故人の準確定申告とは?手続き方法・期限・必要書類を完全解説

親や配偶者が亡くなった後、葬儀の手続きや相続の話し合いで精一杯のなかに「準確定申告」という言葉が出てきて、戸惑っている方は少なくありません。聞き慣れない言葉ですが、申告が必要なケースでは期限を過ぎると延滞税・加算税が発生するため、早めに確認しておく必要があります。

この記事では、準確定申告の意味から申告が必要なケース・不要なケース、申告期限、必要書類、還付申告の手順まで、相続人が実際に動けるレベルで整理します。申告要否を一覧表で確認できますので、まず自分のケースに当てはまるかどうかを確かめてください。

目次

準確定申告とは何か

故人の代わりに相続人が行う所得申告

所得税の確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの所得を翌年の2〜3月に申告するのが原則です。しかし、年の途中で亡くなった場合、その年の1月1日から死亡日までの所得について申告する人がいなくなります。そこで、相続人が故人に代わってその期間の所得を申告するのが準確定申告です。

正式には「死亡した者の確定申告」と呼ばれ、所得税法第124条・第125条に根拠があります。通常の確定申告と同じく所得税の精算を目的としており、申告の結果として追加納税が生じることも、税金が戻ってくる(還付)こともあります。

相続人が複数いる場合は、相続人全員が連署した申告書を税務署に提出するのが基本です。それぞれの相続人が単独で申告書を提出することも認められていますが、その場合は他の相続人に申告した旨を通知する義務があります(所得税法第124条第2項)。準確定申告の義務は相続の発生とともに自動的に生じ、相続を放棄した場合には原則として申告義務も消滅します。

なお、準確定申告で生じた税金(所得税・復興特別所得税)は、相続財産の債務として控除の対象になります。逆に、還付金が生じた場合は相続財産として相続税の課税対象になります。この点は税理士への相談を含めて確認しておくとよいでしょう。

通常の確定申告との主な違い

準確定申告は通常の確定申告と基本的な仕組みは同じですが、いくつかの重要な違いがあります。まず申告期間が異なります。通常の確定申告は翌年の2月16日から3月15日の間に行いますが、準確定申告は相続の開始を知った日の翌日から4か月以内という期限があります。死亡日ではなく「相続の開始を知った日」が起算点であることに注意が必要です。

次に、申告の対象期間が異なります。通常の確定申告が1月1日から12月31日の1年間を対象とするのに対し、準確定申告は1月1日から死亡日までの期間が対象です。所得の計算方法は基本的に同じですが、対象期間が1年に満たない点から生じる特殊ルールもあります。

たとえば、社会保険料控除・生命保険料控除・地震保険料控除などの各種所得控除については、死亡日までに実際に支払ったものだけが対象になります。年払いの保険料を前払いしていた場合などは、死亡日時点での支払済み分のみが控除の対象です。扶養控除・配偶者控除は死亡日現在の状況で判定されます。医療費控除については、死亡日までに支払われた医療費が対象で、未払いのものは含まれません。

また、申告書の様式も一部異なり、相続人全員の氏名・住所・続柄を記載する欄が設けられています。申告書は国税庁のウェブサイトからダウンロードできるほか、税務署の窓口でも入手できます。

準確定申告が必要なケースと不要なケース

申告が必要になる主な状況

準確定申告が必要かどうかは、故人の生前の収入の種類と金額によって決まります。以下のいずれかに該当する場合は、原則として申告が必要です。

  • 給与収入が2,000万円を超えていた:年末調整は2,000万円以下の給与所得者を対象とするため、超過している場合は申告が必要です
  • 2か所以上から給与を受けていた:複数の勤務先から給与を受けていた場合、主な勤務先でしか年末調整が行われず、他の勤務先の所得が申告漏れになるため申告が必要です
  • 給与所得・退職所得以外の所得が20万円を超えていた:副業収入・フリーランス収入・原稿料などが該当します
  • 不動産所得・事業所得があった:賃貸収入や自営業の収入がある場合は金額にかかわらず申告が必要です
  • 公的年金等の収入が400万円を超えていた:老齢年金が年間400万円超の場合は申告が必要です
  • 同族会社の役員で、その会社から貸付金の利子・不動産の賃貸料等を受け取っていた
  • 上場株式等の譲渡所得や配当所得があり、確定申告で損益通算する予定だった

不動産所得のある方は特に注意が必要です。複数の物件を保有している場合、毎年確定申告をしていた方が多いと思いますが、その方が亡くなった年も同様に申告が必要です。相続人がアパートを相続した場合、準確定申告では死亡日までの賃料収入が対象となり、死亡日以降の賃料は相続人自身の所得として別途申告します。

申告が不要なケース・申告が有利なケース

一方、以下のケースでは原則として準確定申告は不要です。ただし「不要」というのはあくまで義務がないという意味で、還付が見込まれる場合は申告したほうが得になるケースもあります。

  • 給与収入のみで年末調整が済んでおり、年収が2,000万円以下だった
  • 公的年金等の収入が400万円以下で、年金以外の所得が20万円以下だった
  • 所得が基礎控除額(48万円)以下だった(収入がほぼなかった場合)

また、義務がなくても申告することで税金が戻ってくる(還付申告)ケースがあります。代表的なのは、年の途中で亡くなったことにより源泉徴収税額が過大になっているケースです。給与所得者は毎月の給与から概算で所得税が天引きされており、通常は年末調整でその差額を精算します。しかし年の途中で亡くなった場合は年末調整が行われないため、払いすぎた税金が還付される可能性があります。

医療費が多くかかった場合も還付申告が有利です。入院・手術・介護等で高額の医療費を支払っていた場合、医療費控除を申告することで還付を受けられることがあります。医療費控除の対象は死亡日までに支払い済みの医療費に限られますが、療養の長かった方は相当な金額になるケースも少なくありません。

申告要否の判定表

故人の状況 準確定申告の要否
給与収入のみ(年末調整済み)・2,000万円以下 原則不要(還付が見込まれる場合は申告が有利)
給与収入2,000万円超 必要
2か所以上から給与を受けていた 必要
不動産所得・事業所得あり 必要
公的年金収入400万円超 必要
年金収入400万円以下・他所得20万円以下 原則不要
医療費が多く還付が見込まれる 義務はないが申告が有利
副業・フリーランス収入が20万円超 必要
上場株式の譲渡損失があり損益通算したい 申告を検討
収入が基礎控除額以下(ほぼ無収入) 不要

申告期限と延滞した場合のリスク

4か月以内という期限の意味

準確定申告の提出期限は、相続の開始を知った日の翌日から4か月以内です(所得税法第124条)。「相続の開始を知った日」とは、原則として被相続人が亡くなったことを知った日を指します。死亡当日に知った場合はその翌日が起算日となります。

たとえば、父が1月15日に亡くなりその日に知った場合、準確定申告の期限は5月15日です。3月15日という通常の確定申告の期限とは関係なく、独自に計算されます。申告期限が土日・祝日にあたる場合は翌平日が期限になります。

4か月は長いようで、相続手続き全体を考えると余裕があるわけではありません。相続人が複数いる場合は連絡・合意形成に時間がかかりますし、故人の収入状況を調べるのにも時間を要します。源泉徴収票・不動産収支の記録・確定申告書の控えなどを早めに集め始めることが重要です。

申告が必要なのに期限内に申告しなかった場合や、申告額が実際より少なかった場合は、ペナルティが課せられます。無申告加算税(15〜20%程度)や延滞税(年率最大14.6%程度)が発生しますので、期限を守ることが重要です。

税務署への提出方法と注意点

準確定申告書は、故人の住所地を管轄する税務署に提出します。相続人の住所地の税務署ではなく、故人の住所地を管轄する税務署であることに注意してください。

提出方法は、窓口への直接持参、郵送、電子申告(e-Tax)の3つから選べます。窓口に持参する場合は、申告書の控えに受付印をもらうと後日の確認に役立ちます。郵送する場合は、消印が期限内であれば有効です。

電子申告(e-Tax)の利用も可能ですが、準確定申告には相続人全員の署名・捺印が必要なため、電子申告の場合は相続人ごとにマイナンバーカードが必要になるなど、手続きが煩雑になることがあります。複数の相続人がいる場合は、窓口または郵送での提出が実務的には多いとされています。

なお、相続人が外国に居住している場合など、特殊な事情がある場合は税務署に事前に確認することをお勧めします。また、相続放棄を検討している場合は、準確定申告と相続放棄の関係についても税理士または弁護士に相談することが望ましいです。

準確定申告に必要な書類一覧

基本的に必要な書類

準確定申告に必要な書類は、故人の収入の種類によって異なります。以下は主な書類の一覧です。

  • 確定申告書(準確定申告用):国税庁ウェブサイトまたは税務署で入手。「死亡した者の平成○○年分の確定申告書付表」も合わせて必要です
  • 源泉徴収票:勤務先から取得。故人が亡くなった場合は相続人が代わりに取得できます
  • 年金の源泉徴収票:日本年金機構から送付される「公的年金等の源泉徴収票」
  • マイナンバーに関する書類:被相続人のマイナンバーが確認できるもの(死亡後は相続人が確認書類を提示)
  • 相続人全員の氏名・住所・マイナンバー:申告書の付表に記入が必要です

これらに加えて、控除を受ける場合はそれぞれの証明書類が必要です。

控除を受ける場合に必要な書類

準確定申告で各種控除を受ける場合、以下の書類を準備します。

控除の種類 必要書類 取得先
医療費控除 医療費の領収書・医療費通知書 医療機関・健康保険組合
生命保険料控除 保険料控除証明書 保険会社(死亡日までに受け取ったもの)
地震保険料控除 地震保険料控除証明書 損害保険会社
社会保険料控除 支払証明書・領収書 市区町村・年金事務所等
寄附金控除(ふるさと納税等) 寄附金受領証明書 寄附先の自治体・団体
住宅ローン控除 年末残高等証明書・登記事項証明書等 金融機関・法務局
不動産所得 賃貸借契約書・収支計算書・固定資産税通知書 契約書類・市区町村
事業所得 帳簿・領収書・請求書等 故人の事業記録

領収書は年の途中から集めることが難しいため、故人の書類の中から探し出す必要があります。通帳の入出金記録も参考になります。医療費の領収書は医療機関に再発行を求めることができる場合もありますが、対応できないケースもありますので、早めに探し始めることをお勧めします。

収入の種類が多い場合や、不動産・事業所得がある場合は、書類の量も相当多くなります。税理士に依頼することで、書類の漏れを防ぎ、正確な申告ができる可能性が高まります。

医療費控除と生命保険料控除の適用

医療費控除の計算方法と適用範囲

医療費控除は、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に所得から控除できる制度です。準確定申告においては、1月1日から死亡日までに実際に支払われた医療費が対象になります。

控除額の計算式は以下の通りです。

  • 医療費控除額 = (支払った医療費の合計額 ー 保険金等で補填された金額) ー 10万円(または総所得金額の5%、いずれか低い方)
  • 控除限度額は200万円です

対象になる医療費は、病院・診療所・歯科医・薬局等での支払いのほか、訪問看護ステーションへの支払い、療養上必要な通院交通費(公共交通機関)なども含まれます。介護保険施設の費用の一部も医療費控除の対象になるケースがあります。

対象にならないものとしては、健康診断の費用(異常が発見されて治療を行った場合は対象)、美容整形の費用、入院中の食事代(医療費として支給される場合を除く)などがあります。

故人が長期入院していた場合や、高額の手術を受けていた場合は、医療費控除による還付効果が大きくなるケースがあります。領収書が手元にない場合は、医療費通知書(健康保険組合等から送付)を活用することで、一定の範囲で領収書の代替とすることができます。ただし医療費通知書に記載がないものは別途領収書が必要です。

生命保険料控除・地震保険料控除の特例

生命保険料控除は、支払った生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料に応じた控除を受けられる制度です。準確定申告では、死亡日までに支払われた保険料に対応する控除証明書を使って申告します。

年払いの保険料を支払済みの場合、死亡日までの期間に対応する分のみが控除対象という考え方もあり得ますが、実務では死亡日前に支払った保険料の全額が控除対象になるのが一般的とされています。保険会社から送付される控除証明書の金額を使って申告します。

地震保険料控除も同様に、死亡日までに支払われた地震保険料が控除対象です。

社会保険料控除(国民健康保険料・介護保険料・国民年金保険料等)は、死亡日までに実際に支払われた金額が控除対象になります。年金受給者の場合、年金から天引きされた健康保険料・介護保険料も社会保険料控除の対象です。年金の源泉徴収票に記載されている金額を確認してください。

納税額がある場合の按分と相続人の負担

相続人間での税負担の按分方法

準確定申告の結果、納税額が生じた場合、その税金は相続人全員が連帯して納付する義務を負います。ただし、実際の負担割合については、各相続人の相続分の割合に応じて按分するのが原則です。

たとえば、準確定申告による納税額が60万円で、相続人が配偶者(相続分1/2)と子2人(各1/4)の3人いる場合、配偶者は30万円、子は各15万円が法定の按分負担額になります。ただし、相続人間で別の割合を合意することもできます。

準確定申告による未払税金は相続財産の債務として、相続税の計算上控除することができます(相続税法第13条)。これは重要なポイントで、納税額が大きい場合は相続税の計算に影響します。申告書を提出する段階では税額が確定していなくても、見込み額を債務として控除できます(後日修正可能)。

実際の納付は、各相続人がそれぞれ自分の負担分を納付することも、代表相続人がまとめて納付することもあります。税務署への申告書は連署が基本ですが、納付はそれぞれの名義で行う形が多いとされています。

延納・分割払いの可否

準確定申告による所得税は、原則として申告期限(4か月以内)までに一括で納付します。通常の確定申告にある振替納税(4月中旬に口座引き落とし)は、準確定申告には適用されません。

相続財産の中に不動産が多く、現金が少ない場合でも、所得税の延納は原則として認められていません(相続税の延納とは異なります)。どうしても期限内に納付が難しい場合は、税務署に早めに相談することをお勧めします。

還付がある場合の手続き

還付申告の代表相続人制度

準確定申告の結果、税金が戻ってくる(還付)場合、相続人全員への還付を一人の代表者が受け取る仕組みを利用できます。これを相続人代表者への還付といいます。

申告書に「代表相続人」の氏名・住所・口座情報を記載することで、還付金を代表相続人の口座に振り込んでもらえます。代表相続人が受け取った還付金は、各相続人の按分割合に応じて分配するのが原則です。

代表相続人を定める場合は、「所得税の確定申告書(準確定申告)の代表相続人の届出書」を申告書と合わせて提出します。代表相続人を定めない場合は、相続人ごとに按分した金額が各相続人の口座に振り込まれます(この場合も申告書に各相続人の口座を記載します)。

還付された金額は、相続財産として相続税の課税対象になります。還付申告をした結果として受け取れる金額が確定した後、相続税の申告に反映させる必要があります。相続税の申告期限(死亡を知った日の翌日から10か月)との関係も考慮して、早めに準確定申告を行うことが望ましいとされています。

還付申告は5年以内なら申請できる

納税義務がある場合の準確定申告は4か月以内の申告が義務ですが、還付のみを目的とする還付申告の場合は、5年以内であれば申告できます。義務がないと思い込んでいた後に還付が受けられることが判明した場合でも、5年以内であれば申告が可能です。

ただし、申告が必要なケースなのに申告していなかった場合は、申告漏れとして加算税等のペナルティが生じますので、まず申告義務の有無を確認してから動くことが大切です。

準確定申告でよくある間違いと注意点

期限の計算を誤るケース

準確定申告の期限は「相続の開始を知った日の翌日から4か月以内」ですが、実務上よくある間違いが起算点の誤解です。「死亡日の翌日から4か月」と誤って計算してしまうケースが見られますが、正確には「相続の開始を知った日」が起算です。多くの場合は死亡当日または翌日に知るため実質同じですが、行方不明や遠方で連絡が遅れた場合など、死亡日と「知った日」がずれる場合もあります。

また、4か月の計算は初日不算入(翌日起算)が原則です。たとえば1月1日に亡くなりその日に知った場合、起算日は1月2日となり期限は5月1日(5月1日が土日の場合は翌平日)です。期限を過ぎると無申告加算税と延滞税が発生するため、余裕をもって動き始めることが重要です。

さらに、故人が事業所得や不動産所得を有していた場合、収支の記録や帳簿を揃えるだけでも時間がかかります。申告書類の準備・書類収集・相続人間の連絡調整を含めると4か月は思いのほか短いため、亡くなってすぐに動き出すことをお勧めします。

控除の適用漏れに気づかないケース

準確定申告でよく見落とされる控除として、生命保険料控除・地震保険料控除・医療費控除・社会保険料控除があります。特に年払いで保険料を支払っていた場合、控除証明書が故人の手元に届いていないケースもあるため、保険会社への問い合わせや再発行依頼が必要になることがあります。

医療費控除については、年の途中での死亡であっても、1月1日から死亡日までに支払われた医療費の合計が10万円を超える場合(または総所得の5%を超える場合)に適用できます。入院期間が長い方や複数の医療機関にかかっていた方は、かなりの金額になることも珍しくありません。領収書を医療機関に再発行してもらえる場合もありますので、まず手元の書類を探し、なければ問い合わせてみてください。

扶養控除・配偶者控除も死亡日現在の状況で判定できます。たとえば亡くなった方が老親を扶養していた場合、死亡日時点で扶養関係があれば扶養控除が適用されます。これらの控除を漏れなく申告することで、納税額を減らしたり還付額を増やしたりできます。

相続税との関係を忘れてしまうケース

準確定申告による未払所得税は、相続税の計算上「債務控除」として相続財産から差し引くことができます(相続税法第13条第1項)。これを忘れると相続税が過大になる可能性があります。逆に、還付が生じた場合はその還付金が相続財産として相続税の対象になります。

準確定申告と相続税申告は連動しているため、できれば両方を同じ税理士に依頼してまとめて対応してもらうと、漏れや矛盾を防ぐことができます。相続税の申告期限(相続を知った日の翌日から10か月)は準確定申告の4か月より長いですが、準確定申告の結果が相続税申告に影響するため、準確定申告を先に、または並行して進めることが現実的です。

専門家(税理士)への相談が望ましいケース

自分で対応が難しい状況

準確定申告はすべてのケースで税理士が必要というわけではありませんが、以下のような場合は専門家に依頼することで正確な申告ができる可能性が高まります。

  • 故人が不動産所得・事業所得を有していた(収入・経費の計算が複雑)
  • 複数の勤務先から給与を受けていた
  • 株式・投資信託の譲渡損益があり損益通算を検討している
  • 相続税の申告も必要で、準確定申告との整合を取りたい
  • 医療費が年間100万円を超えており、控除の計算を正確に行いたい
  • 相続人が多く、連署・按分の調整が必要
  • 故人が自営業者で、棚卸資産・固定資産の評価が必要

税理士への依頼費用は、申告内容の複雑さによって異なりますが、シンプルなケースで3万〜10万円程度、不動産・事業所得が絡む複雑なケースでは15万〜30万円程度の相場が多いとされています。相続税申告と合わせて依頼すると費用を抑えられる場合もあります。

税理士を探す際は、相続専門または税務申告実績が豊富な事務所を選ぶことをお勧めします。初回相談が無料の事務所も多くありますので、まず相談してから依頼を判断することができます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 父が3月に亡くなりました。準確定申告の期限はいつですか?

相続の開始を知った日の翌日から4か月以内が申告期限です。たとえばお父様が3月10日に亡くなり、その日に知った場合、期限は7月10日になります。4か月は当日を含まない翌日起算です。期限が土日・祝日にあたる場合は翌平日が期限になります。申告義務があるかどうかの確認も含め、なるべく早めに動き始めることをお勧めします。なお通常の確定申告(2〜3月)とは期限が異なりますので混同しないようにご注意ください。

Q2. 相続人が私一人です。申告書はどう書けばよいですか?

相続人が一人の場合は、申告書の連署欄にあなた一人の氏名・住所・マイナンバーを記入して提出します。複数の相続人がいる場合と書式は同じで、「死亡した者の確定申告書付表」に相続人情報を記載します。書き方がわからない場合は、故人の住所地を管轄する税務署の窓口で確認することができます。税務署では申告書の記載方法について丁寧に案内してもらえる場合が多いとされています。

Q3. 故人が年金受給者でした。準確定申告は必要ですか?

公的年金収入が年間400万円以下で、年金以外の所得(利子所得・配当所得等を除く)が20万円以下であれば、原則として確定申告は不要とされています(所得税法第121条)。ただし、これは確定申告義務がないという意味であり、医療費控除や生命保険料控除で還付が見込まれる場合は申告した方が得になります。年金収入が400万円を超える場合や、他に不動産収入等がある場合は申告が必要です。

Q4. 故人の確定申告書の控えが見当たりません。どうすればよいですか?

故人の過去の確定申告書の控えが手元にない場合は、税務署に「申告書等閲覧サービス」を申請することで過去の申告内容を確認できます。また、源泉徴収票は勤務先や年金事務所に再発行を依頼できます。通帳の入出金記録も収入・支出の把握に役立ちます。故人の収入状況がまったく不明な場合は、税務署または税理士に相談しながら進めることをお勧めします。

Q5. 相続放棄を検討しています。準確定申告はどうなりますか?

相続を放棄すると、その方は初めから相続人でなかったものとみなされます(民法第939条)。そのため、相続放棄をした方は準確定申告の義務を負わないとされるのが一般的な理解です。ただし、放棄後も相続財産を使用・管理している場合など、事情によっては申告義務の有無について個別判断が必要なケースもあります。相続放棄と準確定申告の関係については、税理士または弁護士にご確認されることをお勧めします。

Q6. 準確定申告で医療費控除を受けると、どのくらい還付されますか?

還付額は故人の所得税率と医療費の金額によって異なります。たとえば、課税所得が200万円程度(税率10%)の方が、死亡年に100万円の医療費を支払っていた場合、医療費控除額は最大90万円(100万円ー10万円)になり、還付税額は約9万円になります。所得が多い方(税率20%等)であれば還付額も大きくなります。保険金等で補填された分は控除額から差し引く必要があります。実際の金額は税理士や税務署に試算してもらうことが確実です。

Q7. 4か月の期限を過ぎてしまいました。今からでも申告できますか?

申告が必要なケースで期限を過ぎた場合、申告そのものは期限後でも受け付けてもらえます。ただし、無申告加算税(原則15%、税務署から指摘を受けた場合は20%)と延滞税(年率最大14.6%程度)が課せられる可能性があります。気づいた時点でなるべく早く申告することで、延滞税の金額を少なくできます。還付のみを目的とする場合は5年以内であれば申告できます。期限を過ぎた後の対応については、税理士や税務署に相談されることをお勧めします。

まとめ

準確定申告は、故人が生前に得た1月1日から死亡日までの所得について、相続人が代わりに行う所得税の申告です。申告期限は相続の開始を知った日の翌日から4か月以内で、通常の確定申告(2〜3月)とは別に計算されます。

申告が必要かどうかは、故人の収入の種類と金額によって決まります。給与収入のみで2,000万円以下かつ年末調整済みであれば原則不要ですが、不動産所得・事業所得・2,000万円超の給与・複数の勤務先からの給与・400万円超の年金収入がある場合は申告が必要です。

主なポイントを整理します。

  • 申告期限:相続開始を知った日の翌日から4か月以内
  • 提出先:故人の住所地を管轄する税務署
  • 相続人全員の連署が原則(単独提出の場合は他の相続人へ通知が必要)
  • 医療費控除・生命保険料控除は死亡日までに支払済みのものが対象
  • 納税額は相続財産の債務として相続税の計算上控除できる
  • 還付がある場合は代表相続人の口座への振込も選択できる
  • 還付申告のみの場合は5年以内であれば申告可能

期限を過ぎると加算税・延滞税が発生しますので、まず故人の収入状況を確認し、申告要否を早めに判断することが大切です。不動産・事業所得がある場合や相続人が複数いる場合など、手続きが複雑なケースでは税理士への相談が選択肢の一つになります。初回相談が無料の事務所も多くありますので、不安なことがあれば専門家に聞いてみてください。

準確定申告と相続税申告はどちらも期限のある手続きです。故人の書類を早めに整理しながら、一つひとつ着実に進めてください。


【免責事項】本記事は2025年4月時点の税法・通達に基づく一般的な情報提供を目的としており、個別の税務アドバイスを提供するものではありません。税法は改正されることがあります。実際の申告にあたっては、税理士または税務署にご相談のうえ、最新の法令に基づいてご判断ください。

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