遺言書の書き方と費用|自筆証書と公正証書の違い・法務局保管制度まで解説【2026年最新】

目次

遺言書の種類と比較|自筆証書・公正証書・秘密証書

遺言書には法律で定められた3つの種類があります。

種類 費用目安 メリット デメリット 証人
自筆証書遺言 ほぼ無料(法務局保管は3,900円) いつでも・どこでも作成可能 形式不備で無効になるリスクがある 不要
公正証書遺言 数万〜十数万円程度 無効になるリスクが低い・検認不要 費用がかかる・証人2名が必要 2名必要
秘密証書遺言 数千円〜1万円程度(公証人手数料) 内容を秘密にしたまま存在を証明できる 形式不備リスクあり・活用例が少ない 2名必要

現実的には自筆証書遺言か公正証書遺言のどちらかを選択するケースが大多数を占めています。

費用比較|自筆証書から公正証書まで

自筆証書遺言は、自分で紙とペンで書くだけのため、費用はほぼかかりません。法務局の遺言書保管制度を利用する場合は、申請手数料として3,900円が必要です。

公正証書遺言の費用は遺産総額によって異なり、公証人手数料・証人への謝礼を合計すると数万〜十数万円程度になることが一般的です。

費用を抑えたい場合は自筆証書遺言を選ぶ方が多いですが、形式不備による無効リスクを考えると公正証書遺言の方が安心感は高いと言えます。

公正証書遺言の手数料早見表

財産額 公証人手数料
100万円以下 5,000円
200万円以下 7,000円
500万円以下 11,000円
1,000万円以下 17,000円
3,000万円以下 23,000円
5,000万円以下 29,000円
1億円以下 43,000円

自筆証書遺言の書き方ルール

自筆証書遺言が有効であるための基本的な要件は以下の3点です。

第一に、全文を自筆で書くことが必要です。パソコンで作成した文書は無効となります(財産目録のみパソコン作成可)。

第二に、作成日付を正確に記入することです。「令和7年春」といった曖昧な表現は無効となるため、年月日を明記することが必要です。

第三に、署名と押印が必要です。認印でも法律上は有効ですが、実印の使用が望ましい対応です。

無効になる失敗例7パターン

# 失敗パターン 無効になる理由
1 パソコンで本文を作成した 全文自筆の要件を満たさない
2 日付が「令和7年春」など曖昧 作成日が特定できない
3 署名だけで押印がない 押印は有効要件
4 共同遺言(夫婦が同一用紙に記載) 法律上禁止されている
5 財産の特定が不明確(「預金の半分」など) 相続人間の争いを招く可能性がある
6 訂正方法が法定方式に従っていない 訂正箇所が無効または全体が無効になる場合がある
7 遺言能力がない状態で作成した 意思能力を欠く場合は無効

夫婦で一緒に遺言を書く「共同遺言」は法律で禁止されており、別々の用紙に個別に作成する必要があります。

公正証書遺言の作成手順

  1. 遺言の内容を決め、草案を用意する(弁護士・司法書士・行政書士に依頼することも可能)

  2. 証人2名を選ぶ(相続人・受遺者・その配偶者・直系血族は証人になれない)

  3. 公証役場に必要書類を持参して予約し、公証人が遺言内容を確認

  4. 遺言者・証人2名・公証人が署名押印して完成

体が不自由で公証役場に出向けない場合は、自宅や病院・施設への出張も依頼できます(別途手数料加算)。

法務局の遺言書保管制度(3,900円)のメリット

2020年7月から開始された法務局の自筆証書遺言書保管制度は、自筆証書遺言の弱点を補う画期的な制度です。

第一のメリットは、検認手続きが不要になる点です。

第二に、紛失・改ざんのリスクがない点です。

第三に、遺言者が死亡した場合にあらかじめ指定した相続人に遺言書の保管を通知する相続人への通知機能があります。

法務局への申請時には法務局職員による形式確認が行われるため、形式不備による無効リスクを事前に発見できる点も大きなメリットです。

遺言書発見時の対処法|開封禁止と家庭裁判所での検認

公正証書遺言・法務局保管の遺言書以外の遺言書(封をされた自筆証書遺言など)を発見した場合には、重要なルールがあります。

封をされた遺言書は、絶対に自分で開封してはいけません。

民法では、封印のある遺言書は家庭裁判所で相続人の立会いのもとに開封しなければならないと定められています。

封印された遺言書を検認前に開封した場合、5万円以下の過料が科せられる場合があるため、発見後は開封せずに家庭裁判所に申立てを行うことが重要です。

遺留分の基礎知識と計算例

遺留分とは、一定の相続人に法律上保障された最低限の相続分のことです。

相続人の構成 総体的遺留分 各相続人の遺留分
配偶者のみ 1/2 配偶者1/2
配偶者+子 1/2 配偶者1/4・子全員で1/4
子のみ 1/2 子全員で1/2
配偶者+父母 1/2 配偶者1/3・父母1/6
父母のみ 1/3 父母全員で1/3

遺留分の計算例

例として、遺産総額が6,000万円で相続人が配偶者と子1人の場合、遺留分の総額は6,000万円×1/2=3,000万円となります。配偶者・子それぞれの遺留分は6,000万円×1/4=1,500万円です。

遺言書の内容が遺留分を侵害している場合、侵害された相続人は「遺留分侵害額請求」を行使できます。請求の期限は遺留分侵害を知った時から1年です。

遺言執行者の役割と選び方

遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために必要な手続きを行う人物のことです。不動産の名義変更・預金口座の解約・株式の移転などを担当します。

未成年者や破産者は遺言執行者になれないと法律で定められています。

専門家を遺言執行者に指定した場合は、報酬として遺産総額の1〜3%程度が目安です。

遺言書に書けること・効力がないこと

財産の分配・相続人の廃除・遺言執行者の指定・認知・祭祀財産の承継者の指定などが法的効力を持つ事項です。

介護への感謝・葬儀の希望・ペットの世話などは遺族への希望として記載は可能ですが、法的強制力はありません。

ペットの世話を特定の人に託したい場合は、遺言書だけでなく信託を活用する方法も検討価値があります。

よくある質問

Q. 遺言書は何度でも書き直せますか?

遺言書は何度でも作成・変更できます。複数の遺言書が存在する場合は、原則として日付が新しいものが優先されます。

Q. 遺言書がない場合はどうなりますか?

遺言書がない場合は、法定相続分に従うか、相続人全員の合意による遺産分割協議によって分割方法を決定します。

Q. 認知症の診断を受けた後でも遺言書を作成できますか?

認知症の診断があっても、遺言作成時に意思能力があれば遺言書は有効とされる場合があります。医師の診断書を取得した上で公正証書遺言として作成することが望ましい対応です。

Q. 遺言書に全財産を特定の1人に相続させると書いた場合、他の相続人は何も受け取れませんか?

遺言書でそのように指定しても、他の法定相続人は遺留分を請求できる権利を持ちます。遺留分侵害額請求を行使することで、法律上保障された最低限の相続分を受け取ることができます。

まとめ

遺言書の作成は、残された家族への大切な贈り物です。

自筆証書遺言はほぼ無料で作成できますが、形式不備による無効リスクがあります。公正証書遺言は数万〜十数万円程度の費用がかかりますが、安全性が高い遺言書を作成できます。

法務局の遺言書保管制度(3,900円)を活用することで、自筆証書遺言の弱点を補うことができます。

遺留分や遺言執行者など、遺言書の効力に関わる知識を理解した上で作成することが、遺族間のトラブルを防ぐ最大の備えです。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法律相談・税務相談を提供するものではありません。具体的な遺言書の作成については、弁護士・司法書士・公証役場にご相談ください。

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