火葬の費用相場はいくら?「火葬だけ」の総額と内訳、安く抑える方法を解説

ご家族のご逝去の報に際し、心よりお悔やみ申し上げます。

突然のことで動揺される中、「火葬の費用はいくらかかるのか」「何が含まれているのか」と、大きな不安を抱えていらっしゃることと存じます。

「火葬 費用」と調べても、火葬場の利用料だけなのか、搬送や安置まで含めた総額なのか分かりにくいのが実情です。

本記事では、「火葬だけ(直葬・火葬式)」で故人様をお見送りする場合の総額費用、その詳細な内訳、そして費用を賢く抑えるための公的扶助や葬儀社の選び方まで、ご不安な点を一つひとつ、分かりやすく解説します。

まずは正しい知識を身につけ、後悔のないお見送りの準備を整えましょう。

目次

火葬だけの費用相場は総額20万円〜30万円(火葬料+必要経費)

「火葬だけ」で故人様をお見送りする場合、総額の費用相場は20万円〜30万円が一般的です。

この金額には、病院からのご搬送、ご安置、棺、骨壷、火葬場への搬送、そして火葬料といった、最低限必要な項目がすべて含まれています。

ただし、「火葬 費用」という言葉には2つの意味があるため、注意が必要です。

「火葬費用」には2つの意味がある

ご遺族様が「火葬 費用」と検索される際、実は2つの全く異なる意味が混在しており、混乱の原因となっています。

それぞれの違いを正確に理解することが、適正な見積もりを得るための第一歩です。

①火葬場に支払う「火葬料」のみ(数万円)

火葬場に支払う「火葬料」とは、火葬炉を使用するための施設利用料のことです。

公営斎場であれば、住民の方は数万円程度(例:東京都の臨海斎場では組織区住民が44,000円)で利用できることがあります。

ただし、この金額には搬送や棺、安置といった他の必要な費用は一切含まれていません。

②お見送りに必要な全てを含む「火葬式(直葬)」の総額(20万円〜)

一方、葬儀社が提供する「火葬式(直葬)プラン」は、ご逝去からご火葬、お骨上げまでに必要な項目すべてを含んだパッケージ料金です。

搬送、安置、棺、骨壷、役所手続き代行、そして火葬場への搬送など、一連のサービスがセットになっており、総額で20万円〜30万円が相場です。

葬儀社の見積もりを比較する際は、「火葬料が含まれているか、別料金か」を必ず確認してください。

相場(20〜30万円)に通常含まれるもの(火葬式・直葬プラン)

葬儀社の「火葬式(直葬)プラン」には、以下のような項目が標準的に含まれています。

各項目の内容を理解しておくことで、見積もりが適正かどうかを判断しやすくなります。

病院へのお迎え・ご搬送(寝台車)

ご逝去された場所(病院や施設など)から、ご安置場所(ご自宅または葬儀社の安置施設)まで、専用の寝台車でご搬送します。

多くのプランでは、10km〜20km程度までの搬送費用がプラン料金に含まれていることが一般的です。

距離が長い場合は追加料金が発生する可能性があります。

ご安置(数日分の費用・ドライアイス含む)

法律(墓埋法)により、死後24時間は火葬ができないため、その間ご遺体をご安置する必要があります。

多くのプランには2〜3日分のご安置費用とドライアイス(1回分)が含まれていますが、日数が延びる場合は追加費用が発生します。

ご自宅にご安置できない場合は、葬儀社の専用安置施設を利用することも可能です。

棺、骨壷・骨箱

ご遺体を納める棺と、ご火葬後のお骨を収める骨壷・骨箱は、ほぼすべての火葬式プランに含まれています。

標準的なプランでは、白木の棺と白磁の骨壷(骨箱・風呂敷込み)が提供されることが一般的です。

デザイン性の高い棺や骨壷をご希望の場合は、別途追加料金が必要となります。

役所手続き代行(死亡届・火葬許可証)

ご逝去後、役所に「死亡届」を提出し、「火葬許可証」を取得する必要があります。

ほとんどの葬儀社では、これらの煩雑な手続きを無料で代行してくれるため、ご遺族様がお悲しみの中で役所に出向く必要はありません。

火葬許可証がなければ火葬を行うことができないため、この代行サービスは非常に重要です。

火葬場へのご搬送(寝台車)

ご安置場所から火葬場まで、再び寝台車でご搬送します。

この搬送費用もプラン料金に含まれていることが一般的ですが、火葬場が遠方の場合は距離に応じた追加料金が発生することがあります。

ご遺族様は、寝台車に同乗されるか、別のお車で火葬場に向かわれます。

火葬料(※プランに含まれず実費精算の場合あり)

火葬場への支払いは、葬儀社のプランに含まれている場合と、当日現地で実費精算となる場合があります。

見積もり時に必ず「火葬料は含まれていますか」と確認してください。

特に公営斎場を利用する場合、火葬料は当日現地払いとなることが多いため、現金またはキャッシュレス決済の準備が必要です。

相場(20〜30万円)に通常含まれない「追加費用」に注意

火葬式プランの基本料金だけでお見送りが完結するとは限りません。

以下のような項目は追加費用となることが多いため、事前に確認しておくことが大切です。

ご安置日数の延長料金(例:3日目以降)

基本プランには通常2〜3日分のご安置費用しか含まれていません。

火葬場の予約が取れない、またはご親族のご都合で火葬日が延びた場合、1日あたり数千円〜1万円程度の延長料金が発生します。

特に年末年始やお盆などの繁忙期は、火葬場の予約が取りにくいため注意が必要です。

ドライアイスの追加料金

ご安置期間中、ご遺体を保全するためにドライアイスが必要ですが、基本プランには1〜2回分しか含まれていないことがあります。

安置日数が延びた場合、ドライアイスの追加は1回あたり1万円前後が目安です。

冷蔵保管施設を利用する場合は、ドライアイスの追加費用を抑えることができます。

火葬場の「待合室」利用料

火葬中(約1〜2時間)にご遺族様がお待ちいただく待合室は、火葬場によっては有料です。

公営斎場では2万円〜6万円程度、民営斎場では無料〜数万円と施設により異なります

待合室を使わずロビーや屋外でお待ちになる場合は不要ですが、真夏や真冬は現実的ではないため、事前に利用可否を確認しましょう。

お別れ用の「花束」

火葬炉の前で、棺に生花を手向ける「お別れの儀式」を行う場合、花束が必要です。

基本プランには含まれていないことが多く、小さな花束で5,000円〜、しっかりとしたものは1万円〜2万円程度が相場です。

葬儀社に依頼せず、ご自身でご用意されることも可能です。

(必要な場合)宗教者へのお布施・謝礼

火葬式(直葬)は、基本的に宗教儀式を行わないシンプルなお見送りです。

しかし、火葬炉の前で僧侶に読経をお願いしたい場合は、お布施として3万円〜5万円程度が必要となります。

菩提寺がある場合は、事前に相談されることをお勧めします。

火葬費用の最大の変動要因「火葬場利用料」の仕組み

火葬式(直葬)の総額費用を大きく左右するのが、「火葬場利用料」です。

火葬場には「公営斎場」と「民営斎場」があり、それぞれ料金体系や特徴が大きく異なります。

適切な火葬場を選ぶことで、総額費用を数万円単位で抑えることが可能です。

最も安いのは「公営斎場」(自治体が運営)

公営斎場とは、市区町村や自治体組織が運営する火葬場です。

費用を抑えたいとお考えのご遺族様にとって、最も有力な選択肢となります。

特徴:施設数が少ないが、利用料が安い。

公営斎場の最大のメリットは、火葬料が民営斎場に比べて格段に安いことです。

ただし、施設数が限られているため、特に都市部では予約が取りにくく、ご希望の日時に火葬できない可能性があります。

火葬日程に余裕がある場合は、積極的に公営斎場の利用を検討されることをお勧めします。

料金体系:「管内(その自治体の住民)」か「管外(住民以外)」かで数倍違う

公営斎場の料金は、故人様(または喪主様)がその自治体の住民であるかどうかで大きく異なります。

住民の方は、税金で施設を維持しているため、大幅に割引された料金で利用できます。

一方、住民以外の方が利用する場合は、住民料金の2倍〜3倍以上の料金が請求されることがあるため、必ず事前に確認してください。

具体例(東京):臨海斎場(公営)の場合

東京都大田区にある臨海斎場は、港区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区の5区が共同で運営する公営の総合斎場です。

火葬料金(12歳以上、令和5年4月1日改定)は以下の通りです:

・組織区住民(上記5区に住民登録がある方):44,000円

・組織区外住民(上記5区以外の方):88,000円

このように、住民の方は非住民の方の半額で利用できるため、対象区域にお住まいの方は、臨海斎場を選ぶことで火葬費用を大幅に抑えることが可能です。

利用しやすい「民営斎場」(民間企業が運営)

民営斎場とは、民間企業が運営する火葬場です。

公営斎場に比べて料金は高めですが、予約の取りやすさや柔軟な対応が特徴です。

特徴:施設数が多く予約が取りやすいが、利用料が高い。

民営斎場は、都市部を中心に数多く存在し、火葬の予約が比較的取りやすいため、急なご逝去の際にも対応しやすいメリットがあります。

また、火葬炉のグレード(普通炉、特別室、貴賓館など)を選べる施設も多く、ご遺族様のご希望に応じた対応が可能です。

ただし、料金は公営斎場よりも高額に設定されているため、費用を重視される場合は注意が必要です。

料金体系:住民か否かでの料金差はないことが多い

民営斎場の多くは、故人様やご遺族様の住所に関わらず、一律の料金体系を採用しています。

そのため、公営斎場の「住民外」料金が適用されてしまう方にとっては、民営斎場の方が安くなる場合もあります。

どの火葬場を選ぶべきかは、故人様の住民票の所在地と各施設の料金を比較して判断されることをお勧めします。

具体例(東京):四ツ木斎場(民営)の場合

東京都葛飾区にある四ツ木斎場は、東京博善株式会社が運営する民営の総合斎場です。

火葬料金(普通炉、大人、令和7年11月時点)は以下の通りです:

・普通炉(一律):90,000円

・特別室:123,000円

・貴殯館:160,000円または295,000円

このように、民営斎場では火葬炉のグレードによって料金が大きく異なります。

最も利用頻度が多い普通炉は90,000円で、住所による料金差はありません

(補足)火葬場には「火葬炉」しかない場所と「式場併設」の場所がある

火葬場には、大きく分けて2つのタイプがあります。

一つは「火葬炉のみ」の施設で、火葬を行うことだけを目的とした場所です。

もう一つは「葬儀式場が併設された総合斎場」で、通夜・告別式から火葬までを同じ施設内で行うことができます。

火葬式(直葬)では式場を使用しないため、火葬炉のみの施設でも問題ありませんが、火葬炉前でのお別れを丁寧に行いたい場合は、お別れ室がある施設を選ばれるとよいでしょう。

火葬(直葬)の申し込みから完了までの流れ(全5ステップ)

火葬式(直葬)をご検討中のご遺族様にとって、「実際にどのような流れで進むのか」を知っておくことは、大きな安心につながります。

ここでは、ご逝去から火葬完了までの全体の流れを、5つのステップに分けて丁寧に解説します。

ステップ1:ご逝去・葬儀社への連絡

ご家族がご逝去されたら、まず速やかに葬儀社へ連絡します。

多くの葬儀社は24時間365日対応しているため、深夜や早朝であっても遠慮なくお電話してください。

病院等へのお迎え(寝台車)を手配する

病院や施設では、ご逝去後長時間ご遺体をお預かりすることができません。

葬儀社に連絡すると、専用の寝台車でご遺体をお迎えに来てくれます

搬送先は、ご自宅または葬儀社の安置施設となります。

この時点で「火葬式(直葬)プラン」であることを明確に伝える

葬儀社への最初の連絡時に、「火葬式(直葬)でお願いしたい」と明確にお伝えください

これにより、葬儀社は適切なプランと見積もりを用意してくれます。

後から変更することも可能ですが、最初に意向を伝えておくことでスムーズに進みます。

ステップ2:ご搬送・ご安置

寝台車でご遺体を搬送し、ご安置場所に到着します。

ご安置の方法には、ご自宅安置と施設安置の2つがあります。

ご自宅 または 葬儀社の安置施設へ搬送

ご自宅にご安置される場合は、ご遺体を寝室や居間などに安置し、ドライアイスで保全します。

一方、ご自宅にスペースがない、またはご事情がある場合は、葬儀社の専用安置施設(霊安室)を利用することができます。

安置施設では、冷蔵保管されるため、ドライアイスの追加費用を抑えられるメリットがあります。

法律(墓埋法)により、死後24時間は火葬ができない

日本の法律(墓地、埋葬等に関する法律)では、死後24時間以内の火葬が禁止されています。

そのため、どんなに急いでも、ご逝去の翌日以降でなければ火葬を行うことができません。

この期間中、ご遺体を適切にご安置する必要があります。

ステップ3:役所手続き(葬儀社が代行)

火葬を行うためには、役所で正式な手続きが必要です。

これらの手続きは、ほとんどの葬儀社が無料で代行してくれます。

医師から「死亡診断書」を受け取る

ご逝去後、医師から「死亡診断書」が発行されます。

この書類は、死亡届の提出や火葬許可証の取得に必須ですので、大切に保管してください。

葬儀社がコピーを取り、原本は手続き後にご遺族様にお返しされます。

役所に「死亡届」を提出し、「火葬許可証」を受け取る

葬儀社が、死亡診断書とともに死亡届を役所に提出します。

役所では、死亡届を受理した後、「火葬許可証」を発行してくれます。

この火葬許可証がなければ、火葬場で火葬を行うことができません。

ステップ4:お打ち合わせ・ご納棺

安置期間中に、葬儀社の担当者とお打ち合わせを行います。

ここで火葬の具体的な日程や内容を決定します。

火葬の日時、火葬場を決定

火葬場の空き状況とご遺族様のご都合を調整し、火葬の日時と使用する火葬場を決定します。

公営斎場は予約が取りにくいため、希望日時に予約できない場合もあります。

その場合は、民営斎場の利用も検討されるとよいでしょう。

費用の見積もりを確認・契約

葬儀社から正式な見積書が提示されます。

何が含まれていて、何が別料金なのかを必ず確認し、納得された上で契約してください。

不明な点があれば、遠慮なく質問されることをお勧めします。

ステップ5:火葬・お骨上げ

火葬当日、ごく近親者の方々で火葬場へ向かいます。

火葬式(直葬)では、式場での儀式は行わず、火葬炉の前でのお別れが中心となります。

ごく近親者で火葬場へ移動

ご遺体を納めた棺は、寝台車で火葬場へ搬送されます。

ご遺族様は、寝台車に同乗されるか、ご自身のお車やタクシーで火葬場へ向かわれます

火葬式では、参列者は家族や親しい方数名のみが一般的です。

火葬炉の前で最後のお別れ(※プランにより異なる)

火葬炉の前で、棺に生花を手向けたり、お顔を拝見したりする「最後のお別れ」の時間があります。

読経をご希望される場合は、事前に葬儀社へ僧侶の手配を依頼してください(別途お布施が必要)。

お別れの時間は10分程度と短いため、心を込めてお見送りされることをお勧めします。

火葬(約1〜2時間)、待合室で待機

お別れの後、火葬炉で火葬が行われます。

火葬には約1時間〜2時間を要するため、ご遺族様は待合室でお待ちいただきます。

待合室の利用が有料の場合は、事前に確認しておきましょう。

お骨上げ(収骨)

火葬が終わると、係員の案内で「お骨上げ(収骨)」を行います。

お箸でお骨を拾い、骨壷に納める日本の伝統的な儀式です。

地域によっては「全収骨(すべてのお骨を骨壷に納める)」と「部分収骨(一部のみ納める)」がありますが、東京など関東圏では全収骨が一般的です。

火葬費用を安く抑えるための4つの方法

火葬式(直葬)は、葬儀の中で最もシンプルで費用を抑えられる形式ですが、さらに工夫することで総額費用を軽減することが可能です。

ここでは、費用を安く抑えるための具体的な4つの方法をご紹介します。

方法1:公営斎場を利用する(最も効果的)

火葬費用を抑える最も効果的な方法は、公営斎場を利用することです

公営斎場の住民料金は、民営斎場の半額以下になることも珍しくありません。

故人様の住民票がある自治体の公営斎場が使えないか確認する

まず、故人様が亡くなられた時点で住民登録されていた自治体に公営斎場があるかを確認してください。

また、自治体によっては、喪主様(二親等以内の親族)が住民であれば住民料金で利用できる場合もあります。

公営斎場は予約が取りにくいデメリットがありますが、費用面では圧倒的に有利です。

方法2:複数の葬儀社から「火葬式(直葬)プラン」の見積もりを取る

葬儀社によって、火葬式プランの料金やサービス内容は大きく異なります。

少なくとも2〜3社から見積もりを取り、内容を比較することで、適正な価格を見極めることができます。

「一式プラン」に何が含まれ、何が別料金かを必ず比較する

見積書を受け取ったら、「火葬料」「安置日数」「ドライアイス」「搬送距離」など、どこまでがプラン料金に含まれているかを細かく確認してください。

一見安く見えるプランでも、多くの項目が別料金となっており、最終的に高額になるケースもありますので、注意が必要です。

方法3:公的な「給付金」を申請する(後日支給)

火葬費用を支払った後、加入されていた健康保険から給付金を受け取ることができます。

この制度を利用することで、実質的な負担を軽減することが可能です。

国民健康保険:「葬祭費」(自治体により3万〜7万円)

故人様が国民健康保険に加入されていた場合、喪主様が自治体に「葬祭費」を申請できます

支給額は自治体によって異なり、3万円〜7万円程度が一般的です。

申請には、火葬許可証(または埋葬許可証)、喪主様の口座情報、保険証などが必要となりますので、詳しくは自治体の窓口にお問い合わせください。

会社等の健康保険(協会けんぽ等):「埋葬料」(一律5万円)

故人様が会社員などで、協会けんぽや組合健保に加入されていた場合、「埋葬料」として一律5万円が支給されます。

申請先は、加入されていた健康保険組合または協会けんぽの支部です。

葬祭費・埋葬料は申請しないと受け取れないため、忘れずに手続きを行いましょう

方法4:(該当する場合)「葬祭扶助」を利用する

経済的な理由で火葬費用を支払うことが困難な場合、生活保護制度の「葬祭扶助」を利用できる可能性があります。

詳しくは次章で解説します。

火葬費用が「払えない」場合の対処法(葬祭扶助制度)

火葬は法律で義務付けられていますが、経済的な事情で費用を工面できない場合もあります。

そのような場合に利用できる公的な制度が「葬祭扶助」です。

生活保護受給者(または困窮者)のための「葬祭扶助」とは

葬祭扶助とは、生活保護法に基づき、火葬などの最低限の葬祭費用を自治体が負担してくれる制度です。

以下のいずれかに該当する場合に利用できる可能性があります。

故人が生活保護受給者だった場合

故人様が生活保護を受給されており、かつ葬祭を行う遺族がいない、または遺族にも資力がない場合、自治体が葬祭費用を負担します。

この場合、自治体が直接葬儀社に費用を支払う形となります。

喪主(扶養義務者)が生活困窮で費用を賄えない場合

故人様は生活保護を受給していなかったが、喪主となるべき方(扶養義務者)が生活保護を受給している、または生活困窮で費用を支払えない場合も、葬祭扶助の対象となることがあります。

自治体の福祉事務所が、困窮の状況を審査した上で支給の可否を判断します。

葬祭扶助の申請方法と注意点

葬祭扶助を利用するためには、正しい手順で申請を行う必要があります。

特に、タイミングが非常に重要ですので、以下の点に注意してください。

重要:火葬を行う前に、必ず故人(または喪主)の自治体の福祉事務所に相談する

葬祭扶助は、火葬を行う前に申請しなければ原則として認められません

火葬後に「費用が払えない」と申し出ても、支給されない可能性が高いため、ご逝去後すぐに福祉事務所へ相談してください。

福祉事務所は、市区町村役場内または福祉関連の施設に設置されています。

申請者:原則として喪主(扶養義務者)

葬祭扶助の申請は、故人様の配偶者、子、親など、扶養義務のある親族(喪主となる方)が行います。

扶養義務者がいない場合は、家主や地域の民生委員などが申請することもあります。

注意点:自治体が指定する最低限の内容(搬送、安置、火葬)のみが対象。読経や花は含まれない。

葬祭扶助で支給されるのは、法律で定められた最低限の葬祭(火葬)に必要な費用のみです。

具体的には、遺体の搬送、安置(ドライアイス含む)、棺、火葬料、骨壷などが対象となります。

僧侶へのお布施、生花、会葬礼状などは対象外ですので、ご了承ください。

信頼できる葬儀社(火葬式プラン)の選び方 3つのポイント

火葬式(直葬)は費用を抑えられる葬儀形式ですが、だからこそ、信頼できる葬儀社を選ぶことが非常に重要です。

以下の3つのポイントを参考に、後悔のない葬儀社選びをしてください。

ポイント1:「火葬式(直葬)」プランの実績が豊富か

すべての葬儀社が火葬式に精通しているわけではありません。

火葬式の実績が豊富で、丁寧に対応してくれる葬儀社を選ぶことで、スムーズで安心なお見送りが実現します。

ホームページや資料に、火葬式の施行実績や具体的なプラン内容が記載されているかを確認しましょう。

ポイント2:見積書の内訳が明確で、追加費用の説明が丁寧か

見積書の内訳が詳細に記載されており、何が含まれ、何が別料金なのかを明確に説明してくれる葬儀社は、信頼できる可能性が高いです。

逆に、「一式〇〇万円」とだけ書かれており、内訳が不透明な見積書には注意が必要です。

「火葬料」や「安置料(日数分)」がプランに含まれているか、実費精算かを必ず確認する

特に重要なのが、「火葬料」と「安置料(何日分か)」がプラン料金に含まれているかどうかです。

これらが別料金の場合、当初の見積もりよりも総額が大幅に高くなることがあります。

不明瞭な点があれば、契約前に必ず質問し、書面で確認することが大切です。

ポイント3:24時間365日対応で、電話応対が誠実か

ご逝去は、いつ起こるか分かりません。

24時間365日いつでも連絡が取れ、丁寧で誠実な対応をしてくれる葬儀社を選ぶことで、突然の事態にも安心して任せることができます。

事前に電話で相談してみて、担当者の応対が信頼できるかどうかを確認されることをお勧めします。

火葬費用に関するよくある質問(Q&A)

火葬費用について、多くのご遺族様が抱かれる疑問を解決しましょう。

Q. 火葬費用は誰が払うべきですか?

法律上、火葬費用を誰が負担すべきかという明確な規定はありません。

一般的には、「喪主」となる方が一時的に立て替え、後に「故人の相続財産」から清算することが多いとされています。

相続財産がない場合や、相続人が複数いる場合は、相続人間で話し合って負担を決めることになります。

トラブルを避けるため、事前にご家族でよく話し合われることをお勧めします。

Q. 火葬式(直葬)の場合、お布施(お坊さん)は必要ですか?

火葬式(直葬)は、基本的に宗教儀式を行わないシンプルなお見送りですので、お布施は必須ではありません

ただし、火葬炉の前で僧侶に読経をお願いしたい場合は、葬儀社または菩提寺に相談が必要です。

その場合、別途お布施として3万円〜5万円程度が目安となります。

菩提寺がある場合は、火葬式でも必ず事前に連絡し、ご相談されることをお勧めします。

Q. 骨壷の費用は含まれていますか?

ほとんどの火葬式プランには、基本的な白磁の骨壷・骨箱(桐箱)・風呂敷の費用が含まれています

火葬場でも無料で骨壷を提供してくれる場合がありますが、サイズやデザインに制限があります。

デザイン性のある骨壷や、高級な素材の骨壷をご希望の場合は、別途追加料金が必要となります。

Q. 「火葬許可証」とは何ですか?

「火葬許可証」とは、火葬を行うために必須の公的書類です。

役所に死亡届を提出する際に発行されます。

通常、葬儀社が手続きを代行してくれますので、ご遺族様が直接役所に出向く必要はありません。

火葬許可証がなければ、火葬場で火葬を行うことができませんので、大切に保管してください。

火葬費用で後悔しないために(まとめ)

火葬の費用は、「火葬式(直葬)プラン」として総額20万円〜30万円が相場です。

最も費用を左右するのは「火葬場利用料(公営か民営か)」です。

費用を抑えるには「公営斎場の利用」と「公的給付金(葬祭費・埋葬料)」の申請を検討しましょう

「費用が払えない」場合は、火葬前に必ず自治体の福祉事務所へ「葬祭扶助」の相談をしてください。

何より重要なのは、プラン内容と追加費用を明確に説明してくれる、信頼できる葬儀社を選ぶことです。

ご不安な点は多いかと存じますが、まずは複数の葬儀社から「火葬式(直葬)プラン」の具体的な見積もりを取り寄せ、内容を冷静に比較することから始めましょう。

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