出しを行うことは認められません。成年後見人が選任されれば、後見人の資格証明書(登記事項証明書)を金融機関に提示することで口座の管理・使用が可能になります。なお、2024年の民法改正により「家族信託」や「代理人カード制度」などの活用も広がっていますが、口座凍結後の対応については専門家にご相談ください。

まとめ

成年後見制度は、認知症などにより判断能力が低下した方の財産と生活を守るための大切な仕組みです。本記事では、法定後見(後見・保佐・補助)と任意後見の違い、費用の目安、手続きの流れ、注意点について解説しました。

改めてポイントを整理すると次のとおりです。

  • 法定後見は、すでに判断能力が低下している場合に家庭裁判所が後見人を選任する制度です。3つの類型(後見・保佐・補助)があり、本人の状況に応じて適用されます。
  • 任意後見は、判断能力のあるうちに自分で後見人を選んで契約する制度です。本人の意思を最大限に反映できる一方、取消権がない点に注意が必要です。
  • 費用は申立て費用・後見人報酬・専門家依頼費用などが発生し、長期にわたる場合は総額が大きくなることを念頭においておく必要があります。
  • 後見が開始されると財産管理の自由度が制限されるため、制度の内容をよく理解したうえで利用を判断することが重要です。

成年後見制度は、本人の権利と生活の質を守るための制度ですが、利用にあたっては家族の状況や財産の内容、今後の生活設計を踏まえた慎重な判断が求められます。具体的な手続きや制度の選択については、弁護士・司法書士などの専門家、または市区町村の地域包括支援センターに相談することを強くおすすめします。


本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的アドバイスを行うものではありません。具体的な手続きや判断については、必ず弁護士・司法書士などの専門家にご相談ください。制度の詳細や費用は改正・変更される場合があります。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次