相続人の確認方法・戸籍謄本の集め方完全ガイド|法定相続人の順位・取り寄せ手順【2026年最新】

家族が亡くなった後、「相続人は誰になるのか」「どうやって調べればよいのか」と戸惑うご遺族は多いです。相続人が誰であるかを正確に把握することは、遺産分割・相続登記・預金の名義変更・相続放棄など、すべての相続手続きの出発点となります。

相続人の確認には「戸籍謄本を集める」という作業が必要ですが、出生〜死亡に至るすべての戸籍を集める必要があることや、「改製原戸籍(かいせいはらこせき)」という聞き慣れない書類が必要になることなど、はじめての方にはわかりにくい点が多いです。

この記事では、相続人確認が必要な理由・法定相続人の範囲と順位・必要な戸籍謄本の種類・取り寄せ方法・相続人確認の手順・相続人が不明の場合の対処法まで、実務的な手順をすべて解説します。

目次

相続人確認が必要な理由

なぜ相続人を確認しなければならないのか

相続人の確認は、すべての相続手続きの前提となります。相続人が誰であるかを確定させないまま手続きを進めると、後から「知らなかった相続人」が現れて遺産分割が無効になるリスクがあります。特に、被相続人(亡くなった方)に前婚の子や認知した子がいる場合、相続人全員の同意が必要な遺産分割協議が成立しなくなる可能性があります。

相続人確認が必要になる主な場面は次のとおりです。①遺産分割協議(相続人全員で話し合う必要がある)②相続登記(不動産の名義変更・2024年4月より義務化)③金融機関での預金解約・名義変更④相続放棄・限定承認の申請(家庭裁判所への手続き)⑤相続税の申告(税理士への依頼も含む)

これらはすべて「相続人全員が確定している」ことが前提条件になります。早い段階で相続人を正確に確認することが、その後のすべての手続きをスムーズに進めるうえで大切です。

相続人確認のための戸籍収集が必要な理由

相続人を確認する唯一の公的な方法が「戸籍謄本(こせきとうほん)」の収集です。なぜなら、誰が法律上の相続人になるかは民法によって定められており、その法的な親族関係を証明できるのが戸籍だけだからです。

被相続人が生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍を集めることで、「どんな婚姻歴があったか」「子どもは何人いるか」「養子縁組はあったか」といった情報が明らかになります。

法定相続人の範囲・順位

法定相続人とは

法定相続人(ほうていそうぞくにん)とは、民法により相続する権利が定められている人のことです。遺言がある場合でも、法定相続人には「遺留分(いりゅうぶん)」という最低限の取り分が保障されています。

法定相続人の範囲は、「配偶者」と「一定の血族」です。配偶者は常に相続人となります。血族は「子→父母→兄弟姉妹」の順位で相続します。

相続順位と相続割合

順位 相続人 配偶者がいる場合の相続割合 配偶者がいない場合
常に相続人 配偶者 第1順位と:1/2 第2順位と:2/3 第3順位と:3/4
第1順位 子(養子含む) 1/2を子で按分 全部を子で按分
第2順位 父母(直系尊属) 1/3を父母で按分 全部を父母で按分
第3順位 兄弟姉妹 1/4を兄弟姉妹で按分 全部を兄弟姉妹で按分

子が相続発生前に亡くなっている場合は、その子の子(孫)が「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」として相続します。代襲相続は、子の順位では何代でも下の代へ続きます(孫→ひ孫→…)。兄弟姉妹の代襲相続は甥・姪の世代まで(1代のみ)とされています。

離婚した前妻(前夫)との間の子も法定相続人になります。被相続人が再婚していた場合は、前婚の子の有無を必ず戸籍で確認することが重要です。

相続人にならないケース

次のような方は法定相続人にはなりません。①内縁の配偶者(婚姻届を提出していないパートナー)②離婚した元配偶者③相続放棄をした方④「相続欠格(そうぞくけっかく)」または「廃除(はいじょ)」が確定した方

必要な戸籍謄本の種類

被相続人(亡くなった方)の戸籍

相続人を確認するためには、被相続人の「出生〜死亡」に至るすべての戸籍が必要です。出生から死亡まですべての戸籍を集める理由は、婚姻・離婚・転籍・養子縁組など、人生の節目ごとに新しい戸籍が作られるためです。一つの戸籍だけでは、過去の婚姻・子の存在などが確認できません。

必要な書類の種類は次のとおりです。

書類名 内容 取得先
戸籍謄本(現在の戸籍) 現在の戸籍全員の情報 本籍地の市区町村役場
除籍謄本(じょせきとうほん) 全員が除籍された戸籍(死亡・転籍後など) 本籍地の市区町村役場
改製原戸籍謄本(かいせいはらこせきとうほん) 法改正前の旧様式の戸籍(明治・大正・昭和時代のもの) 本籍地の市区町村役場

被相続人が生涯を通じて本籍地を変えていない場合は1か所の役場で取得できますが、転籍・婚姻などで本籍地が変わっている場合は複数の市区町村から取り寄せる必要があります。

相続人の戸籍

相続人本人の戸籍謄本(現在のもの)も必要になります。相続登記・銀行手続きなどでは「相続人が存在していること」の証明として使用します。

配偶者の場合は婚姻後の戸籍謄本、子の場合は現在の戸籍謄本(または住民票)が必要なことが多いです。具体的に何が必要かは手続きごとに異なるため、各機関(法務局・銀行など)に事前に確認することをお勧めします。

戸籍謄本の取り寄せ方法(窓口・郵送・マイナンバー)

窓口での取得

本籍地の市区町村役場(市役所・区役所・町村役場)の窓口で請求するのが最も基本的な方法です。本籍地が遠方の場合でも、郵送請求やマイナンバーカードを使った方法(後述)で取得できます。

窓口での請求に必要なものは次のとおりです。①本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)②請求書(役場に備付の用紙)③手数料(種類によって異なる。後述の費用一覧を参照)④相続関係を示す書類(被相続人の戸籍を代理人が請求する場合)

郵送での取得

本籍地が遠方の場合は、郵送で戸籍謄本を取り寄せることができます。郵送請求の手順は次のとおりです。①取得したい戸籍の本籍地の市区町村役場の公式サイトで、郵送請求の宛先・手数料の確認をします。②請求書(市区町村によって様式が異なる。様式がない場合は任意の書面で可)を記入します。③手数料を「定額小為替(ていがくこがわせ)」で用意します(郵便局で購入できます)。④返信用封筒(切手を貼ったもの)と本人確認書類のコピーを同封して郵送します。

郵送請求では「どの戸籍が必要か」を正確に伝えることが大切です。「被相続人の出生から死亡までの戸籍を全て請求します」と明記することで、取りこぼしを防げます。

マイナンバーカードを使ったコンビニ取得

マイナンバーカードを持っている方は、全国のコンビニ(セブンイレブン・ローソン・ファミリーマートなど)に設置されているマルチコピー機から戸籍謄本を取得できます(市区町村によって対応状況が異なります)。

コンビニ取得は窓口に行かずに済む点が便利で、手数料も窓口より安く設定されている市区町村が多いです。ただし、改製原戸籍など古い形式の戸籍には対応していない場合があります。また、本籍地がコンビニ取得サービスに対応しているかを事前に確認する必要があります。

戸籍謄本取得費用一覧

書類の種類 手数料(窓口) 手数料(コンビニ)
戸籍謄本(現在の戸籍全部事項証明書) 450円/通 350円/通程度(市区町村による)
除籍謄本 750円/通 非対応の場合が多い
改製原戸籍謄本 750円/通 非対応の場合が多い
戸籍の附票(ふひょう) 300〜350円/通 200〜300円程度(市区町村による)

郵送請求の場合は定額小為替の手数料(1枚200円程度)が別途かかります。必要な枚数を事前に確認してから郵便局で定額小為替を購入しましょう。

相続人確認の手順(ステップ解説)

STEP 1:被相続人の最新の戸籍を取得する

まず、被相続人の死亡が記載された最新の戸籍謄本(または除籍謄本)を取得します。死亡後は「除籍謄本」になっていることが多いです。被相続人の死亡時点の本籍地を確認してから役場に請求します。死亡診断書・住民票・葬儀社からの書類などに本籍地が記載されていることがあります。

STEP 2:被相続人の出生まで遡って戸籍を収集する

最新の戸籍を取得したら、その前の戸籍(「転籍前の本籍地」「改製前の戸籍」)を特定し、それぞれの本籍地の役場から取り寄せます。これを繰り返して、被相続人の出生時(または最初の戸籍)まで遡ります。

改製原戸籍(昭和・大正・明治時代の戸籍)が必要になる場合は、書類の様式が現代と大きく異なるため、読み解くのが難しいことがあります。行政書士・司法書士に代行を依頼することも一つの方法です。

STEP 3:相続人の存在を確認する

収集した戸籍をすべて確認し、相続人となりえる方(配偶者・子・孫・父母・兄弟姉妹・甥姪)の全員をリストアップします。

特に確認が必要な点は次のとおりです。①被相続人に前婚の子がいないか②被相続人に認知した子がいないか③養子縁組をしていないか④代襲相続(先に亡くなっている相続人の子)が発生していないか

STEP 4:各相続人の現在の戸籍謄本を取得する

相続人全員を確認したら、それぞれの現在の戸籍謄本(または戸籍抄本)を取得します。相続手続きによっては住民票の写しを求められる場合もあります。各機関(法務局・金融機関など)が要求する書類の種類・通数を事前に確認してまとめて準備すると効率的です。

STEP 5:相続関係説明図を作成する

相続人全員が確定したら「相続関係説明図(そうぞくかんけいせつめいず)」を作成します。相続関係説明図は、被相続人と相続人の続柄・相続の発生状況を図式化した書類で、法務局への相続登記申請などで使用します。

相続関係説明図を法務局に提出することで、相続登記の際に原本の戸籍謄本を手元に返してもらうことができます(法定相続情報一覧図を利用する方法もあります)。

法定相続情報一覧図(便利な制度)

法定相続情報一覧図とは

法定相続情報一覧図(ほうていそうぞくじょうほういちらんず)は、2017年5月から法務局が始めた制度で、収集した戸籍謄本類をもとに法務局が「相続関係を認証した一覧図(写し)」を無料で発行するものです。

法定相続情報一覧図の写しを利用することで、銀行・法務局・税務署などの各機関に戸籍謄本の原本を何度も提出する必要がなくなります。

法定相続情報一覧図を取得するには、①収集した戸籍謄本一式と②相続関係説明図を法務局に提出し、審査を経て「認証文付きの一覧図の写し」を受け取ります。費用は無料です(戸籍謄本の取得費用は別途かかります)。発行には1〜2週間程度かかることが多いです。

相続人が不明・行方不明の場合の対処法

相続人が行方不明の場合

相続人の中に行方不明者がいる場合、その方を除いて遺産分割協議を進めることはできません。行方不明の相続人がいる場合の主な対処法は「不在者財産管理人(ふざいしゃざいさんかんりにん)の選任申立て」です。家庭裁判所に申立てを行い、家庭裁判所が不在者の代わりに財産を管理する管理人を選任します。管理人の同意(家庭裁判所の許可が必要な場合もあります)を得ることで、遺産分割協議を進めることができます。

また、7年以上生死不明の場合は「失踪宣告(しっそうせんこく)」の申立て(民法第30条)を家庭裁判所に行い、法律上死亡したものとして扱う手続きも選択肢の一つです。

相続人の存在が不明の場合

被相続人に相続人がいない(またはすべての相続人が相続放棄をした)場合は、「相続財産清算人(そうぞくざいさんせいさんにん)」の選任申立て(民法第952条)を家庭裁判所に行う方法があります。選任された清算人が財産の管理・清算を行い、最終的に残った財産は国庫に帰属することになります。

専門家への相談が必要なケース

次のような場合は、早めに専門家(司法書士・弁護士・行政書士)への相談をお勧めします。①相続人の一人が行方不明の場合②被相続人の戸籍が複雑で(前婚・養子縁組など)相続人の特定が難しい場合③相続人の間で遺産分割について話し合いがまとまらない場合④相続人の一人が相続放棄を検討している場合⑤相続財産に不動産・借金・事業用財産など複雑な資産が含まれる場合

よくある質問(FAQ)

Q1. 戸籍謄本と戸籍抄本の違いは何ですか?

戸籍謄本(とうほん)は戸籍全員の記載を写したもの、戸籍抄本(しょうほん)は特定の一人分の記載を写したものです。相続手続きでは「戸籍謄本(全部事項証明書)」が必要になることが多いです。銀行・法務局などによっては抄本でも対応できる場合もありますが、手続きの前に必要な書類の種類を各機関に確認しましょう。

Q2. 本籍地が複数の市区町村に渡っている場合、すべてに郵送請求しなければなりませんか?

原則として、各本籍地の市区町村役場からそれぞれ取り寄せる必要があります。一つの役場でまとめて取得することはできません。転籍の回数が多い場合は5〜10か所以上に郵送請求が必要になることもあります。手間と時間がかかるため、司法書士・行政書士に代行を依頼する方も多いです。

Q3. 相続人が多い場合、全員の同意が必要ですか?

遺産分割協議は法定相続人全員の合意が必要です。一人でも欠けた協議は無効になります。相続人が多い場合(兄弟姉妹が多い・代襲相続が発生しているなど)は、全員を把握し連絡を取ることが大変になることがあります。そのような場合は、弁護士・司法書士に間に入ってもらい、手続きを円滑に進めることを検討されることをお勧めします。

Q4. 相続人を確認するのに期限はありますか?

相続人確認自体に特定の期限はありませんが、関連する手続きには期限があります。相続放棄・限定承認の申立ては「相続の開始を知った日から3か月以内」が期限です。相続税の申告は「被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内」が期限です。相続登記は2024年4月以降「相続を知った日から3年以内」が義務となりました。期限を過ぎると過料(かりょう)が科せられる場合があるため、早めに確認・手続きを進めることが大切です。

Q5. 法定相続情報一覧図は自分で作成できますか?

法定相続情報一覧図は、必要書類を収集してから自分で作成・申請することが可能です。法務局の公式サイトに記載例と様式が掲載されているため、それに従って作成します。ただし、戸籍の読み解きに自信がない場合や、相続関係が複雑な場合は司法書士に依頼する方が確実です。費用の目安は、司法書士に依頼する場合3万〜10万円程度とされています。

Q6. 離婚した前妻との間の子の戸籍はどうやって確認しますか?

被相続人の過去の婚姻が記載されている戸籍(除籍謄本・改製原戸籍)を取得することで、前婚の子の存在を確認できます。前婚の子が現在どこに住んでいるかは戸籍の附票(ふひょう)を取得することで確認できる場合があります。前婚の子とは疎遠になっているケースも多く、連絡を取るための手段が分からない場合は弁護士・司法書士に相談することをお勧めします。

まとめ

相続人の確認は、相続に関するすべての手続きの出発点です。戸籍謄本を正確に集め、法定相続人を確定させることで、その後の手続きがスムーズに進みます。

法定相続人の範囲:配偶者は常に相続人。子(第1順位)→父母(第2順位)→兄弟姉妹(第3順位)の順で相続権があります。前婚の子・認知した子も相続人になる点を必ず確認しましょう。

必要な戸籍:被相続人の出生〜死亡までのすべての戸籍(戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本)が必要です。複数の市区町村から取り寄せが必要になることがあります。

取得方法:窓口・郵送・マイナンバーカードを使ったコンビニ取得の3つの方法があります。遠方の市区町村分は郵送請求を活用しましょう。

法定相続情報一覧図:法務局に申請することで無料で発行してもらえます。各機関への提出で原本の繰り返し提出が不要になる便利な制度です。

複雑なケース:行方不明の相続人・前婚の子・代襲相続などが絡む場合は、早めに司法書士・弁護士に相談することをお勧めします。

本記事は2026年3月時点の情報に基づいています。法律・制度は改正される場合があります。相続手続きの詳細については、専門家(司法書士・弁護士・行政書士)または最寄りの法務局・市区町村役場にご確認ください。本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的アドバイスではありません。

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