準確定申告とは?亡くなった人の確定申告の手続き・期限・必要書類を解説【2026年最新】

家族が亡くなり、悲しみが続く中で「準確定申告」という手続きが必要だと知り、戸惑っている方は少なくありません。聞き慣れない言葉ですし、通常の確定申告と何が違うのか、誰が手続きをするのか、いつまでに終わらせなければならないのかが分からず、不安に感じる方が多いのは当然のことです。

準確定申告は、亡くなった方(被相続人)が生前に得た所得について、相続人が代わりに申告・納税する手続きです。申告期限は相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月以内と定められており、通常の確定申告より短い期間での対応が求められます。

この記事では、準確定申告の基本的な意味から、申告期限・対象所得・必要書類・手続き方法・税理士への依頼費用・相続税との関係まで、2026年現在の法令に基づいて詳しく解説します。手続きの流れが分かれば、落ち着いて対応できるようになります。

目次

準確定申告とは?

準確定申告とは、亡くなった方(被相続人)が1月1日から死亡日までの間に得た所得について、相続人が被相続人に代わって行う確定申告のことです。所得税法第124条・第125条に規定されており、被相続人が確定申告の義務を負う場合、その義務は相続人に引き継がれます。

被相続人が存命であれば自ら翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告を行うところですが、死亡によってその機会がなくなります。そのため、相続人が被相続人の所得・控除・税額を計算し、税務署に申告する仕組みが設けられています。これが「準確定申告」です。

相続人が複数いる場合は、原則として相続人全員が連署した準確定申告書を提出します。ただし、他の相続人に申告内容を通知した上であれば、一部の相続人が申告書を提出することも認められています。

申告の結果、所得税の還付が発生する場合は還付金が相続財産となり、追加納税が必要な場合は相続人が被相続人の代わりに納税義務を負います。なお、準確定申告で納付した所得税は、相続税の計算において被相続人の債務として控除できる場合があります。

通常の確定申告との違い

通常の確定申告との主な違いを整理すると、以下のとおりです。

項目 通常の確定申告 準確定申告
申告者 所得を得た本人 相続人(被相続人に代わって)
対象期間 1月1日〜12月31日 1月1日〜死亡日
申告期限 翌年3月15日 相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内
申告書様式 確定申告書A・B(現在は統一) 準確定申告書(付表あり)
連署 不要 相続人全員の連署が原則

最も大きな違いは申告期限の短さです。通常の確定申告は翌年3月15日まで約3ヶ月以上の猶予がありますが、準確定申告は相続開始を知った日から4ヶ月以内という短期間での対応が求められます。

また、所得の計算期間が「死亡日まで」に限られるため、1年分の所得ではなく途中までの所得を集計する点でも違いがあります。例えば1月から9月に亡くなった方であれば、その9ヶ月分の所得が対象となります。

申告書の様式も異なり、準確定申告では通常の確定申告書に加えて「付表(相続人等に関する事項)」を添付する必要があります。この付表には、相続人全員の氏名・住所・持分・署名捺印が必要です。

準確定申告が必要なケース・不要なケース

準確定申告が必要かどうかは、被相続人が確定申告の義務を持っていたかどうかで判断します。

準確定申告が必要な主なケースは以下のとおりです。

  • 給与収入が2,000万円を超えていた場合
  • 給与所得以外の所得(事業所得・不動産所得など)が20万円を超えていた場合
  • 2ヶ所以上から給与を受け取っていた場合
  • 公的年金等の収入が400万円を超えていた場合(2009年分以降)
  • 事業所得・不動産所得があった場合
  • 株式等の譲渡所得・配当所得があり申告が必要な場合
  • 医療費控除・寄附金控除などを受けて還付を受けたい場合

準確定申告が不要なケースとしては以下が挙げられます。

  • 給与収入が1か所のみで年末調整が完了しており、他に所得がない場合
  • 公的年金等の収入が400万円以下で、年金以外の所得が20万円以下の場合
  • 所得がなく確定申告義務がない場合

ただし、義務がない場合でも、医療費控除・生命保険料控除などの適用によって還付が見込まれる場合は、申告することで税金が戻ってくる可能性があります。還付請求の申告は、相続開始を知った日の翌日から5年間行えます。義務の有無にかかわらず、一度税理士等に相談して確認することが勧められます。

準確定申告の申告期限

準確定申告には明確な期限が設けられています。所得税法第125条の規定により、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内に申告・納税を完了させる必要があります。例えば、2026年4月1日に被相続人が亡くなり、その日に相続人がその事実を知った場合、申告期限は2026年8月1日となります。

通常の確定申告の期限(翌年3月15日)と比べると、約3ヶ月の猶予が与えられているように思えますが、相続手続き・葬儀・各種名義変更・遺産整理が重なる時期に申告書類も準備しなければならない点で、実際には非常に慌ただしい期間となります。早い段階から必要書類の収集を始めておくことが大切です。

相続を知った日から4ヶ月以内

「相続の開始があったことを知った日」とは、通常は被相続人が亡くなった日(死亡日)と一致します。被相続人と同居していた場合や、死亡当日に連絡を受けた場合は、その日が起算点となります。

ただし、遠方に住んでいるなどの事情で死亡の事実を後から知った場合は、実際に知った日が起算点となります。例えば、死亡日が4月1日であっても、相続人が海外にいて4月15日に知らせを受けた場合、起算日は4月15日となり、期限は8月15日となります。

相続人が複数いる場合、各相続人の起算日は「それぞれが相続の開始を知った日」となります。全員が同時に知った場合は共通の起算日となりますが、知った時期が異なれば期限も異なる可能性があります。

申告書は、相続人全員が連署したものを1通まとめて提出するのが原則です。被相続人の死亡時の住所地を管轄する税務署に提出します。相続人の住所地ではない点に注意が必要です。

期限の4ヶ月は、関係する書類の収集・所得の計算・申告書の作成・相続人全員との調整を行うのに十分とはいえない場合もあります。特に被相続人が事業を営んでいた場合や、複数の所得種類があった場合は早期に税理士に相談されることを勧めます。

期限を過ぎた場合のペナルティ

準確定申告の期限を過ぎた場合、通常の確定申告と同様にペナルティが発生する場合があります。

無申告加算税は、期限後に申告した場合に課される追徴税です。納付すべき税額に対して、原則15%の割合で課されます(税務署から調査の通知を受ける前に自主的に申告した場合は5%に軽減される場合があります)。

延滞税は、申告期限の翌日から納付日まで日割りで課される利子的な性質の税です。税率は原則として法定申告期限の翌日から2ヶ月以内は年7.3%(ただし特例基準割合により変動)、2ヶ月超は年14.6%とされています。

重加算税は、故意に所得を隠す・仮装する行為があった場合に課され、無申告加算税に代えて40%という重いペナルティとなります。

一方、申告の結果が還付となる場合(所得税を取り戻す場合)は、ペナルティは発生しません。ただし、申告しなければ還付金を受け取る権利も失われます。

どうしても期限内に申告が難しい事情がある場合は、早めに管轄税務署に相談することが勧められます。事情によっては相談に応じてもらえる場合もありますが、期限の延長制度は準確定申告には設けられていないため、できる限り期限内の申告を目指すことが大切です。

準確定申告の対象となる所得

準確定申告の対象となる所得は、被相続人が1月1日から死亡日までの間に得たすべての所得です。所得の種類は通常の確定申告と同じく、給与所得・事業所得・不動産所得・利子所得・配当所得・譲渡所得・一時所得・雑所得(年金など)などが含まれます。

ただし、死亡日時点で収入が「確定」しているかどうかが重要な判断基準となります。例えば、給与所得は実際に支払われた金額が対象となりますが、未払いの給与がある場合の扱いは確定申告では含まず、相続財産として別途扱われます。

給与所得・事業所得・年金所得

給与所得については、死亡日までに実際に支払われた給与・賞与が対象となります。死亡後に支払われた給与(死亡退職金・未払給与)は、相続財産として相続税の対象となる場合があります。

会社員の場合、年末調整が完了していないため、源泉徴収された所得税を精算する意味でも準確定申告が重要です。生命保険料控除・地震保険料控除・配偶者控除・扶養控除なども申告によって適用できます。

事業所得については、死亡日までの収入金額から必要経費を差し引いて計算します。収入の計上基準は被相続人が採用していた方式(現金主義・発生主義)によります。死亡日時点で未収の売掛金等は、準確定申告の対象とはならず相続財産として扱われます。

なお、事業所得のある方が亡くなった場合は、事業の廃業届の提出も必要になる場合があります。廃業に伴う棚卸資産の取り扱いや、固定資産の処分に関する所得計算も必要となる場合があり、複雑になりがちです。

年金所得(公的年金等)については、死亡日までに実際に支払われた年金が雑所得として対象となります。年金は偶数月に前2ヶ月分が支払われる仕組みであるため、死亡月によっては未支給の年金が生じる場合があります。未支給の年金を受け取った相続人は、その年金を自分の一時所得として確定申告する必要があります(準確定申告の対象ではありません)。

医療費控除・生命保険料控除の適用

準確定申告においても、通常の確定申告と同様に各種所得控除を適用できます。ただし、対象期間が1月1日から死亡日までに限られるため、死亡後に支払った費用は対象外となります。

医療費控除は、死亡日までに支払った医療費が対象です。被相続人本人の医療費に加え、被相続人が生計を一にしていた親族(配偶者・扶養家族など)のために支払った医療費も含められます。死亡直前に入院・手術があった場合、医療費が高額になるケースが多く、医療費控除を適用することで還付が見込まれる場合があります。

高額療養費制度の払い戻しを受けた場合は、その金額を医療費から差し引く必要があります。領収書は死亡日までのものをすべて収集しておくと安心です。

生命保険料控除・地震保険料控除は、死亡日までに支払われた保険料が対象です。1月から死亡月までの保険料相当額を計算し、控除証明書(保険会社から年末に発行される書類)の内容を案分して使用します。保険会社によっては、途中死亡の場合の控除証明書を発行してもらえる場合もあります。

配偶者控除・扶養控除・基礎控除(48万円)も適用でき、これらを適用することで還付が発生するケースも少なくありません。確定申告をしていなかった方でも、これらの控除を適用して還付申告をすることは可能です。

準確定申告の必要書類

準確定申告に必要な書類は、被相続人の所得の種類・控除の内容によって異なります。まず基本的な書類を把握し、被相続人の状況に合わせて追加書類を収集していきましょう。書類収集は早い段階から着手することが、期限内申告のポイントです。

申告書・死亡診断書・戸籍謄本

準確定申告に必要な基本書類は以下のとおりです。

書類名 入手先 備考
準確定申告書(申告書第一表・第二表) 税務署・国税庁ウェブサイト 通常の確定申告書と同様の様式
付表(相続人等に関する事項) 税務署・国税庁ウェブサイト 相続人全員の情報と署名捺印が必要
死亡診断書(コピー可) 病院・医療機関 死亡日の確認のために使用
戸籍謄本 市区町村役場 相続人であることの確認のために提出する場合あり

「付表」は準確定申告に特有の書類です。相続人全員の氏名・住所・続柄・法定相続分・申告に係る持分・連絡先などを記入し、相続人全員の署名・押印が必要となります。

複数の相続人がいる場合、全員が一堂に会して署名することが難しいケースもあります。郵送でやり取りすることも可能ですが、時間を要しますので早めに着手することが重要です。一部の相続人が代表して申告する場合でも、他の相続人に申告内容を通知する義務があります。

戸籍謄本については、必ずしも提出が義務付けられているわけではありませんが、税務署から相続人であることの確認を求められる場合があります。事前に準備しておくと手続きがスムーズです。

源泉徴収票・保険証明書の収集方法

所得・控除の計算に必要な書類は、被相続人の状況に応じて収集します。

書類名 入手先 対応する所得・控除
源泉徴収票 勤務先(死亡後に発行依頼) 給与所得
公的年金等の源泉徴収票 日本年金機構(年金機構から郵送) 年金所得(雑所得)
生命保険料控除証明書 各保険会社に問い合わせ 生命保険料控除
地震保険料控除証明書 損害保険会社に問い合わせ 地震保険料控除
医療費の領収書 病院・薬局等 医療費控除
不動産の賃貸収入・経費に関する書類 管理会社・通帳等 不動産所得
株式等の取引報告書 証券会社 譲渡所得・配当所得

源泉徴収票は、勤務先に死亡後の退職手続きをする際に合わせて請求するのが一般的です。年の途中での退職・死亡に対応した「退職所得の源泉徴収票」と「給与所得の源泉徴収票」が発行されます。

年金の源泉徴収票は、日本年金機構から翌年1月に通常郵送されますが、年の途中で亡くなった場合は送付されないことがあります。その場合は日本年金機構に問い合わせることで発行してもらえます。

生命保険料控除証明書は通常10〜11月に各保険会社から送付されますが、年の途中で死亡している場合は送付がないケースもあります。各保険会社のコールセンターに連絡し、被保険者が死亡した旨を伝えた上で控除証明書の発行を依頼してください。

医療費の領収書は失くしてしまいがちですが、医療機関に依頼すれば再発行してもらえる場合があります。高額療養費の申請書類も合わせて確認しておきましょう。

準確定申告の手続き方法

必要書類が揃ったら、実際に申告書を作成して提出します。手続きの方法には「税務署への持参・郵送」「e-Taxでの電子申告」「税理士への依頼」の3つがあります。それぞれの方法の特徴と注意点を把握した上で、状況に合った方法を選ぶとよいでしょう。

税務署への提出方法

準確定申告書は、被相続人の死亡時の住所地を管轄する税務署に提出します。相続人の住所地の税務署ではない点に注意が必要です。管轄税務署は国税庁のウェブサイト(「税務署の所在地などを調べる」ページ)で確認できます。

提出方法は「持参」と「郵送」の2つがあります。

持参の場合は、税務署の窓口に直接申告書を持ち込みます。担当者に確認しながら進めることができるため、初めての方でも安心感があります。ただし確定申告の繁忙期(2〜3月)と重なった場合は混雑が予想されます。

郵送の場合は、書類一式を封筒に入れ、被相続人の住所地を管轄する税務署宛に簡易書留等で送付します。控えに受領印をもらいたい場合は、返信用封筒(切手付き)と申告書の控えを同封します。

申告書の作成にあたっては、国税庁が公開している「確定申告書等作成コーナー」(ウェブ上のツール)を活用することができます。準確定申告の場合も、通常の確定申告書の作成手順に沿って入力し、付表を追加で作成する形となります。

提出時には申告書の控えを必ず手元に保管してください。後日相続税の申告や税務調査が入った際に参照できるようにしておくことが大切です。

e-Taxでの電子申告は可能か

準確定申告はe-Taxを利用した電子申告も可能です。ただし、通常の確定申告とは異なる点もあるため確認が必要です。

e-Taxでの準確定申告を行うためには、申告を行う相続人自身のマイナンバーカードと対応したICカードリーダー、またはスマートフォンが必要です。被相続人のマイナンバーカードや電子証明書は使用できません。

複数の相続人がいる場合、e-Taxでの電子申告には各相続人の電子署名が必要となるため、手続きが複雑になる場合があります。相続人の一人が代表して電子申告し、他の相続人に申告内容を通知する方法が現実的とされるケースが多いです。

また、準確定申告専用の付表(相続人等に関する事項)については、電子的な記入・送信ができる場合とできない場合がありますので、最新のe-Taxの対応状況を国税庁のウェブサイトで確認することが勧められます。

e-Taxを利用すると、税務署への持参・郵送が不要になり、24時間申告ができる利点があります。マイナンバーカードを持っている相続人であれば、積極的に活用を検討してみてください。

税理士への依頼費用目安

準確定申告を税理士に依頼する場合、所得の種類や複雑さによって費用が変わります。一般的な目安としては以下のとおりです。

被相続人の状況 費用目安(税込)
給与所得・年金所得のみ(シンプルなケース) 3万〜8万円程度
不動産所得・事業所得がある場合 8万〜20万円程度
複数の所得区分・複雑な控除がある場合 20万円以上になる場合もあり

費用は税理士事務所によって大きく異なります。相続税申告と合わせて依頼する場合は、セットで費用が抑えられるケースもあります。複数の事務所に見積もりを依頼し、対応内容を比較して選ぶとよいでしょう。

税理士に依頼するメリットとしては、計算ミスや申告漏れのリスクを下げられること、各種控除を漏れなく適用してもらえること、期限管理をしてもらえることなどが挙げられます。特に被相続人が事業を行っていた場合や、相続税申告と並行して準確定申告を行う場合は、専門家への依頼を検討されることが勧められます。

税理士の選び方としては、相続専門や相続税申告の実績が豊富な事務所を選ぶことで、準確定申告と相続税申告を一体的に処理してもらいやすくなります。

相続税申告との関係

準確定申告と相続税申告は、どちらも被相続人の死亡に関連した税務手続きですが、性質・対象・期限が大きく異なります。混同しやすいため、両者の違いを整理しておくことが重要です。

準確定申告と相続税申告の違い

項目 準確定申告 相続税申告
税の種類 所得税 相続税
課税対象 被相続人が死亡前に得た所得 相続人が取得した相続財産
申告期限 相続開始を知った日の翌日から4ヶ月 相続開始を知った日の翌日から10ヶ月
申告義務者 相続人(被相続人に代わって) 相続財産が基礎控除を超えた相続人
提出先 被相続人の住所地管轄税務署 被相続人の住所地管轄税務署

期限は準確定申告が4ヶ月以内、相続税申告が10ヶ月以内と異なります。準確定申告の期限が先に来ることに注意が必要です。

相続税の申告義務は、相続財産の合計が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合に発生します。一方、準確定申告の義務は被相続人が確定申告義務を有していたかどうかで判断するため、相続財産の多寡とは別に検討が必要です。

還付金が出た場合の相続財産への影響

準確定申告の結果、所得税の還付が発生した場合、その還付金は相続財産として取り扱われます。これは、被相続人が有していた還付請求権を相続人が引き継ぐという考え方によります。

還付金が相続財産に含まれることで、相続財産の総額が増加し、相続税の課税対象が広がる可能性があります。相続税の基礎控除額を超えるかどうかの判定においても、この還付金を考慮する必要があります。

逆に、準確定申告の結果として追加で所得税を納付する場合、その納付すべき所得税額は被相続人の債務として相続財産から控除できます(相続税法第13条)。これにより相続税の課税価格が下がる効果があります。準確定申告で税金が発生する場合でも、相続税の計算上はマイナス要素として働く点は覚えておくとよいでしょう。

準確定申告の結果が相続税申告に影響するため、両方の申告を同じ税理士に依頼すると、一貫した計算・確認が行える点でスムーズです。

よくある質問

Q. 準確定申告は誰が行うのですか?

準確定申告は相続人全員が共同で行うのが原則です。相続人が複数いる場合は、全員が連署した申告書を1通提出します。ただし、他の相続人全員に申告内容を通知した上であれば、一部の相続人が代表して申告書を提出することも認められています。相続人がいない場合(相続人全員が相続放棄した場合など)は、相続財産管理人が申告義務を負う場合があります。

Q. 相続放棄した場合でも準確定申告は必要ですか?

相続放棄をした場合、原則として相続人としての地位を失うため、準確定申告の義務も負わないとされています。ただし、相続放棄をしても相続財産の管理義務(民法第940条)が残る場合もあります。相続放棄者が複数いる中で他の相続人が申告を行えない状況や、全員が放棄した場合の取り扱いは複雑になりますので、税務署または税理士への相談が勧められます。

Q. 被相続人が確定申告をしたことがない場合でも申告が必要ですか?

被相続人が生前に確定申告をしていなかったとしても、申告義務が発生する所得があった場合は準確定申告が必要です。例えば、給与所得が2,000万円を超えていた場合や、副業収入が20万円を超えていた場合などが該当します。また、医療費控除などによる還付が見込まれる場合は義務がなくとも申告することを検討する価値があります。

Q. 被相続人が年金受給者だった場合、準確定申告は必要ですか?

公的年金等の収入が400万円以下で、かつ年金以外の所得が20万円以下の場合は、準確定申告は不要とされています。ただし、医療費控除・社会保険料控除などの適用によって還付が見込まれる場合は、還付申告として申告することが可能です。また、年金収入が400万円を超える場合は申告義務があります。年金機構から送付されてくる源泉徴収票を確認し、必要に応じて税理士に相談することが勧められます。

Q. 準確定申告の還付金はどこに振り込まれますか?

準確定申告の結果として還付金が発生した場合、申告書に記載した口座に振り込まれます。被相続人名義の口座は死亡後に凍結されることが多いため、代表相続人または相続人の口座を指定することが一般的です。還付申告書(請求書)を別途提出することで、相続人の口座への振込を指定できます。還付金は相続財産となるため、受け取った後の相続財産の分割についても相続人間で確認しておくことが大切です。

まとめ

準確定申告は、亡くなった方の生前の所得について相続人が代わりに行う確定申告です。手続きの流れをまとめると以下のとおりです。

  • 申告義務があるかを確認(給与2,000万円超・副業20万円超・事業所得がある場合など)
  • 申告期限は相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内
  • 対象所得は1月1日から死亡日まで
  • 必要書類(申告書・付表・源泉徴収票・保険証明書等)を早期に収集
  • 相続人全員の連署が原則。被相続人の住所地管轄税務署へ提出
  • 還付金は相続財産となり、追加納税は相続税の債務控除対象になり得る

準確定申告は通常の確定申告より申告期限が短く、葬儀・相続手続きと並行して進める必要があるため、早めに着手することが大切です。被相続人が事業を行っていた場合や、複数の所得区分がある場合は特に複雑になりがちです。

また、準確定申告の結果は相続税申告にも影響します。還付金が相続財産に加算されたり、追加納税額が債務控除の対象になったりと、両者を連動して把握することが重要です。同一の税理士に準確定申告と相続税申告を依頼することで、計算漏れや申告ミスのリスクを下げられる場合があります。

書類の収集や申告書の作成に不安がある場合、または期限が迫っている場合は、相続税・準確定申告に詳しい税理士への早期相談をご検討ください。専門家のサポートを受けることで、手続きをスムーズに進めることができるでしょう。

本記事の情報は2026年3月現在の法令・制度に基づいています。法改正等により内容が変わる場合があります。

免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的・税務的アドバイスではありません。具体的な手続きについては、税理士・税務署等の専門家にご相談ください。

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