「遺言書は財産が多い人だけが書くもの」と思っていませんか。
実際には「財産が少ない」「兄弟仲が良い」という家庭でも、遺言書がなかったためにトラブルになるケースは少なくありません。
種類別の書き方・費用・保管のルールまで整理します。
※法律に関する内容です。具体的な手続きは公証役場・弁護士・司法書士にご相談ください。
目次
遺言書の種類と比較
| 種類 | 自筆証書遺言 | 公正証書遺言 | 秘密証書遺言 |
|---|---|---|---|
| 費用 | ほぼ無料(用紙代のみ) | 数万〜十数万円程度 | 数万円程度 |
| 証人 | 不要 | 2名必要 | 2名必要 |
| 法的確実性 | 形式不備で無効になるリスクあり | 高い | 中程度 |
| 保管 | 法務局保管制度を利用可 | 公証役場が原本保管 | 公証役場に保管 |
| 家庭裁判所の検認 | 必要(法務局保管の場合は不要) | 不要 | 必要 |
最も安全・確実なのは公正証書遺言です。費用はかかりますが、形式不備で無効になるリスクがなく、家庭裁判所の検認も不要です。
自筆証書遺言の書き方ルール
自筆証書遺言には厳格なルールがあり、ひとつでも違反すると無効になります。
- 全文を自筆で手書きすること(ワープロ・パソコン不可)
- 日付を正確に記入(「○年○月○日」まで明記。「○年○月吉日」は無効)
- 氏名の署名と押印(認印でも可とされるが実印が確実)
- 財産目録のみパソコン作成可(2019年改正後)。ただし各ページに署名・押印が必要
「全文自筆」の要件を満たさない遺言書は法的に無効です。少しでも不安がある場合は専門家への確認をお勧めします。
公正証書遺言の費用
| 財産の総額(目安) | 公証役場への手数料(目安) |
|---|---|
| 100万円以下 | 5,000円程度 |
| 300万円以下 | 9,000〜11,000円程度 |
| 1,000万円以下 | 17,000〜23,000円程度 |
| 3,000万円以下 | 23,000〜43,000円程度 |
| 5,000万円以下 | 43,000〜61,000円程度 |
上記は公証役場への手数料のみです。弁護士・司法書士に作成を依頼する場合は別途報酬が発生します。
弁護士・司法書士への依頼報酬は10〜30万円程度が目安とされています。専門家に相談することで遺言の内容が法的に確実になります。
法務局の遺言書保管制度
2020年7月から、自筆証書遺言を法務局(遺言書保管所)に預ける制度が始まりました。
- 手数料:3,900円(1件)
- 保管中は原本が安全に管理される
- 法務局保管の場合、家庭裁判所の検認が不要
- 死亡後に相続人が閲覧・交付請求できる
自筆証書遺言を選ぶ場合は、この保管制度の活用が強くお勧めされています。
遺言書に書けること・書けないこと
書ける(法的効力が生じる)こと
- 不動産・現金・株式などの財産分配
- 遺言執行者の指定
- 認知・相続人廃除
書いても法的効力がないこと
- 葬儀の方法・埋葬場所の希望(参考情報にはなる)
- ペットの世話の依頼
- 家族へのメッセージ(付言事項として記載は可能)
法的効力のない希望事項はエンディングノートに書くのが適しています。
まとめ
- 最も確実な遺言書は公正証書遺言。費用は財産額に応じて数万円程度
- 自筆証書遺言は費用がかからないが、形式不備で無効になるリスクがある
- 自筆証書遺言は法務局の保管制度(3,900円)の活用が推奨されている
- 「財産が少ないから不要」は誤り。相続人がいる限り遺言書は有効な備え
本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的なアドバイスではありません。具体的な内容は弁護士・司法書士・公証役場にご相談ください。

