介護施設の種類と費用相場|特養・老健・有料老人ホームの違いを徹底比較【2026年最新】

目次

介護施設の種類と費用を理解する前に——なぜ「比較」が重要なのか

親の介護が必要になったとき、多くの方が最初に直面するのが「施設の種類が多すぎて、どれを選べばいいかわからない」という壁です。特養、老健、有料老人ホーム、サ高住……それぞれ費用も入居条件もサービス内容も大きく異なります。

この記事では、介護施設の全種類を公的・民間に分けて整理し、費用相場・入居条件・サービス内容を徹底比較します。施設選びで後悔しないために必要な情報を、できる限り具体的にまとめました。

この記事でわかること:

  • 公的施設(特養・老健・介護医療院)と民間施設(有料老人ホーム・サ高住・グループホーム)の違い
  • 各施設の月額費用の目安と入居一時金の相場
  • 介護保険の自己負担額の仕組みと費用が払えなくなった場合の対応
  • 施設選びで見るべき5つのポイントと見学時のチェックリスト

費用や条件は地域・事業者によって幅があります。あくまで目安として参考にしていただき、個別の状況については専門家(ケアマネジャー・地域包括支援センター)にご相談されることをお勧めします。

介護施設の全体像——公的施設と民間施設の根本的な違い

介護施設は大きく「公的施設」と「民間施設」の2種類に分かれます。この違いを理解しておくことが、施設選びの出発点です。

公的施設とは何か

公的施設とは、介護保険法や医療法などの法律に基づいて設置・運営される施設で、市区町村や社会福祉法人が主体となって運営しているものが中心です。特別養護老人ホーム(特養)・介護老人保健施設(老健)・介護療養型医療施設・介護医療院がこれに該当します。

公的施設の最大の特徴は、費用が比較的安く抑えられている点です。介護保険が適用されることを前提に設計されており、入居一時金が不要なケースがほとんどです。ただし、その分だけ需要が高く、特に特養は数年単位の待機期間が生じることが珍しくありません。

また、公的施設は医療ケアの提供体制が比較的整っており、重度の要介護状態や医療的なケアが必要な方に向いているケースが多いとされています。入居できる条件(要介護度など)が法律や基準で定められているため、誰でも入れるわけではありません。この点は、民間施設との大きな違いの一つです。

公的施設に入居するためには、まず担当ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談し、施設への申し込みを行うことが一般的な流れとなっています。待機期間が長いため、できるだけ早めに申し込みを行っておくことが重要です。

民間施設とは何か

民間施設は、民間企業や社会福祉法人などが独自のサービス基準で運営する施設です。介護付き有料老人ホーム・住宅型有料老人ホーム・健康型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)・グループホームなどが含まれます。

民間施設の特徴は、サービス内容・設備・費用の幅が非常に広い点です。月額費用が数万円台のサ高住から、月額30〜50万円を超える高級有料老人ホームまで、選択肢は豊富にあります。その分、施設によってサービスの質に大きな差があるため、十分な比較検討が必要です。

民間施設は一般的に公的施設より入居しやすく、待機期間が短い傾向があります。ただし、入居一時金として数十万円〜数千万円を求める施設もあるため、資金計画をしっかり立てることが重要です。

介護保険の適用については、施設の種類によって異なります。介護付き有料老人ホームは特定施設入居者生活介護として介護保険が適用されますが、住宅型有料老人ホームやサ高住は外部のサービス事業者と個別に契約する形が多いため、利用するサービスの量によって自己負担額が変わります。

公的施設と民間施設の主な違い(比較表)

項目 公的施設 民間施設
運営主体 市区町村・社会福祉法人など 民間企業・社会福祉法人など
費用水準 比較的安い 施設によって大きく異なる
入居一時金 不要(多くの場合) 不要〜数千万円と幅がある
入居のしやすさ 待機期間が長いことが多い 比較的入居しやすい
入居条件 要介護度などの基準がある 施設によって異なる
医療ケア 充実しているケースが多い 施設によって差がある
サービスの自由度 基準に基づく 施設によって高いサービスも

公的施設の種類と費用——特養・老健・介護医療院を詳しく解説

公的施設は種類によって目的や対象者が異なります。それぞれの特徴を正確に理解しておくことで、親御さんの状態に合った施設を選びやすくなります。

特別養護老人ホーム(特養)——終の棲家として最も需要が高い施設

特別養護老人ホーム(通称:特養)は、要介護3以上の方を対象とした、24時間介護体制の公的施設です。介護老人福祉施設とも呼ばれ、日常的な介護が必要な方が長期間生活できる施設として位置づけられています。

特養の最大のメリットは費用の安さです。月額費用は施設の種類や地域によって異なりますが、おおむね7万〜15万円程度が目安とされています。入居一時金は基本的に不要で、入居後の費用の見通しが立てやすいのが特徴です。ただし、食費や居住費は介護保険の給付対象外となるため、自己負担が発生します。

特養のもう一つの大きな特徴は、「終の棲家」として入居できる点です。老健などは原則として自宅への復帰を目標とした一時的な入所ですが、特養は長期にわたって生活できる施設として設計されています。

一方で、最大のデメリットは待機期間の長さです。全国的に需要が供給を大幅に上回っており、数百人単位の待機者がいる施設も珍しくありません。申し込みから実際の入居まで、数年かかるケースも多いとされています。2015年の介護保険法改正により、原則として要介護3以上でなければ入居できなくなりましたが、それでも待機期間の解消には至っていません。

特養には「従来型個室」「多床室(相部屋)」「ユニット型個室」「ユニット型個室的多床室」の4つの部屋タイプがあります。部屋タイプによって居住費が異なり、多床室が最も安く、ユニット型個室が最も高くなる傾向があります。

介護老人保健施設(老健)——リハビリを経て自宅復帰を目指す施設

介護老人保健施設(老健)は、病院退院後などに在宅復帰を目的としたリハビリを中心に提供する施設です。医師が常駐しており、看護・介護・リハビリを一体的に提供しています。

老健の目的は、病院でのある程度の治療が終わった後、自宅に戻るための「橋渡し」です。作業療法士・理学療法士・言語聴覚士などのリハビリ専門職が常駐しており、機能回復に向けた集中的なリハビリを受けられます。医師が施設内に常駐している点も、老健の大きな特徴の一つです。

費用は特養と同程度か、やや高めの水準になることが多く、月額8万〜15万円程度が目安とされています。入居一時金は不要なケースがほとんどです。

老健への入所は原則として3〜6ヶ月が目安とされており、長期入所を前提とした施設ではありません。在宅復帰の見込みが低いとケアマネジャーや施設に判断された場合、退所を求められることもあります。この点は、家族として事前によく理解しておく必要があります。

入所条件は要介護1以上で、病状が安定していることが求められます。急性期の治療が必要な状態では入所できないため、入院中に退院後の行き先として老健を検討する場合は、主治医・病院のソーシャルワーカーと早めに相談することをお勧めします。

介護医療院——医療と生活を一体的に提供する比較的新しい施設

介護医療院は、2018年4月に新設された施設類型で、長期療養が必要な要介護者に対して、医療ケアと生活支援を一体的に提供する施設です。それまで存在していた「介護療養型医療施設(療養病床)」の廃止に伴い、その後継として位置づけられています。

介護医療院はⅠ型とⅡ型の2種類に分かれています。Ⅰ型は医師・看護師の体制が厚く、医療ニーズが高い方に対応します。Ⅱ型は比較的安定した状態の長期療養者を対象とし、Ⅰ型より医師・看護師の配置基準がやや低く設定されています。

費用は月額10万〜20万円程度が目安とされており、医療ケアの提供体制が充実している分、特養・老健よりやや高めになることが多いとされています。入居一時金は基本的に不要です。

入所条件は要介護1以上ですが、実際には医療的ケアが必要な方が対象となることがほとんどです。胃ろうや経管栄養、たんの吸引など、医療的処置が継続的に必要な状態の方でも受け入れることができる点が、介護医療院の大きな強みです。

特養と異なり在宅復帰を目標とせず、長期的な医療ケアと生活の場として利用できる点が、介護医療院の特徴です。医療依存度が高く、特養への入居が難しい方にとって、有力な選択肢の一つとなっています。

民間施設の種類と費用——有料老人ホーム・サ高住・グループホームを比較

民間施設は選択肢の幅が広く、費用やサービス内容にも大きな差があります。それぞれの特徴を理解して、親御さんの状態や家族の希望に合った選択をすることが重要です。

介護付き有料老人ホーム——介護から看取りまで一貫して対応

介護付き有料老人ホームは、特定施設入居者生活介護の指定を受け、施設のスタッフが介護サービスを直接提供する施設です。24時間の介護体制が整っており、入居から看取りまで一貫したサービスを提供できる施設が多いとされています。

費用の目安は、入居一時金が0〜数千万円、月額費用が15万〜30万円程度と、施設によって非常に幅があります。都市部や高級施設では、月額費用が40〜50万円を超えることもあります。一方で、入居一時金が不要な「月払い型」を採用している施設も増えています。

介護付き有料老人ホームのメリットは、介護保険の定額制サービスが適用される点です。要介護度に応じた定額の介護費を支払うことで、施設内での介護サービスを受けられます。ただし、介護保険の定額内で対応できないサービス(訪問診療以外の医療処置など)は別途費用が発生します。

看護師の配置が義務づけられており、医療対応の面でも比較的安心できる施設類型とされています。ただし、施設によって看護師の勤務形態(常勤・非常勤・オンコール対応など)が異なるため、見学時に確認しておくことをお勧めします。

入居条件は施設によって異なりますが、自立〜要介護5まで幅広く受け入れている施設と、要介護2以上を対象とする施設など、施設ごとに異なります。認知症の受け入れ状況も施設によって差があるため、事前に確認が必要です。

住宅型有料老人ホーム——外部サービスを組み合わせて利用する柔軟な選択肢

住宅型有料老人ホームは、施設側が直接介護サービスを提供するのではなく、外部の介護サービス事業者と契約して利用する形式の有料老人ホームです。食事・生活支援(掃除・洗濯など)は施設が提供しますが、介護・医療ケアは外部のサービス事業者に依頼します。

費用は月額10万〜25万円程度が目安で、入居一時金は0〜数百万円と幅があります。介護サービスの利用量に応じて費用が変わるため、介護度が低いうちは比較的費用を抑えられますが、介護度が上がるにつれて費用が増加します。

住宅型有料老人ホームは、入居条件が比較的緩やかで自立〜要介護の方まで幅広く受け入れていることが多いとされています。ただし、重度の要介護状態になると対応が難しくなり、退居を求められるケースも少なくありません。将来的に介護度が上がった場合の対応について、入居前に確認しておくことが重要です。

外部サービスを柔軟に選べる点はメリットですが、複数の事業者と個別に契約する手間がかかり、サービスの調整が複雑になることもあります。居宅介護支援(ケアマネジャーのサービス)は別途契約が必要です。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)——賃貸住宅として位置づけられる選択肢

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、高齢者住まい法に基づいて整備された賃貸住宅です。有料老人ホームとは異なり、基本的には「住宅」として位置づけられており、安否確認と生活相談サービスの提供が義務づけられています。

費用は月額7万〜20万円程度が目安で、介護サービスは外部の事業者と個別に契約します。住宅型有料老人ホームと似た仕組みですが、サ高住は賃貸借契約のため、敷金(家賃数ヶ月分程度)は必要ですが、入居一時金は基本的に不要です。

サ高住の特徴は、自立度が高い方から要介護の方まで幅広く入居できる点です。特に介護度が低いうちは費用を抑えやすく、バリアフリーの整った住宅で安心して生活できます。一方で、施設によって提供されるサービスの内容や質に差があるため、安否確認や生活相談以外のサービス内容をしっかり確認する必要があります。

重度の要介護状態や認知症が進行した場合、住宅としての特性上、対応が難しくなるケースもあります。将来の状態変化を見据えた施設選びが重要です。

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)——認知症の方を専門に支援する施設

グループホームは、認知症と診断された要介護者が少人数(5〜9人)のユニットで共同生活を送る施設です。正式名称は「認知症対応型共同生活介護」で、介護保険の地域密着型サービスとして位置づけられています。

費用は月額12万〜20万円程度が目安とされています。入居一時金は0〜100万円程度の施設が多いとされています。介護保険が適用されますが、地域密着型サービスのため、施設がある市区町村に住民票がある方のみ利用できます。転居を伴う入居は原則としてできない点に注意が必要です。

グループホームの最大の特徴は、認知症ケアに特化したスタッフによる、家庭的な環境でのサポートです。少人数のユニット制で生活するため、一人ひとりに合ったケアを受けやすいとされています。調理・洗濯・掃除などの日常活動に参加することで、生活機能の維持を図ることが基本的な考え方です。

入居条件は要支援2以上または要介護1以上で、医師から認知症と診断されていることが必要です。認知症のある親御さんの施設選びにおいて、グループホームは有力な選択肢の一つとなっています。

各施設の比較表——入居条件・費用・待機期間・サービスを一覧で確認

ここまで紹介した各施設の主要な情報を、比較表としてまとめます。施設を検討する際の参考にしてください。なお、費用は地域や施設によって大きく異なるため、あくまで目安としてご参照ください。

施設種別 入居条件 月額費用目安 入居一時金 待機期間 特徴
特養(特別養護老人ホーム) 要介護3以上 7万〜15万円程度 不要 数ヶ月〜数年 終の棲家として長期入居可
老健(介護老人保健施設) 要介護1以上 8万〜15万円程度 不要 比較的短い 在宅復帰を目的としたリハビリ
介護医療院 要介護1以上 10万〜20万円程度 不要 施設による 長期療養と医療ケアを提供
介護付き有料老人ホーム 施設による(自立〜要介護) 15万〜30万円程度 0〜数千万円 比較的短い 24時間介護・看取りまで対応
住宅型有料老人ホーム 施設による 10万〜25万円程度 0〜数百万円 比較的短い 外部サービスを個別に利用
サービス付き高齢者向け住宅 60歳以上など 7万〜20万円程度 基本不要(敷金あり) 比較的短い 賃貸住宅として安否確認付き
グループホーム 要支援2以上・認知症診断 12万〜20万円程度 0〜100万円程度 施設による 認知症専門・少人数ユニット制

入居一時金の相場と注意点——契約前に必ず確認すべきこと

有料老人ホームなど一部の民間施設では、入居時に「入居一時金」の支払いを求められることがあります。この入居一時金の仕組みを正確に理解しておかないと、後々トラブルになることも少なくありません。

入居一時金とは何か

入居一時金は、入居にあたって居室の利用権を取得するために支払う費用です。その施設で生活できる期間(居住権)に対する対価として性格づけられています。金額は施設によって0円から数千万円まで幅があり、特に都市部の高級施設では高額になる傾向があります。

入居一時金の仕組みには「一括前払い型」と「月払い型」があります。一括前払い型は入居時に高額を支払う代わりに月額費用を抑えられる設計が多く、月払い型は入居一時金が不要または低額で月額費用が高めに設定されているケースが多いとされています。

どちらが得かは入居期間によって変わります。長期入居を見込む場合は一括前払い型が有利なことが多く、短期間での退居が見込まれる場合は月払い型が有利なことが多いとされています。

入居一時金の返還ルールと注意点

入居一時金には「初期償却」と「返還金」の仕組みがあります。初期償却とは、入居直後に一定割合を非返還とするルールで、施設によって10〜30%程度が設定されているケースが多いとされています。

入居後に短期間で退居した場合、または入居者が亡くなった場合には、入居一時金の未償却部分が家族(相続人)に返還されることが一般的です。ただし、施設によって返還のルールが異なるため、契約前に必ず「初期償却率」「返還の計算方法」「返還の時期」を確認するようにしてください。

入居一時金の返還をめぐるトラブルは、有料老人ホームに関する相談の中でも多いケースの一つです。契約書に記載されている返還ルールをしっかり確認し、不明点は必ず契約前に施設側に質問することをお勧めします。

なお、2006年以降、介護保険法の改正により入居一時金の保全措置(倒産時の返還保護)が義務化されています。施設が倒産した場合でも入居一時金が返還されるよう、信託や保証保険による保全措置が講じられているかどうかも確認しておくと安心です。

介護保険の利用と自己負担額——費用の仕組みを正確に把握する

介護施設を利用する際、多くの方が介護保険を利用しています。介護保険の自己負担額の仕組みを理解することで、実際の費用をある程度見通せるようになります。ここでは厚生労働省の情報をもとに、基本的な仕組みを解説します。

介護保険の自己負担割合

介護保険サービスの利用者は、原則としてサービス費用の1割を自己負担します。ただし、一定以上の所得がある方は2割または3割の自己負担となります(2018年8月から3割負担が導入)。自己負担割合は毎年更新される「介護保険負担割合証」に記載されています。

自己負担が2割になる目安は、合計所得金額が160万円(単身)以上、3割になる目安は合計所得金額が220万円(単身)以上とされています(夫婦などの場合は別途計算が必要です)。具体的な判定は市区町村が行うため、詳細は担当窓口にご確認ください。

介護保険の区分支給限度額

居宅サービス(在宅での介護サービス)については、要介護度に応じた「区分支給限度額」が設定されており、この上限額の範囲内で1割(または2・3割)の自己負担でサービスを利用できます。限度額を超えた分は全額自己負担となります。

施設サービス(特養・老健・介護医療院)については区分支給限度額は適用されず、要介護度や施設の種類に応じた「施設介護サービス費」が介護保険から給付されます。自己負担は施設サービス費の1〜3割に加え、食費・居住費(室料)・日常生活費などが別途必要となります。

高額介護サービス費制度

同一月内の介護保険サービスの自己負担額が一定の上限を超えた場合、超えた分が後から払い戻される「高額介護サービス費」という制度があります。上限額は所得に応じて段階的に設定されており、一般的な方(市民税課税世帯)の場合、月44,400円が上限とされています(2024年時点、厚生労働省情報に基づく)。

高額介護サービス費は申請制です。初回は市区町村から通知が来ることもありますが、申請が必要な場合もあるため、費用が高額になっている場合は担当のケアマネジャーや市区町村の窓口に相談することをお勧めします。

補足給付(特定入居者介護サービス費)

施設に入居している方のうち、所得・資産が一定以下の方は、食費・居住費(室料)の自己負担額を軽減する「補足給付(特定入居者介護サービス費)」の対象となる場合があります。

対象となる施設は特養・老健・介護医療院・介護療養型医療施設(旧)および短期入所系サービスです。補足給付を受けるためには、市区町村へ「負担限度額認定証」の申請が必要です。預貯金の要件(単身:1,000万円以下など)があるため、詳細は市区町村にご確認ください。

介護施設選びの5つのポイント——後悔しない選択のために

施設の種類や費用を理解した上で、次は実際の施設を選ぶ際の判断基準を整理します。以下の5つのポイントを意識することで、後悔のない施設選びに近づけるかと思います。

① 現在の介護度と今後の状態変化を見据える

施設を選ぶ際に最初に確認すべきは、現在の要介護度と今後の状態変化の見通しです。現在は要介護1であっても、疾患の進行によって数年後に要介護4・5になることも少なくありません。入居時点での状態だけでなく、重度化した場合にも継続して対応できる施設かどうかを確認することが重要です。

たとえば、住宅型有料老人ホームやサ高住は重度化した場合に退居を求められるケースがあります。一方、特養や介護付き有料老人ホームは重度の要介護状態でも継続して入居できるケースが多いとされています。施設の「退居要件」を契約前に必ず確認してください。

認知症の有無も重要な判断材料です。認知症が進行している場合は、認知症ケアに特化したグループホームや、認知症対応の経験が豊富なスタッフがいる施設を優先的に検討するとよいでしょう。

② 費用を長期視点で計算する

施設選びでは、月額費用だけでなく、5年・10年単位の長期費用を試算することをお勧めします。入居一時金が高額な施設でも、月額費用が低ければ長期入居では割安になることがあります。逆に、入居一時金が不要でも月額費用が高い施設は、長期入居で総費用が高くなることがあります。

また、介護度が上がった場合の費用変化も試算しておくことが重要です。特に住宅型有料老人ホームやサ高住は、介護度が上がると外部サービスの利用量が増え、費用が大幅に上昇する可能性があります。

本人・家族の資産・収入と照らし合わせて、無理なく継続できる費用範囲の施設を選ぶことが現実的な施設選びの基本です。年金収入・貯蓄額・不動産資産なども含めた長期の資金計画を、ケアマネジャーや場合によってはファイナンシャルプランナーと相談することを検討してみてください。

③ 立地とアクセスを確認する

施設の立地は、家族の面会頻度に直結します。家族が定期的に面会できる距離・交通アクセスかどうかは、入居後の生活の質にも影響します。特に認知症の方は、家族の面会が精神的な安定につながることが多いとされています。

かかりつけ医や専門医との距離も考慮してください。施設内の医療体制だけでなく、外部の医療機関への受診が必要になった場合にアクセスしやすい立地かどうかも確認しておくとよいでしょう。

④ スタッフの質と体制を見極める

施設の介護品質は、スタッフの数と質によって大きく左右されます。見学時には、スタッフの表情・入居者への接し方・職場の雰囲気を観察することをお勧めします。スタッフが笑顔で入居者に接しているか、入居者の声に丁寧に応えているかどうかは、日常の介護品質を測る重要な指標です。

介護スタッフの人員配置基準(入居者3人に対してスタッフ1人が法定最低基準)を満たしているかだけでなく、それ以上の手厚い配置をしているかも確認するとよいでしょう。夜間の体制についても確認しておくことをお勧めします。

離職率が高い施設はスタッフが定着しにくく、介護品質の安定性に影響することがあります。見学時に「平均勤続年数」や「新しいスタッフが多いかどうか」などを参考として確認することもできます。

⑤ 看取り・医療対応の方針を確認する

施設での看取り(終末期ケア)に対応しているかどうかは、長期入居を考える場合の重要な判断材料です。「最期まで施設で過ごせるか」を入居前に確認しておくことで、終末期に慌てて転居先を探すリスクを減らせます。

看取り対応の有無・施設の医療連携体制・24時間対応の医療機関との連携状況なども確認しておくとよいでしょう。胃ろう・経管栄養・インスリン投与などの医療的処置が必要になった場合に対応できるかどうかも、重要な確認事項です。

施設見学時のチェックリスト——確認すべき項目を整理

資料だけではわからない情報を得るために、施設見学は非常に重要です。見学時に確認しておくべき項目をリストアップしました。

施設の環境・設備

  • 施設内の清潔感・においの有無
  • 居室の広さ・プライバシーの確保(カーテン・ドアのロックなど)
  • 廊下・トイレ・浴室のバリアフリー設備
  • 共用スペース(食堂・リビング・庭など)の利用状況
  • 入居者が自由に外出できる環境かどうか
  • 緊急時のナースコールの設置状況

スタッフ・ケア体制

  • スタッフの表情・入居者への接し方
  • 夜間のスタッフ配置人数
  • 介護職員の資格保有状況(介護福祉士・ケアワーカーなど)
  • 看護師の勤務体制(常勤・非常勤・オンコール対応)
  • 医師の配置または協力医療機関の連携状況
  • 認知症ケアの専門研修を受けたスタッフの有無

サービス内容

  • 食事内容・特別食(糖尿病食・嚥下食など)への対応状況
  • 入浴の頻度・方法(一般浴・機械浴・シャワーなど)
  • リハビリの提供状況(頻度・内容・専門職の有無)
  • レクリエーション活動の内容と頻度
  • 外出・外泊サービスの利用可否
  • 看取りへの対応方針

費用・契約関係

  • 月額費用の内訳(何が含まれ、何が別途請求されるか)
  • 入居一時金の初期償却率・返還ルール
  • 費用改定の実績・基準
  • 退居条件・退居が必要になる状況
  • 入居一時金の保全措置の有無

費用が払えなくなった場合の対応——生活保護・補足給付の活用

介護施設の費用が払えなくなった場合、いくつかの制度を利用することで施設を継続利用できる可能性があります。費用面で不安がある場合は、早めに担当のケアマネジャーや市区町村の窓口に相談することをお勧めします。

補足給付(負担限度額認定)を活用する

前述のとおり、所得・資産が一定以下の方は、特養・老健・介護医療院の食費・居住費の自己負担額が軽減される「補足給付」を利用できる場合があります。補足給付を受けると、食費・居住費の自己負担が大幅に下がるケースがあります。申請は市区町村の介護保険担当窓口で行います。

補足給付の対象要件には所得だけでなく預貯金などの資産要件もあります(単身の場合1,000万円以下など)。配偶者の資産も一定程度考慮される場合があるため、詳細は市区町村にご確認ください。

高額介護サービス費・高額医療合算介護サービス費

高額介護サービス費に加えて、同一年度内の医療費と介護費の合計が一定限度を超えた場合に払い戻しを受けられる「高額医療合算介護サービス費」という制度もあります。医療費と介護費の両方が高額になっている場合は、この制度の対象になる可能性があります。市区町村に問い合わせてみることをお勧めします。

生活保護の活用

資産・収入が一定水準以下で生活に困窮している場合は、生活保護の申請を検討することも選択肢の一つです。生活保護を受給している場合でも、特養などの公的施設に入居できる場合があります。生活保護費のうち「介護扶助」により、介護保険の自己負担分が賄われます。

有料老人ホームについては、施設が生活保護受給者の受け入れに対応しているかどうかが施設によって異なります。生活保護の申請・相談は居住する市区町村の福祉事務所(生活保護担当窓口)に行うことが一般的です。

なお、生活保護の申請にあたっては、まず利用できる他の制度(各種給付・補足給付・高額介護サービス費など)をすべて活用することが前提となります。

施設側への相談と支払い猶予

費用の支払いが難しくなった場合は、施設側に早めに相談することが重要です。突然退居を求められるよりも、支払い方法の相談(分割払いや支払い猶予など)を施設側と協議できるケースもあります。黙って滞納が続くと施設との信頼関係が損なわれるため、早期の相談が大切です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 特養と有料老人ホームはどちらを選ぶべきですか?

一概にどちらがよいとは言いにくいですが、費用を抑えたい場合や長期的な入居を希望する場合は特養が向いていることが多いとされています。ただし、特養は要介護3以上の条件があり、待機期間が長い点がデメリットです。民間の有料老人ホームは比較的すぐ入居できますが、費用は高めになる傾向があります。入居を検討している方の現在の状態と緊急度、資金状況を総合的に考えた上で選択することをお勧めします。担当のケアマネジャーにご相談いただくのが最初のステップとして適切かと思います。

Q2. 認知症の親を施設に入れたいのですが、どの施設が適していますか?

認知症の方の施設選びでは、認知症ケアへの対応経験と専門性が重要です。グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は認知症の方専用の施設で、少人数ユニットで家庭的な環境でのケアを提供しています。認知症が比較的軽度の場合はサ高住や住宅型有料老人ホームを選択される方もいます。重度の認知症の場合は介護付き有料老人ホームや特養が適していることが多いとされています。施設見学時に認知症ケアの実績や方針を確認することをお勧めします。

Q3. 施設入居に介護保険は使えますか?

施設の種類によって介護保険の適用範囲が異なります。特養・老健・介護医療院は施設サービスとして介護保険が適用されます。介護付き有料老人ホームは「特定施設入居者生活介護」として介護保険が適用されます。住宅型有料老人ホームとサ高住は、外部の介護サービスを利用した際に、そのサービス分に介護保険が適用されます。グループホームは「認知症対応型共同生活介護」として介護保険が適用されます。いずれの場合も、介護保険の自己負担分(1〜3割)および食費・居住費・日常生活費は別途自己負担となります。

Q4. 入居一時金が払えない場合でも有料老人ホームに入れますか?

入居一時金が必要ない「月払い型」の有料老人ホームも増えています。入居一時金が0円で月額費用のみの施設も多くあるため、一時金の支払いが難しい場合でも選択肢がないわけではありません。また、所得や資産が少ない方には補足給付や高額介護サービス費などの制度が利用できる場合があります。担当のケアマネジャーや地域包括支援センターにご相談されると、状況に合った選択肢を一緒に探してもらえる場合があります。

Q5. 施設に入居してから別の施設に移ることはできますか?

施設間の転居は可能ですが、手続きが必要で体力的・精神的な負担が大きいため、できれば入居前に十分な比較検討を行うことが望ましいとされています。特に認知症の方は環境の変化への適応が難しいケースもあります。転居が必要になる主な理由としては、介護度の変化による施設のサービス限界、経済的な事情、施設側の事情(事業廃止など)があります。転居を検討する場合は担当のケアマネジャーに相談し、転居先の選定から手続きまでサポートを受けることをお勧めします。

まとめ——介護施設選びは「今の状態」と「将来の変化」の両方で考える

介護施設の種類・費用・特徴についてご理解いただけたでしょうか。最後に、重要なポイントを整理します。

  • 公的施設(特養・老健・介護医療院)は費用が比較的安く、医療ケアが充実しているケースが多いが、待機期間が長い場合がある
  • 民間施設(有料老人ホーム・サ高住・グループホーム)は選択肢が豊富で入居しやすいが、費用の幅が大きく施設間の差も大きい
  • 入居一時金は返還ルールを必ず確認し、長期費用を試算した上で選択する
  • 介護保険の自己負担割合・高額介護サービス費・補足給付などの制度を把握しておく
  • 施設見学では環境・スタッフ・費用の内訳・退居条件・看取り対応を必ず確認する
  • 費用が払えなくなった場合は、補足給付・高額介護サービス費・生活保護などの制度を早めに相談する

施設選びは、現在の状態だけでなく今後の状態変化も見越した長期的な視点が重要です。「今入れる施設」ではなく「長く安心して過ごせる施設」を探すことを意識してみてください。

担当のケアマネジャーや地域包括支援センターは、施設選びに関する相談に無料で応じてくれます。一人で抱え込まず、専門家のサポートを活用しながら進めることをお勧めします。


【免責事項】本記事は2026年時点の一般的な情報提供を目的としており、個別の介護・医療・法律・税務アドバイスではありません。費用や制度の詳細は地域・事業者・個別の状況によって異なるため、具体的なご判断に際しては担当ケアマネジャー・地域包括支援センター・各市区町村の窓口にご相談ください。本記事は厚生労働省の介護保険制度に関する公開情報を参考に作成しています。

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終活葬儀ナビ編集部。身近な家族の葬儀・相続・遺品整理を実際に経験した編集メンバーが中心となり、終活に直面する方の「わからない」「不安」に寄り添う情報発信を行っています。厚生労働省・国税庁・地方自治体など公的機関の一次情報を徹底的に参照しつつ、実務目線での注意点を織り交ぜた記事制作を心がけています。取り扱い領域は、葬儀(家族葬・一日葬・直葬)、お墓・供養(納骨堂・樹木葬・永代供養)、相続(相続税・遺言書・遺産分割)、遺品整理、ペット供養など終活全般。個別具体的な法律・税務相談については、必ず弁護士・税理士など有資格の専門家にご相談ください。

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